今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

真珠記念日

2005-07-11 | 記念日
今日(7月11日)は、「真珠記念日」
1893(明治26)年、三重県鳥羽町の御木本幸吉夫妻が、初めて真珠の養殖に成功した。養殖場を始めてから3年目で、半円形ながら5粒の養殖真珠が収穫された。円形の真珠は1906(明治39)年に完成した。
真珠は貝の体内で生成される生体鉱物である。貝の種類によりさまざまな真珠があるが、加工が容易で美しい光沢に富む天然の真珠は、古くから、世界の人々に純潔と幸福のシンボルとして愛好されきた。この真珠は、約5000年前、既に、ペルシャ湾や紅海で採取された貝の中から発見されたと云われており、クレオパトラが美容を保つ為に酢に真珠を溶かして飲んだとか、秦の始皇帝が不老長寿の薬として探し求めたとか、あの有名な楊貴妃が真珠を粉末にして常用したとか昔から真珠にまつわる話は色々な物語の中にも出てくる。
「わが欲りし野島は見せつ底ふかき阿胡根の浦の玉そ拾はぬ」
我が国においても古く万葉集の中にも「あわび」「玉」「白玉」と読まれているものは、真珠の事であると言われており、古くからあった事が伺える。
御木本幸吉は、1858(安政5)年、三重県鳥羽市に生まれた。早くから起業家精神が旺盛だった幸吉は、1878(明治11)年東京、横浜、大阪、神戸といった都市へ視察旅行に出かけた時、真珠が高値で取引されるのを見て以来真珠に取り付かれ、翌1879(明治12)年、英虞湾神明浦で真珠母貝の養殖を始め、1890(明治23)年、東京上野で開催された第3回内国博覧会に母貝を出品した際に、水産学界の権威である箕作佳吉(みつくり・かきち) 博士と知り合い、アコヤ貝の中に砂などの異物が混入すると身を守るため真珠質を分泌して、異物を包み込みその層が厚みを増して真珠になるというアドバイスを受け、人工的に真珠を作り出す研究に取り組んだ。そして、アコヤ貝の殻の内面に半円形の真珠を作り出すことに成功し、1896(明治29)年、特許を取得。この成功をもとに、真円真珠を養殖真珠で作りだすための研究を続け核の周囲に真珠質を取り巻かせる方法によって真円の真珠を作り、世界で初めて養殖真珠の企業化に成功した。
以降、日本近海はアコヤ真珠の生息に適した環境であることが幸いし、三重県、愛媛県、熊本県、長崎県などを中心に、各地に養殖場が作られるようになったが、その当時、真珠は日本の庶民にとって高級品で、国内需要が殆どなく養殖真珠は、その殆どがアメリカを始め、ヨーロッパ各地に輸出されていた。当時の輸送手段は船であった為、真珠は各養殖場から比較的近くにある国際貿易港、神戸港から輸出された。又、真珠の選別や加工をする際の気候条件も適していることから、神戸には多くの真珠会社が設立され、各養殖場から産出された真珠の殆どが神戸に集まってくるようになった。現在でも、神戸は日本の真珠加工・流通の約80%のシェアを誇り、輸出は勿論、国内向けも、その殆どが神戸から流通していると言っても過言ではない。
真珠と言えば日本そして、神戸だった。しかし、今、その日本の真珠、神戸の真珠業界がピンチに立っているようである。
田崎真珠社長の田崎俊作氏は、以下のように言っている。
日本の真珠の品質の良さが世界から評価された背景には、養殖技術、加工技術の高さに加えて、制度面にもあり、「真珠養殖事業法」は、神戸ですべての輸出品のチェックを義務づけ、「質の低い製品を排除し、真珠の信頼を保つ役割があった」(日本真珠輸出組合)という。しかし、阪神大震災での震災復旧下の1998(平成10)年、規制緩和の中で「同法」が撤廃され、輸出前の品質検査がなくなった。そのため、「以前なら商品になるのは全生産量の三割にすぎなかったものが、それまでの水準以下の真珠でも売れるようになった」。調度、アコヤ貝の感染症で品薄に苦しんだ時期でもあったらしい。それで、それまで市場に出なかった真珠が流入し、高品質商品の価格までが低下した。企業ブランドを守るため企業単位での品質標準は保たれたが、神戸の真珠業界は、世界が認めた標準を失った。
今やタヒチやオーストラリアなどで生産される黒蝶や白蝶、中国産の淡水真珠は、生産量でアコヤと肩を並べる。世界の真珠となった今、各国の利害がぶつかり合う中、“お墨付き”を求めて集まっていた真珠は神戸を離れていったと言うのである。困ったものだね~。一度信用を失うと、その信頼回復は難しい・・・。なんでもそうだが、そのとき限りの変な妥協はしないことが大切だよ・・・。
6月の誕生石が真珠であることから・6月1日を日本真珠振興会が「真珠の日」に制定している。
参考:
ミキモト
http://www.mikimoto.co.jp/
真珠:(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%8F%A0
万葉集に詠まれている貝
http://www.fsinet.or.jp/~bivalves/yomareteirukai.htm
復権かける神戸の真珠/”求心力”の源を求めて: 神戸新聞WEB NEWS
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/0105tikei/0105tikei_7.html