ハイカーホリックの介護日記~機能訓練指導員の一日~
体の衰えは筋肉の衰えです。筋肉を復活させる事に全力を尽くします。
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約2年前の6月、その年の九重は何10年ぶりかのミヤマキリシマの当たり年とかで大勢の登山客で早朝から賑わっていました。
前日の深夜に牧の戸峠の登山口に到着し、どうにか駐車場を確保して長男と2人、夜を明かしました。5時に目を覚まして外に出てみるとすでに多くの人たちが山に入っていました。ところが濃いガスにおおわれていて、とてもよい天気とはいえません。長男に「帰ろうか?」と言ったのですが、「いや、絶対に登る」と言ってきかないので登山を開始しました。今では部活などで忙しく「行こう」と誘っても、もうついて来てくれなくなりました。この山行が長男と2人で登った最後の山行になったのです。
途中から熱心に花の写真を撮っておられるご夫婦とご一緒し、平治岳と並ぶミヤマキリシマの名所である扇ヶ鼻に着いたときにはガスもすっかり晴れ、とてもいいお天気となり、さらに眼下には雲海が広がり、それはとても素晴らしい光景になっていたのです。長男は「ほら、僕の言うとおりにして良かったじゃろ」と生意気な口をきいていました。
ご一緒させていただいた奥様の感激のされ方がとても素敵で、そして山の上でご夫婦が肩を並べて座り、なにやら話をされている様子は僕のこれからの山行の目標となったのです。子供たちが離れていって、いつか妻と2人になったときにこうやって夫婦で登りたいのです。
奥様の「ウワァー」と感激される様子はとても素敵で、僕もこの「ウワァー」のために早起きをし、遠くまで出かけ、きつい思いをして頂を目指すのです。将来妻が一緒に来てくれるかどうかはわかりませんが、感激を分かち合いたいのはやっぱり妻なのです。

その僕が目標とするご夫婦に約2年ぶりに由布岳の麓で再会しました。相変わらず仲がよろしくて、僕の山の仲間たちも「いいわねぇ」ととても羨ましいようでした。

★西側からの由布岳


日本でだだっ広い原野のような場所が見れるのは北海道と九州くらいになってしまったようです。北海道はいろんな場所で見ることができるでしょうが、九州では九重から阿蘇に至る「やまなみハイウェー」の沿線で見ることができます。
九州のは原野といっても人の手が入っていないわけではなく、人の手で守られている原野です。春には「野焼き」といって大地を焼きます。そうすることによって草原は守られ、牛たちにとって良い草が生えてくるのです。
よく「日本の原風景」といって農村の風景が紹介されたりしますが、これは農耕を主体とした生活をしていた時代のことなのですね。こういう風景は本能に働きかけるのか、「ほっ」としますよね。原野はさらにそれ以前の狩猟・採集を主体とした生活をしていた時代の原風景だと思うのです。ですからさらに本能の奥深くに訴えかけるものがあるような気がします。
それにしても西側から見上げる由布岳は双耳峰で見事な形をしています。

★南側からの由布岳


九重から阿蘇に至る原野の始まりはこの由布岳の山麓あたりから始まるように思います。ここでは見渡す限りの草原を見ることはできませんが、早春には「野焼き」が行われます。
NHKのドラマのオープニングに出てきたような緑色の由布岳になるにはもうちょっと時間がかかりそうですが、山麓は緑色になりつつありますね。

★キスミレ


「野焼き」のあとの真っ黒になった大地からまず出てくるのがこのキスミレです。ですからこの由布岳のあたりから阿蘇に至るまでのいろんな場所でこの時期、キスミレの大群落を見ることができるのです。
スミレという植物は安定した場所では花をあまり咲かせず、閉鎖花で子孫を残していく習性があるようなのですが、一旦大地が不安定になると一気に花を咲かせるそうです。ですから土砂崩れや山火事などの後にはスミレの大群落が出現するそうです。

★ヤマエンゴサク


ヤマエンゴサクの花もあっちこっちに咲いていて、とてもキレイでした。

★ヤマザクラと新緑がキレイな山麓


由布岳の登山口へは別府からやまなみハイウェーをたどり、鶴見岳の麓を通り、城島高原を抜けて行きました。その間の山肌のヤマザクラが見事だったのです。丁度見頃で車の中では感激の声がこだましていました。天気がこの時はまだイマイチだったのでいい写真が残せませんでしたが、「これなら吉野の千本桜を見に行かなくてもここで十分楽しめるよね」なんて話をしていました。

箱庭さ~ん、早く足を直して、今度は山口県の山を一緒に歩きましょうね。そしてまた一緒に「ウワァー」と叫びましょうね。

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