陽 気 村

フィーリングを楽しんじゃおうっと

『リトルターン』

2009-08-30 | 童話
『 リトルターン 』

                  ブルック・ニューマン作 

              五木寛之訳 リサ・:ダークス絵

  

 絵本のように読みやすいのですが、考えさせられるんだな~。

この物語の主は一羽のアジサシ。ある日、突然、飛べなくなってしまう。

さて、このアジサシくんは、また飛べるようになるだろうか?

そして彼が気づいたこととは?

 

  

ある朝、太陽がのぼって海岸の上に輝くと、ぼくは自分の影がぼくのすぐそばにあることに気づいた。


以前から影はあったのだろうけれど、その朝まで、そんなことにぼくは気づいたことがなかったのだ。


物がそこにずっとありながら、まったくそれに気づかないことは、何と奇妙なことだろう。

影を見た瞬間、ぼくにはそれが大発見に思えた。

それは海岸に埋まった繊細なウニの一種を見つけ出すのと同じだった。
それはぼくにとって簡単な仕事ではない。

それは、大変むずかしいことだ。


ハリケーンの季節にウニを見つけ出すのは厄介な仕事だ。


太陽がギラギラ輝いている時にそいつを見つけ出すのも厄介だ。


風が吹いている時には厄介だ。


ひょうが降っている時にウニを見つけ出すのは厄介だ。


高波の時にも厄介だ。


海岸を稲妻が襲った時は厄介だ。

とても寒い時は厄介だ。


とても暑い時も厄介だ。


海岸に人間がいる時は厄介だ。


海岸にたくさんの犬がいる時は厄介だ。

または馬がいる時。


または羊がいる時。

 

ところが、ウニを見つけ出すのが大いに厄介な仕事であるように、影というやつも、いちど発見すると、最初から簡単に見つけ出せるものよりも、さらに大きな価値がある。


すごいことだ、とぼくは考えた。この影はずっとそこにあったのだから。

きっと失われていたのではなく、ただ、置き忘れていたのだ。この影はこれまで、見えず色もなく、目的も、本当の個性もなかったけれど、いまは見事なまでにしっかりと存在しているではないか。


ぼくは影のことを考えた。飛んでいる鳥のそばに影がないことを考えた。着地した時にだけ、鳥は自分の長く伸びた黒い存在を思い起こすことができる。


影は、そこにはなくても存在するものを思い起こさせるのだ。その時までぼくは、自分の影の存在に気づかず、その意味ではすべてのものたちの影の存在に気づいていなかった。


鳥は、その羽や翼がどれほど価値があり素晴らしいかを知らなければ、本当に飛ぶことはできないのだ。高い空を飛ぶために、鳥は翼の下にあるすべての本質を見る必要がある。


そうでないと、惑星の上をただ無目的に飛んでいるだけにすぎない。

 

 

    この影ってなんだろう?飛んでいる時でもきっとどこかに影はうつしだされているだろう・・・・・

子供の頃、地面に飛行機の小さくなった影が動いているのをみて

驚いたことを思い出すんだなぁ~    

 

 

                 今日も最後までお読みくださいまして ありがとう 

                                      つながっているすべての人に ありがとう    

 

 

 


『ふわふわさんとチクチクさん』

2008-04-06 | 童話

ふわふわさんとチクチクさん(扶桑社)

            『 ふわふわさんとチクチクさん 』

                   クロード・スタイナー作/こばやしまさみ訳/柴田淳絵 

   ふわふわさんとチクチクさんのお話です。はじまりはじまり~     

昔むかし、ずーっと、ずーっと、昔のことです。

あるところに、ティムとマギーというとっても幸せな夫婦が住んでいました。
ふたりには、ジョンとルーシーというかわいい子どもがいました。
そのころには、誰もがみんな神様から小さな柔らかいふわふわしたバックをプレゼントされました。
バックの中には、あたたかなふわふわしたものが、いっぱい詰まっていて、ほしい時には、いつでも、それを取り出すことができました。
このあたたかいふわふわしたものを人にあげると、あたり一面に、ほのぼのとしたあたたかな空気が満ちあふれるので、みんな“ふわふわさん”と呼んで、大好きでした。
この“ふわふわさん”は、人びとが生きていくうえでとても大切なもので、もらえないと、こわい病気になったり、死ぬこともありました。
でも、そんな心配はまったくありませんでした。なぜなら、“ふわふわさん”は、村中に満ちあふれていたからです。
もし、“ふわふわさん”がほしくなったら、いつでも、誰かのところに行って、
「“ふわふわさん”がほしい」と言えばよかったのです。
“ふわふわさん”は、お日様に当たったとたん、ニッコリほほえみ、やわらかい長い毛がいっぱいに膨らんで、大きくあたたかく成長します。
“ふわふわさん”が体に触れると、あたたかでとっても良い気持ちになります。
誰もが自由に“ふわふわさん”のやり取りをしていたので、村にはあたたかい雰囲気が満ちあふれ、人びとは幸せでいっぱいでした。  

ところが、病気をいやす薬を売っている悪い魔女にとっては、非常に腹立たしいことでした。
なぜなら、人びとが幸せだと、心や体の病気にならないので、薬を買いに来る人が誰もいないからです。
この魔女は、悪知恵が働いたので、とても意地の悪いことを考えました。

