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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

横山翔の復讐(2)

2014-03-30 01:00:00 | 雪3年3部(萌菜ズボン~横山の復讐)
「プフフ‥プフフフ‥」



横山はこれからの展開を予想すると、笑いが止まらなかった。

今は笑みを浮かべている青田淳も、切り札となるあのメールを見せれば青ざめるだろう‥。

横山はポケットから携帯を取り出そうとした。すると青田淳は笑みを取り下げ、独りごちるように呟いた。

「何をしようとしてるのかさっぱり分からない」



へっ?と横山は拍子抜けの声を出した。

彼は警戒や緊張など、横山の予想するその全ての反応以外のそれを見せたのだ。



淳は横山に背を向けると、

「人も来ないし帰るよ。それじゃ」と言って出ていこうとする。



横山は幾分慌てて、歯噛みしながらもう少し踏み込んだ言葉を掛けた。

「てか、遊びにしちゃあ赤山は長く引きずり過ぎじゃないすか?」



その言葉を聞いて、淳は足を止めた。

淳はゆっくりと振り返り、背の低い彼を俯瞰する。



横山は意地の悪い表情で言葉を続けた。

「先輩、あんた別に赤山のこと好きなわけじゃないんでしょ?

俺と赤山をくっつけようとしてたことを考えれば、自ずと答えが見えてくるってもんすよ」




横山は淳にゆっくりとにじり寄って行った。

言葉を続ければ続けるほど、胸の奥底に溜まっていた憤りが沸々と湧いてくる。

「どうせ赤山にも恥かかせて休学させるんでしょ?

それならインターン前にさっさと終わらせりゃいいじゃないすか。何仲の良いフリをズルズルと‥」




横山は雪と淳のことを足がかりにして、自分のことへと話を引き寄せた。

「あたかも俺にしたようにね」



胸の内が、憎しみで燃え始める。ギリリと歯を噛んで言葉を紡ぐ横山であったが、

淳はそんな彼を俯瞰しながら、淡々と言葉を返した。

「何の話? さっきから一体何を言ってるんだ?

お前が何の話をしてるのか、全く分からないんだけど」




一貫した淳の”知らんぷり”に、横山は徐々に感情が抑えきれなくなっていった。

彼を見上げる表情には怒りが漲り、瞳の中に憎しみが燃えている。



脳裏に浮かぶのは、去年淳から掛けられた優しい言葉や態度だった。


そうだな、お似合いかもな



赤山と自分の仲をどう思うかと聞いた時、彼は微笑みながら確かにそう言った。

そして去年の夏休み前に催された飲み会で、悩みを打ち明けた時も‥

青田先輩、ひょっとしてまだオレにムカついてます?

わざと避けてるんじゃないっすか?オレがメール送っても無視して‥




落ち込みながらそう言った自分に、淳は新しい携帯番号を教えてくれた。

にこやかに声を掛けながら。

本当にこれ以上謝罪はしなくても大丈夫だよ。もう休みに入るけど、楽しんでな。

挨拶とか相談事とかあれば、いつでもメール送ってくれていいから




あの球技大会以降、周りの人達は自分に冷たくなった。

そんな中淳から優しくされ、横山は素直に嬉しかったのだ。

若干の下心(権力のある青田先輩の目に掛けられているという)も、勿論持ちあわせてはいたが‥。




「何を言ってるのか分からないだと?」



一貫してしらばっくれる淳を前にして、横山は遂に声を荒らげ始めた。

ポケットから携帯電話を取り出し、淳の目の前でその証拠を突きつける。

「よくもそんな厚かましいこと言えるな?!

去年あんたが送ってきたメールがまだここに残ってんだよ!」




横山は淳から送られてきた三通のメールを、次々と表示した。

<正直に告白するのが、やっぱり一番良いんじゃないかな>

<告白が難しいなら、アクセサリーやぬいぐるみを送ってみたら?>

<そうか、休みだと会うこと自体大変だろうね。同じ塾に通って、一緒に勉強してみたら良いんじゃない>




横山は携帯を手元に戻すと幾分気分を落ち着かせて、切々と自分の感情を語り始めた。

「‥休学申請した後、考えれば考える程怒りが込み上げてきて‥。これらを永久保存したんす。

内容だけ見たら大したこと無いメールですが‥」




そして横山は暗く翳った視線を纏った。

彼の切り札だった。

「これを赤山に見せたらどうなるでしょうね?」



横山は俯いていたので気付かなかったが、その一言で淳の表情は少し変わった。

今まで想定内のシナリオを辿っていたそのストーリーに、投じられた一石で少し流れが変わるような。



しかし横山は俯いたまま、尚も話を続けている。

「おかげで俺はストーカー呼ばわりされて‥噂が怖くて休学までしたんすよ。

けど‥俺にはそんな非道い仕打ちをしておいて‥」




横山は唇を噛み締めながら、鋭い視線を淳に向けた。

貶められたことよりも、休学させられたことよりも、一番気に障ったことはー‥

「二人が付き合ってるだって?」



横山は真正面から淳を見据え声を荒げた。

「あんたら二人俺を弄んでおいて、のうのうと楽しく暮らすつもりじゃないだろうな?!

赤山に真実を話した後、俺を貶めたことを骨に凍みるほど後悔しやがれ!!」




「自分の彼氏が自分にストーカーをふっかけた犯人だなんてな!」



横山は淳を人差し指で指差し弾劾した。(でも俺がストーカーというのは誤解だ、と彼は小さく呟いていたが)

淳は黙り込んだまま、暫しニヤついた横山と向かい合う。

「‥‥‥‥」



横山は自分のシナリオ通りに物事が運んでいっているのを感じ、心の中で嗤っていた。

視線の先には、俯きながら何かを考えあぐねている青田淳が居る。



見ろよあの表情。今必死で頭を働かしてるんだろうが、気が気じゃないはずだ。

けれどどんな言い訳をしようが、奴は今の俺を説得出来ない‥




そんな横山の考えには、裏付けがあった。メールという確たる証拠を持っていることに加え、

更に彼は秘密兵器を隠し持っていた。ポケットに突っ込んだ手をゴソゴソと動かす。

しかも今この会話を録音してる‥。約五分後に皆が到着するのに合わせて、

これを暴露するんだ‥。




自分を焚き付けたメールと、録音している今の会話‥。証拠はぞくぞくと揃って行く。

更にこれから弁明なり何なりをする淳の言葉が、更なる証拠となるだろう‥。

自分の計算は完璧だと横山は思い、不敵な笑みを漏らした。



録音していることを知ろうが知らなかろうが、肯定しようが否定しようが、どちらにしても淳は身を滅ぼすことになる。

時限爆弾はセットされた。

それは約五分後に爆発し、経営学科全体に激震が走るだろう。

横山はその様子を想像し、身震いした。

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<横山の復讐(2)>でした。

淳視点からの横山との話はこちらの記事

さぁ、横山のしかけた時限爆弾は爆発するんでしょうか~?

次回<横山の復讐(3)>へ続きます。

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