ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

緊急帝王切開とアンナ・ガーデン

2006年04月02日 | Weblog
 今日は日曜日。
 水曜日に帝王切開予定の妊婦さんが、陣痛が来てしまったので、
 朝から急遽帝王切開に。幸い夜勤の助産師・看護師が残ってくれて、
 スタッフも万全の体制で、手術は無事終了。
 小児科医のわたしもこういう時は立ちあうのです。
 ちょっと小ぶりながら、なかなかイケメンのボクでした。
 ロビーで待ってたお父さんも、嬉しそうでした。
 
 医療界では絶滅危惧種と言われてるのは産科医で、
 次に絶滅が危惧されてるのが小児科医、なんだそうだです。
(となると、ワタシら夫婦は特別天然記念物かいな?!)
 でもね、元気な赤ちゃんと、赤ちゃんを抱っこする親御さんの
 幸せに満ち足りた笑顔を見ると、
 忙しいことなんてどうでも良くなるのね。
 毎日、いろんなお子さんや親御さんから、
 わたしたちも元気と幸せを分けていただいてるんだなぁ、と、
 しみじみ実感します。

 午後は、ドライブがてらアンナ・ガーデンまで足をのばしました。
 山のふもとの、ちょっとおしゃれなお店がたくさんある場所です。
 喫茶店でハーブティーとケーキをいただきながら窓の外を眺めてたら、
 白いウエディングドレスのお嫁さんが教会から出てきたところでした。
 結婚式のことをゴールインと言うけれど、ほんとはスタートですよね。
 そして、妊娠のゴールは出産だけど、
 ほんとうは、出産って、長い長い子育てのスタートなんですね。

 結婚したからといって、
 必ずしも子どもを持たねばならない訳ではないし、
 夫婦の数だけ、いろんな結婚生活があっていいと思ってます。
 でも、妊娠して、産む選択をしたら、それは、
 ひとりの人間を一人前になるまで育てていく、という、
 「親」としての人生の始まりなんですね。
 長男がわたしのおなかにいたのは約20年前だけど、20年たって、
 ようやくそんな大事なことが少しだけ、わかったような気がします。
 これも、毎日出会うお子さんと親御さんのおかげかな。

 お嫁さんの後ろ姿を見送りながら、こんなことを考えた午後でした。