ある素晴らしく天気の良い日のことです。
魔女は、マギーが子どもたちと遊んでいるすきに、ティムのところににじり寄ってきて、ささやきました。
「見てごらん、ティム。マギーが子どもたちにいっぱい“ふわふわさん”をあたえているだろ。このままだと、全部使い切ってしまって、おまえのために何も残らないよ」
ティムは驚いて、魔女のほうを振り向いて言いました。
「“ふわふわさん”は、いくら使ってもなくならないし、いつでも取り出せるわけじゃないのかい?」
「そんなことあるわけないさ。一度なくなってしまうと、それっきり!もう二度と手に入らないよ」
こう言い残すと、魔女はカッカッカッと高笑いしながら飛び去っていきました。

月日が過ぎました。

“ふわふわさん”のやり取りが本当に少なくなって、村中に満ちあふれていた、ほのぼのとしたあたたかさがなくなってきました。
村では“ふわふわさん”が手に入らないので、病気になって、死ぬ人もでてきました。
そこで、病気を治すために、人びとは魔女のところに行き、効きめを疑いながらも、飲み薬や塗り薬を買いもとめました。
最初、魔女は、薬が売れるので、喜びました。
しかし、村の様子はますます深刻になっていったのです。
人びとが死んでしまっては、薬を買ってくれる人がいなくなります。また、薬が効かないことが分かってしまいます。
そこで、ふたたび悪知恵を働かせました。

魔女は人びとに、ふわふわバックにとても似ているバックをプレゼントしました。
ところが、ふわふわバックはあたたかでしたが、こちらは冷たくて、中には、冷たいチクチクしたものが入っていました。
この“チクチクさん”をもらうと、冷たくて、チクチク刺すようないやな感じがします。しかし、“チクチクさん”でも、もらうと、死ぬことだけはまぬがれたのです。
そこで、人びとは「“ふわふわさん”がほしい」と言われても、“ふわふわさん”がなくなっては困るので、かわりに“チクチクさん”をあたえるようになりました。

人びとの生活は、ますます混乱してきました。
以前は、空気のように自由に入っていた“ふわふわさん”が今では非常に高価なものとなったのです。

そこで、人びとは、二人ずつ組んで、おたがいのためだけに“ふわふわさん”を蓄えるようになりました。
また、パートナーを見つけることができなかった人は、高価な“ふわふわさん”を買わなければならないので、必死でお金を稼ぎました。

そこで、“チクチクさん”を白い綿毛でおおったにせものの“ふわふわさん”を造って売る人が出てきました。

 

  このお話の続きなのですが、ふくよかなあたたかい微笑みたたえた愛らしい女の人が村にやってくるんです。このふくよかな女性は、何も恐れず、人びとに自由に“ふわふわさん”をあたえたんですね~

                ふわふわな一日でありますように       

              最後まで読んでくださってありがとう 

                               つながっているすべての人にありがとう 

                           

 


『ぼくがつ ぼくにち ぼくようび』

2008-02-17 | 童話

ぼくがつぼくにちぼくようび(平凡社)

           『 ぼくがつ ぼくにち ぼくようび 

               荒井良二 絵・文 

<著者紹介>1956年生まれ。日本大学芸術学部卒業。絵本作家・イラストレーター。個展、絵本のワークショップ、ライブコンサート、講演などを行う。

 「ぼくがつ ぼくにち ぼくようび」このタイトル気に入ってます。このあとに言葉を続けるとしたら「ぼくじ ぼくふん ぼくびょう」かなぁ~? 

 

ぼくがつ ぼくにち ぼくようび

ぼくが歩いていると
夕方いろしたピンクの雲に
なにかいいことあったの?
と聞かれたのでぼくは、いいえべつにありませんよと答えると
なんだかうれしそうにしてるもの、きっとなにかあるんでしょ?
というのでぼくは、なにもありませんよ、ただうれしいことを
考えてただけなんですよ、といったら
ピンクの雲はウフフと笑ってむこうに行きました。

 

晴れた空にむけて、
アーッと口を大きくあけると
太陽のつぶつぶが口からコロンコロンとはいってきて
なんとなく心のバイキンがシュンとなって
小さくなる気がしていいぞォ!!
空にもっこりの雲、子どもの時の雲の
観察日記を思い出したあ!
毎日あんまり変わらない雲に、
おもしろい形になってちょうだいなんて
お願いしたもんだよ。

 

ぼくは歩いて歩いて
たどり着いた坂の多いこの町には
名前がないそうで
それではここはなんて呼べばいいのですか?
と町の人に聞いたら
あなたが呼びたい名前が町の呼び名になりますよ
なんていう。
では、あなたはなんて呼んでるんですか?
と聞いたら、笑ってむこうに
いってしまったよ!
それでは ぼくもゆっくり名前を考えてみようか、
この町の。


  生まれた時から、もうすでにぼくたちは自分の名前をいただいてました。そしてぼくたちの身の回りのほとんどに呼び名がつけられていたんですね。それを今まで覚えてきました。もし自分で呼び名をつけることができるとしたらどうでしょう?ほんとは、こころのどこかで、こんなふうに呼んでもらいたいって言う名前があるかもしれませんね~

本日、NHK総合にてアンコールイチロースペシャル『プロフェッショナル 仕事の流儀』 

14:00~16:05が放送されます。感性を大事にしている方はどうぞ 

                

               最後までお読みくださいましてありがとう 

                    つながっているすべての人にありがとう