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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

ファナックの創業者と息子

2019年06月03日 | 会社

ファナック社長の稲葉善治氏が退任して、次期社長は一族以外の人が就任するという報道が出ていた。このニュースを見て私は感慨深いものがあった。

 

「ファナック(FANUC)」というと、私には「富士通ファナック」という名前の方に馴染みがある。この名前でわかるように、「ファナック」は富士通の数値制御装置部門がスピンアウトした会社。初めは「富士通ファナック」という社名だったが、富士通が株式を売却したので「富士通」を外して「ファナック」になった。「富士通」を外して「ファナック」になっても、FANUCFは富士通のFのはずなんだけど。

 

富士通も、富士電機の電話交換機部門がスピンアウトした会社なので、スピンアウトは伝統なんでしょう。以前にも書いたこともありますが、昔知り合いの女性は、「日通」からの連想なのか、「富士通」を運送会社と思っていた。

 

富士通ファナックがスピンアウトした時の社長は、富士通の部長だった稲葉清右衛門氏。もちろん私は稲葉清右衛門氏と面識はありません。

 

昔、晴海だったか台場だったかの国際展示場に自動機の展示会を見学に行ったことがあった。ファナックは広い展示スペースを持っていて黄色の自動機が動いていた。同じ動作を素早く黙々と繰り返す自動機を見ていたら、人だかりがやって来た。その中の恰幅の良い背の低い人が稲葉清右衛門氏と直ぐにわかった。

 

その稲葉清右衛門氏の後ろに付き従っているのが息子の善治氏というのも直ぐにわかった。稲葉清右衛門氏は周囲にいろいろ質問したり、指示を出していたりして、創業者らしく精力的に見えた。対照的に息子はおとなしく黙って後ろに従っていて、仕事ができるように見えなかった。この時、稲葉清右衛門氏が会長で、息子は社長だったと思う。この様子から、会長は死ぬまで居座り、ぼんくらな二代目社長は言われたとおり動くお飾り社長となりそうで、この会社は大丈夫かな?と思った。

 

その数年後だったか、稲葉清右衛門氏は役職を辞任するという記事が出たので、意外な感じがした。稲葉清右衛門氏はやけにすんなりと役職を明け渡したなと。この間の詳しい事情は分からないが、あの精力的に見えた創業者会長をよく説得できたなと思った。(もしかしたら、健康問題?)

 

一方で、創業者会長がいなくなったファナックの先行きは大丈夫かと思ったが、意に反しファナックの業績は好調で、二代目社長も頑張ったようです。人は見掛けに寄らんなあ。その二代目社長も引退して、一族以外の次の社長に引き継ぐことになるとは思いもよらなかった。人は見かけに寄らん。会社の内部事情も外部からはよく分からん。創業者や中興の祖が頑張っている会社で、「ファナック」のように後継者が決まった例は珍しい。

 

自動車の「スズキ」を見ていると、息子の社長は未だに実権が無いように見受ける。「リクシル」の元の企業の一つのトステムの創業者はやり手だったかもしれないが、ボンクラの息子を後継者にした。そういえば、東京ガスの会長だったかが、創業家でも大株主でも無いのに、息子を社長にしたことがあった。こういうのを「晩節を汚す」というのだけど、こういう例はいまだに多い。

 

2019.06.03

 

 


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