ブルック・ニューマン作
五木寛之訳 リサ・:ダークス絵
絵本のように読みやすいのですが、考えさせられるんだな~。
この物語の主は一羽のアジサシ。ある日、突然、飛べなくなってしまう。
さて、このアジサシくんは、また飛べるようになるだろうか?
そして彼が気づいたこととは?
ある朝、太陽がのぼって海岸の上に輝くと、ぼくは自分の影がぼくのすぐそばにあることに気づいた。
以前から影はあったのだろうけれど、その朝まで、そんなことにぼくは気づいたことがなかったのだ。
物がそこにずっとありながら、まったくそれに気づかないことは、何と奇妙なことだろう。影を見た瞬間、ぼくにはそれが大発見に思えた。
それは海岸に埋まった繊細なウニの一種を見つけ出すのと同じだった。
それはぼくにとって簡単な仕事ではない。それは、大変むずかしいことだ。
ハリケーンの季節にウニを見つけ出すのは厄介な仕事だ。
太陽がギラギラ輝いている時にそいつを見つけ出すのも厄介だ。
風が吹いている時には厄介だ。
ひょうが降っている時にウニを見つけ出すのは厄介だ。
高波の時にも厄介だ。
海岸を稲妻が襲った時は厄介だ。とても寒い時は厄介だ。
とても暑い時も厄介だ。
海岸に人間がいる時は厄介だ。
海岸にたくさんの犬がいる時は厄介だ。または馬がいる時。
または羊がいる時。
ところが、ウニを見つけ出すのが大いに厄介な仕事であるように、影というやつも、いちど発見すると、最初から簡単に見つけ出せるものよりも、さらに大きな価値がある。
すごいことだ、とぼくは考えた。この影はずっとそこにあったのだから。きっと失われていたのではなく、ただ、置き忘れていたのだ。この影はこれまで、見えず色もなく、目的も、本当の個性もなかったけれど、いまは見事なまでにしっかりと存在しているではないか。
ぼくは影のことを考えた。飛んでいる鳥のそばに影がないことを考えた。着地した時にだけ、鳥は自分の長く伸びた黒い存在を思い起こすことができる。
影は、そこにはなくても存在するものを思い起こさせるのだ。その時までぼくは、自分の影の存在に気づかず、その意味ではすべてのものたちの影の存在に気づいていなかった。
鳥は、その羽や翼がどれほど価値があり素晴らしいかを知らなければ、本当に飛ぶことはできないのだ。高い空を飛ぶために、鳥は翼の下にあるすべての本質を見る必要がある。
そうでないと、惑星の上をただ無目的に飛んでいるだけにすぎない。
この影ってなんだろう?飛んでいる時でもきっとどこかに影はうつしだされているだろう・・・・・
子供の頃、地面に飛行機の小さくなった影が動いているのをみて
驚いたことを思い出すんだなぁ~
今日も最後までお読みくださいまして ありがとう
つながっているすべての人に ありがとう