Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

甘言

2016-06-20 01:00:00 | 雪3年4部(女狐と熊〜互いの問題点)
インターホンの音で起こされた河村亮は、寝ぼけ眼で玄関に立っていた。



そこにはテンション高めの赤山蓮が、沢山の参考書を手にニコニコと笑っている。

「じゃーん!検定試験の過去問集〜!やっぱ亮さんには俺しかいないっしょ?」



亮は蓮からそれらを受け取り、仏頂面でパラパラと捲り始める。

「ピアノも大事だけど、勉強もしっかりやんなきゃね!

その過去問集、問題と解説が超良いんだ。こんな良いモンあげるんだから、この恩は忘れないでよ?」




亮が参考書を見ている間にも、蓮はお喋りを続けながら河村宅の探索を始めた。

ダメージが買ったヤツじゃねーか‥バレバレだっつの

「ジュースねーの?ジュース!」



参考書の重さを両手に感じながら、亮は複雑な気持ちを持て余した。

こうして自分を気に掛けてくれる彼女の真心が、亮の覚悟に揺らぎを掛ける‥。





「水と酒ばっかじゃん」



冷蔵庫を開けた蓮は、そう言って残念そうに口を尖らせた。

黙っている亮の周りを、蓮はキョロキョロしながら忙しなく動き回る。

「つーかこの家、亮さんのモン何もねーのな!女物ばっか!亮さんの姉ちゃんは今日居ないの?

つーか顔どうしたん?二日酔い?」




蓮からそう言われ、亮は気怠そうに髪を掻き上げた。

「あー‥」



翌日になってもまだ酒が残っているのは、昨日の飲みの席のせいなのだ。

自分を追いかけて上京して来た元社長・吉川と元同僚の顔が、亮の脳裏に蘇る‥。


「コンクールの準備はどうなんだ?ちゃんとやってんのか?」



「そのコンクールっていつなんだ?

終わったらすぐに俺等とドロンだからな?」




会う度にそうダメ押しして来る吉川から目を逸らし、亮は曖昧に頷いた。

「はぁ‥分かってますって」



元同僚が吉川に皿を差し出す。

「召し上がって下さい」



すると吉川はガハハと笑いながら、元同僚の肩をバンバンと叩き始めた。

「お、そうだ!最近こいつこの近くで土方の仕事やってんだよ。知ってんだろ?」



「あー‥そうなんすか」



興味なさそうに相槌を打つ亮に、吉川は見かねて言葉を掛ける。

「おいおい〜こいつにもっと興味持ってやれよ。

こいつがどんだけお前のこと好きだと思ってんだ。俺に殴られてもお前の行方漏らさなかったんだぜ?」




吉川は元同僚の男に対しては一層高圧的だ。

「お前もせっせと稼がにゃ〜な?」



「お前らおつむが足りねーのか、金銭感覚ってモンがねぇんだよなぁ。

毎日毎日利息は増え続けんのに懲りずにまた金借りてよぉ。なぁ?」




吉川は何度も男の頭を殴り、罵倒し、見下すが、男はただ下を向いてそれに耐えるだけだった。

「お前なぁ、俺は本来金貸しなんてしねーってのに、お前には特別に貸してやってんだぜ?」

「いや俺は借りたくて借りてるわけじゃ‥社長が半強制的に‥

「おらおら、乾杯ー!」



「早くしろ!」「はい‥」



「わはは!良い気分だぜー」



やられっぱなしの元同僚を見ていると、亮の胸中が苛立ちに煙った。

それを誤魔化すように酒を何杯も飲み干したが、遂にその靄が晴れることはなかった‥。

「亮さん、見て見て」



考え込む亮に向かって、蓮は軽い調子で自身の携帯に表示されたアプリを見せる。

「このアプリさぁ、作るだけでもかなりオイシーから!これマジだよ!」



亮はそんな蓮がウザったくなって足を向けた。蓮は口を尖らせて抵抗する。

「くっそ!お前もう帰れ!そんで仕事しろ!何がアプリだ!

「なんでだよぉ〜!」



しかし蓮は引き下がらない。寧ろ目を輝かせながら、弾むような口調で話を続けて来た。

「これ怪しい話じゃねーよ?

ある程度根拠があるオイシー話なんだよ!今が打って出るその時なわけ!」
「‥‥‥」



「俺、本気だよ亮さん!いずれ会社作ったら良いポストあげるからさ!入ってよ!」



まるで根拠の無い、絵空事ような未来の話。

亮はため息を一つ吐いて、現実的な問題を口にする。

「おい、そんでも会社作んのに金が要るだろ?」

「そりゃそうさー!」



しかし蓮は亮のその言葉を耳にした途端、待ってましたとばかりに食い付いて来た。

「だから先立って金がどうしても要るわけなんだけどさぁ、

したら、ここに良さげな職見つけたのよ」




携帯の画面には、「ヤングマン産業営業職募集」と書いてあるサイトが表示されている。

「若手ベンチャーのための資金を支援する会社なんだって。

営業の教育受けたらすぐ現場入れるみたい。俺の性格からして営業向いてると思うんだよねー」




「三ヶ月インターンすれば、実績によっては支店長になれんだって!

ま、俺は短期間で事業資金だけ稼いですぐ辞めるけど!」


「ハァ?!んな上手ぇ話があるわけねーだろ!詐欺だろそれ!ったくコイツは‥



そう声を荒げる亮に向かって、蓮は不思議そうに首を傾げた。

「いやいや、実際行ってみて怪しげだったらドロンすりゃいい話じゃん。何が問題なの?

つーか面接受かんなきゃどうせ入れねーし。変なとこじゃねーって!」
「ほぉ‥」



「最近はTOEICだなんだじゃなくて、人そのものを見るのがトレンドだからね。

なおさらこの流れに乗らなくちゃぁ!」
「ほぉぉ‥」



だんだんと亮の理解の範疇を越えて行く蓮の話。

一旦冷静に戻るべく、亮は彼の家族の話を持ち出した。

「おい、お前このこと親とか姉ちゃんに話したのか?」

「俺の就職だぜ?なんで姉ちゃんが出てくんのよ?」



蓮は苛ついた口調で素っ気なくそう返すと、再び亮に向かって勧誘を始める。

「いいから、亮さんも一緒に入ろうぜ。中卒以上ならオッケーみたいだから。

亮さん今無職だから真っ昼間からゴロゴロしてんだろ?何してんのかも謎だしさぁ」




「早く申し込んでよ!つーか俺が代わりにやったろか?」

「はぁぁ‥」



甘言を誘う蓮の前で、亮はただただ呆れて口を開けていた。

風向きが、変な方向へと変わって行く‥。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<甘言>でした。

い‥嫌な予感しかしないよ、蓮‥

本当考えが短絡的というかなんというか‥。暗雲立ち込めてまいりましたね‥。

そして今回の見どころは冬も近いというのに自宅では黒タンク&裸足の亮さんですね。眼福!!ww


次回は<はぐれ者達の会話>です。


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