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化学探偵MRキュリー5 喜多喜久

ここ数日、シリーズものの最新刊を消化する感じの読書が続いているが、本書もシリーズ5作目という1冊。本書では、探偵役の化学者が科学知識を駆使して事件を解決するというシリーズ当初のコンセプトはかろうじて残っているものの、化学の要素はほとんど影を潜め、好奇心の旺盛な大学事務員と年上の大学教授のコンビが大学内のトラブルを解決していく学園ミステリーに変貌しつつある。シリーズが回を重ねても飽きがこないのは、こうした工夫があるからだろう。特に、最後の短編は、とても趣向が変わっていて楽しめたし、次を読みたくなるような秀逸な作品だった。(「化学探偵MRキュリー5」 喜多喜久、中公文庫)

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