ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

平凡な校長

2018-09-10 07:11:27 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「学校という舞台に」9月3日
 『ニッチ文学賞続々』という見出しの記事が掲載されました。『人気の高い題材に絞ったニッチな新人文学賞を、小学館が立て続けに創設している』ことを取り上げた記事です。『警察小説大賞』や『食がテーマの小説を対象とした「日本おいしい小説大賞」』などが、募集中だそうです。『読者のニーズを見据えた才能発掘の試み』ということです。
 今期のテレビドラマを見ても、警察はもちろん、医療現場や企業、出版業界や華道界、市役所やミュージカル劇団など、様々な「職場」が、舞台となっています。これらの多くに原作があります。つまり、小説として取り上げられているのです。いずれ、医師小説大賞や企業小説大賞、役所小説大賞なども創設されるかもしれません。
 そこで私は考えてみました。教員小説大賞はできるか、と。結論は、できない、でした。考えてみれば不思議です。医師や弁護士、検察官や裁判官、企業経営者などよりも教員の数は多いと思われますし、裁判官や検察官と関わりを持った経験のある人は少ないのに対し、教員の知り合いがいないという人はほとんどいないはずなのに。それだけ身近なはずなのに、です。
 私はその原因として、「教員小説」を考えた場合、内容が重複しやすいことが挙げられると考えています。つまり、いじめ、進学、恋愛、友人関係などに悩み苦しむ子供がいて、教員が力になろうとする問題対処型というパターンにならざるを得ないということです。差別化を考えても、スーパーティチャーが常識破りの活躍をするか、未熟な若い教員が共に悩み成長していくか、くらいしかありません。
 私は、教員という職について、多くの人に関心をもってもらいたいと考えています。だからこそ、教員小説大賞などということを考えてしまったのです。ワンパターンに陥りがちの教員小説に新風を吹き込むための策があります。新しいタイプの教員小説として、校長や副校長を主役にするということです。
 病院長や警察署長、企業経営者を主人公にした医療小説や警察小説、企業小説があるのですから、校長を主人公にした教員小説があってもよいのではないでしょうか。教職員や保護者、地域の有力者や市町村議員など、学校を舞台にしながら大人しか登場しない小説というだけで斬新でしょう。
 従来は、子供のことを最優先に考える教員=善、体面や出世を優先させる自己保身的校長=悪、という描き方が多かった学園ものを、逆転させる書き方も面白いはずです。校長会や教委との関係、いじめや体罰の対応など、校長側から描くと違う状況をしめせるはずです。
 校長を主人公にした物語を書いてくれる作家か作家志望の人はいないものでしょうか。超法規のスーパー校長ではなく、平凡な校長を主人公に。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第一次相談レベル | トップ | 「差別発言」という誤解 »

コメントを投稿

我が国の教育行政と学校の抱える問題」カテゴリの最新記事