王妃がウク達を陥れようとした宴も失敗するも、ウクとブヨンの中は一進一退と言った雰囲気だ。ウクは時々ムドクを思わせる言動を見せるブヨンに対してなかなか心を開けないし、その気持ちはブヨンにも当然伝播する。「余計な事は言わない」的な言動が多いウク故、ブヨンとしても何が何だかさっぱりと言った感じだ。
二人が何とも不思議な共同生活を進める中、「なんとしても氷の石を手に入れて美しい身体と顔を再び手にしたい」と思う王妃と、そんな王妃と一緒になって権力を手に入れたいチン・ムのたくらみは続く。(どんどん枯れていくような自分の容貌を嘆き、水の気でコントロールされている世の中を恨み、故意に干ばつを起こさせる王妃の所業・・王妃の資格などあったものでもない。)
このチン・ムの狡猾な所は、ウクに友情を感じていた世子の気持ちを上手い具合にコントロールしたこと。3年前のムドクの事件も、全てあなたを思ってやった事ですと、ウクと友情を取り戻したい世子の気持ちを今でもコントロールしようとしているのだ。
ブヨンの復活劇の秘密を知るのは、あの偽物だったブヨンだ。今はすっかりとばく場を仕切る女主人になっている彼女だが、ソルに自分の血を分け与えた事で彼が苦しんでいる事を知ると、彼を助けるべく、ブヨンの母の元に乗り込むのだ。
ブヨンの母も、ブヨンの秘密を守るために必死なのだが、ブヨンの母にはまた別の危機も訪れる。
王妃とチン・ムはブヨンの母が守る蔵の中から秘宝を取り出して自分たちの物として、更なる力を得ようとたくらんでいるのだから・・・
ブヨンの母としては、ブヨンを助けるためにナクスの魂を使い、今現在の娘の顔はそのナクスそのものというのはどうしても隠しておきたい事実。
しかし、偽ブヨンことソイは自分を助けてくれたユルにその事実を告げるのだ。
ソイを助けたい気持ちと、自分の体の中に入った虫の存在で自身も息も絶え絶えになっている事、更には自分がナクスを見分けられなかった事でショックを受けているユル。
ユルの思いが揺れる事で、ウク、ブヨン(ことナクス)、ソイ(元偽ブヨン)そしてユル。なんだか複雑な四角関係の出来上がりだ。若者だけなら恋の駆け引きだけで話は済むが、ここに王妃とチン・ムの「支配欲」と、ブヨンの母の「家系存続問題」が複雑に絡み合ってくる。
勿論、ウクの「力は得たものの、ムドクを助けられなかった自分を許せない無力問題」もずっと根底に流れる大きな悩みだし、魂はナクスで身体はブヨンの「一体彼女は何者なのか問題」も落としどころがどこになるのかまだまだ分からない。大体「ブヨンの神力が戻ったら、ナクスが彼女の身体から追い出される」とはどんな事なのか。フュージョン時代劇は、自由な取り決めがあるとでも言ったらいいのか。独自の縛りが多く、それが物語を面白くさせている。今回も色々縛りがあり、ブヨン、ナクス問題の着地点がどこなのか、まだはっきりとは見えない。
登場人物各人の思惑と欲望が絡み合うが、一番厄介なのは、チン・ムと王妃の支配欲問題だ。乾いた自分を潤い溢れる新しい肉体にして生まれ変わりたい王妃の欲望は、止まるところを知らない。アンチエイジングに執心し、どれだけ諍いを起こせば気が済むのか・・・
水に支配されている国にも関わらず、干ばつを起こし氷の石を降らし、無限の力を得たいとは・・・本末転倒も甚だしいのだ。