自分の出自を知り、チーム長の思いを知るも、警察官として後戻りが出来る状況ではないヘジン。チーム長の心配をするパートナーのピルトを見ても、警察官として彼女に出来る事はもう一つもないのだ。
本名だと思っていたジウも偽名であり、復讐の後には虚しさしか残らない事を悟る彼女。ここでタイトルの意味が全部はっきりするのだ。
ヘジンを殺す事に失敗した事を知ったムジンは、ヘジンを試すかのように自ら警察に出頭するのだが、取調室でムジンを挑発するような態度を取り、ムジンが釈放されるように仕向けるヘジン。組織の秘密を知ってしまい、命を狙われるヘジンに残された道は結局ムジンへの復讐しかない。警察にいては彼への復讐は不可能だ。父親が死んだ後、孤独でも彼女には選べる道がいくつもあったはずなのに、ムジンは彼女の父親だけでなく彼女の未来さえも奪ったのだ。
黒の上下と黒い帽子で気持ちばかりの変装をしても、そこら中にある防犯カメラの映像を確認すれば彼女がチーム長の家に忍び込んだ事ははっきりしてしまう。彼女が組織に情報を流していた事もすぐにばれ、結局は同僚たちに手錠をかけられる事になるヘジン。
しかし組織側の人間はあらゆる所に入り込んでいる。ヘジンが治療に向かった病院にも組織側の人間がおり、ヘジンが逃げるのを手助けするのだが、それを阻止するのはチーム長から彼女の事を聞いたパートナーのピルトだ。見ず知らずの人の手で薬を盛られた事により妹を亡くした彼。何か秘密がありそうなヘジンをパートナーとして受け入れていた彼。一番の理解者であり、そして虚しさが残るだけの復讐を止められるのは彼しかいないのだ。最後の最後に自分の名前を呼び、命がけで復讐を止めてくれたパートナーのピルト。
しかし、ヘジンの父親に裏切られたショックから抜け出せず、ヘジンを警察への駒として使いながらも、彼女にゆがんだ愛情を持っていたムジン。ヘジンの行く末を決めるのは、彼の父親に裏切られた自分だけだという妙な独占欲から、またしてもヘジンの未来を潰すムジン。
結局タイトルの通り、ドラマは偽りと復讐でエンディングになるのだ・・・・
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ドラマなのに、ここまでノワールにこだわりノワールの香りを感じさせるとは。ナイフで刺した後、ナイフを抜き取る際の音や、ナイフを二度刺しする音がこれほど繰り返されるドラマは初めて見た。ノワール物の映画だってこれほどではない・・・そして組織の掟云々より、ムジンのねじれた愛情により、未来を潰されたヘジンの悲しさが切ない。