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あやし うらめし あな かなし 浅田次郎 

最近、双葉文庫を読む機会が増えている気がする。執筆陣を充実させるなど、出版社が色々力を入れているのかもしれない。本書も何となく読もうと思ったら双葉文庫だった。さて、巻末の対談で語られた著者自身の言葉によると、本書に収められた怪談のかなりの部分が本人の実体験や聞いた話に近い実話をベースにしているということに驚かされた。怪談の怪談たる所以の怪奇現象のような部分は創作なのだが、物語の柱となるシチュエーションや起こった事実は実話に近いのだそうだ。要するに、ここで語られる不思議な話は実際に起こったであろう出来事を著者がどう解釈しどう表現したかで、怪談になっているということだ。そういう風に考えると「会談こそ小説の真髄」という言葉の意味が何となく判るような気がする。本書の第6話については、その舞台となった場所が、まさに自分が小中学校の時に住んでいた場所だったということを知って大変驚いた。怪奇現象というのは、その場所につくというか、場所と密接な関係があるものだと思うが、大昔の話だが自分が何も知らずにそんな場所で遊んでいたのだと思うと少し不思議な気がした。(「あやし うらめし あな かなし」 浅田次郎、双葉文庫)

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