行政マン・コーチのはじめの一歩

自治体職員でストレングスコーチ&ファシリテーターの丸本です。
人と組織の持つ強みを活かして、応援を続けています。

公務員削減と官から民へ

2006年04月16日 | ニュース記事
先日の記事から。

国家公務員32%削減も 民間開放で7・8兆円市場 (共同通信) - goo ニュース
共同通信(2006年 4月14日)からの引用です。

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 民間シンクタンクの三菱総合研究所は14日、国や自治体の行政サービスを最大限に民間開放すれば、国家公務員(中央省庁と自衛官の合計)59万人の32%、地方公務員(公営企業を除く)262万人の61%をそれぞれ減らすことが可能とする試算結果を発表した。

対象となる人件費の総額は、国が1兆9000億円、自治体が5兆4000億円など。官民が受注を入札で競い合う市場化テストなど民間開放の対象となる市場規模は、独立行政法人も合わせて計7兆8000億円に上る。

三菱総研は「行政が直接行わなければならない業務以外は、すべて民間が担うという前提で計算した。潜在的にはこの程度の市場規模がある」と説明している。
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官から民へという流れ自体に異存はありません。

例えば、学校給食の調理員の給与を取っても、民間の調理員と比較してあれほどまでに高い給与を支払う理由はないし、民業と同質の仕事については、同程度のコストで行えるようにするか、若しくは民間に任せるかという議論は当然でしょう。

しかし、最近とみに思うのは、民間のコストが低いのは、ひとえに人件費を抑えているからではないか?ということ。

もちろん、それ以外により効率化されたことによるコスト削減もあるでしょう。でも、一番大きなコストは人件費。常勤ではなくパートに切り替えることで、人件費を低くおさえる手法を取られるのではないでしょうか。

そんなことを考えていたら、果たして正社員を減らしてパート・アルバイトを増やす「民営化」が本当に良いことなのかという疑問を持ちます。

別に公務員の職を守ろうとかいう気持ちはないけど、パート・アルバイトが増え雇用や収入が安定しない社会にすることが、地域社会の安定を考える「官」の立場として正しいのかどうか。流行に乗せられて踊らされるのではなく、地域の雇用・経済発展の面から冷静に考える必要があるように思えます。

もちろん、民間に任せたほうがサービスも向上し、より安価にすむものもまだまだ数多くあります。官の無駄遣いもあるでしょう。

ただ、なんとなく競争にせかされ、地域住民を守るという使命、「公(おおやけ)」の役割というものをもう少しじっくり考える必要があるのではないでしょうか。

以前、行革大綱案の審議をお願いしていた時に、審議委員のお一人が言った言葉があります。「民間委託をしてコストを削減することはいいけれど、安くて良いサービスを役所がやりますという発想は出てこないの?」と。

民間と競争できる「官」を創る発想もあるべきではないでしょうか。

コメント
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