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『跳びはねる思考』

2014-10-30 | 生き方

 『 跳びはねる思考 』

              東田 直樹

                                            

    自閉症である東田直樹さんが考えていることが書かれています。合間に編集部さんとのインタビューもあります。自閉症の人はなぜ出会った人にうまく挨拶ができないのかという問いに彼は、こう説明しています。

「僕には、人が見えていないのです。人も風景の一部となって、僕の目に飛び込もんでくるからです。山も木も建物も鳥も、全てのものが一斉に、僕に話しかけてくる感じなのです。それら全てを相手にすることは、もちろんできませんから、その時、一番関心のあるものに心を動かされます。引き寄せられるように、僕とそのものとの対話が始まるのです。それは、言葉による会話ではありませんが、存在同士が重なり合うような融合する快感です。」

今回は 彼の 「 目 」という作品からUPしますね。

 

  目

夜になって眠る直前、僕は天井をじっと見つめることがあります。すると、天井との距離が縮まって、自分と天井が一体化したような感覚に陥るのです。

 花などを見た時には、花びらの一枚一枚やおしべ、めしべなど、花全体というよりも部分が目についてしまいます。この世界にどっぷりとひたり、身動きできなくなってしまうのです。

僕にとって、このふたつは、似ているようで少し違います。天井は、向こうから迫ってくる感じですが、花は、自分から飛び込む感じだからです。

目で見るということは、脳が物体を認識することです。それなのに、自分の体ごとその世界に入り込んでしまうこのような錯覚は、とてもおもしろいものだと思います。

 

何を、どのくらいの時間見るかを、僕ではなく目が決めている瞬間があるような気がします。

 僕は、池に小石を投げた時にできる波紋にうっとりしたり、時間も忘れ、走っている自動車のタイヤの回転に注目したりしますが、なぜ目が向くのか、自分でもわかりません。しかし、これらは目が脳に見せたい映像に違いないと思います。

 脳と目が独自の働きを持ちながら、共存しようとしているのかもしれません。目が見せてくれる世界を、脳は楽しんでいますが、それは僕の幸せでもあります。

「助け合い」は、人と人とのあいだだけではなく、ひとりの人間の肉体の中でも、お互いを尊重し、譲り合うという行為が行われているのではないでしょうか。

 

目を閉じても脳は、働き続けています。

好奇心いっぱいの僕の目は、明日何を見せてくれるのでしょうか。

そんな期待を抱きながら布団にもぐり込みます。

暗闇の中で、僕の脳裏をかすめるのは、いつかどこかで見た景色です。

その場所を思い出せた瞬間、僕の脳も眠りにつくのでしょう。

  

    昔々に忘れ去られた感覚を 呼び覚ましてくれるような感じがします。

     なんとも不思議です。

 

      東田直樹オフィシャルブログ⇒  http://higashida999.blog77.fc2.com/

 

  

       

          最後までお読みくださって ありがとう 

              つながっているすべての人に ありがとう