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江の島西浦写真館 三上延

作者の人気シリーズ「ビブリア古書堂」と装填が似ているので、「ビブリア古書堂」と同じような作品だろうなぁと思いながら読んだのだが、非常に似通っている部分とそうでない部分が同居しているようで面白かった。古書と写真、分野は違うが、女性の主人公が、その分野の専門知識と推理力を駆使して、身近に持ち上がる謎を解き明かしていくという部分は、両者全く同じだ。一方で、その事件の中身は両者でかなり違っている。どちらの方が良いという比較はできないし、本書が今後シリーズ化されていくのであれば、どんどん両者は似たものになっていくような気もする。写真を巡る謎というのはミステリーでも一分野をなすようなこれまでの蓄積があるし、それでいて様々な趣向の新しいミステリーを生み出す可能性を持った分野だと思う。そのあたりを考えると、この分野で本当に面白い話を作り続けることができるか、その作家の力量が試されることになる。是非作者には、続編を書いて欲しいと思う。(「江の島西浦写真館」 三上延、光文社)

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