神奈川県西部で時折聞こえる「ドーン」という音
「神奈川県温泉地学研究所」の定期刊行物「観測だより」2017年号に、「時々問い合わせのある音のこと」という文が載っている。「神奈川県西部の人たち」から「今朝からドーン、ドーンという音が聞こえるが、箱根で何かあったのではないか?」という質問が来るそうです。2015年5~7月には大涌谷で水蒸気噴火があったので、神奈川県西部の人たちは箱根の山の異変に敏感になっているのでしょう。
私は「ドーン、ドーン」で何か直ぐにわかった。問い合わせる人が「神奈川県西部の人たち」というのがミソです。神奈川県の人が、「神奈川県温泉地学研究所」に問い合わせても不思議では無いですが。
この記事では、「ドーン」という音が地震計に振動として残っているので、音の速度から発生地を推定している。そこは箱根の東側で、富士山の東麓。そう、推定した場所の近くには、自衛隊の東富士演習場がある。「観測だより」では、自衛隊に遠慮したのか、自衛隊の自の字も出て来ないが、「ドーン、ドーン」の音は東富士演習場の「大砲」の音です。
静岡県東部(箱根の西側)の人たちなら「東富士演習場」はなじみがあるので直ぐに分かるでしょうが、「神奈川県西部(箱根の東側)の人たち」は「東富士演習場」から少し離れている(間に箱根の山がある)ので、なじみが無いし大砲の音が聞こえるとは想像もしていないのでしょう。
東北大震災は直ぐに起きると想定できたか?
海岸の津波の痕跡を調査していた産業総合研究所の海溝型地震履歴研究グループが、450〜800年間隔で津波が発生したことを突き止めて論文で発表したのは2010年。2011年3月の東北大震災の1年前。そしてこの論文は一般には衆知されていなかった。一部で共有されていても、国民全体で共有されないと減災には意味が無い。
いったい東南海地震は何時起きるのか?
あれだけ直ぐに起きると言われていた東海地震は、40年経っても未だに起きていない。それどころか、東海地震の震源域とは違う地域で大地震がバンバン起きている。これはもう「嘘つき!」あるいは「オオカミ少年」と言って良いレベルです。近頃は東海地震なんて静岡以外では誰も口にしない。その代わりに、東海地震も含んだ東南海地震の発生確率が高いと言われているので、海岸には避難タワーを作った所もあるが、皆さん本気で大地震が起きると思っていない。思っていても、地震が起きた時に何をすればよいか、頭の中が整理しきれていないし、あるいは諦めている人もいる。東南海地震が本当に起きると思っているのなら、東京の沿海部にこんなに多くのタワーマンションが建つはずが無い。
喜界カルデラの大噴火は何時起きるか?
九州南部の喜界カルデラは約7300年前に破局的噴火を起こしているので、再度の破局的噴火が予想されている。しかし、それがいつ起きるのか? 噴火の影響があまりに広範囲に及ぶので、将来起きると言われてもどうすりゃ良いんだ。原発だけ廃止して、あとはそのまま生活するのか? それとも、今から全員避難するのか?
喜界カルデラの破局的噴火が起きると思っている人は、東南海地震が起きると思っている人よりもさらに少ない。
日本でオーロラが見えたらどうなるか?
国立極地研究所などの研究グループは、古文書から鎌倉時代に京都で赤いオーロラが見えたことを突き止めた。オーロラが見えたと言うことは、この時期、太陽の活動が活発で大きな磁気嵐が地球に到達したと言うこと。鎌倉時代なら磁気嵐が来てもオーロラが見える程度でだけど、強力な電磁波が地球に降り注ぐので、現代では通信障害が起こり、生活に大きな支障が出る可能性がある。
2024年5月には、日本の一部で低緯度オーロラが見え、磁気嵐も発生したけど、通信障害などの大きな不具合は報道されていない。大きな磁気嵐が来なかったのか、大きな磁気嵐が来ても通信障害が起きなかったのか? どっちなんだ! この辺りをハッキリ書いている記事は見たことが無い。
地震、噴火、磁気嵐、いったいいつに起きるのか、それとも起きないのか? その事前の備えをどうするんだ! 東北大震災は、東北に起きる大地震の痕跡を見つけてから1年後に起きたが、次の大地震と大噴火は明日か、1年後か、10年後か、100年後か?
裁判所のアホ!
2014年の御岳山の噴火で、地方裁判所は「噴火2日前に気象庁が噴火警戒レベルを引き上げなかった判断について『合理性が欠けた』」(NHKから引用)としたが、今の研究・観測状況で責任が取れる訳が無い。裁判所は科学や技術が絡んでくると、状況判断を誤り間違った判決を出してきた。
こういうアホな判決を出すから、政府は地震についても根拠の薄い適当な情報を出すことになる。こんなことが続くと、政府の情報なんて誰も信用しなくなる。
2024年8月11日