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テンペスト 池上永一

昨年中から評判が高かった本書をようやく読むことができた。作者の本を読了したのは初めてだ。「レキオス」「シャングリ・ラ」はともに手元にあるがまだ読んでいない。「レキオス」は数ページ読んだところでなぜかやめてしまった。「シャングリ・ラ」はまだ一度も目を通していない。
 本書では、列強のアジア進出、日本の明治維新といった周辺の情勢に大きな影響を受けながら海洋王国としての誇りを守ろうとした琉球王朝の最後が、虚実織り交ぜて語られる。琉球王国への哀惜の情がしみ出してくるような話だ。主人公たちの青春群像のようにも思える。琉球が好きで、それに誇りを持っている人でなければ書けない本だと思う。明治維新の時に何が日本で起きたのかをいろいろ考えさせられることがあるが、本書を読んでいると、琉球王国が沖縄県に変わったときに今まで私の知らなかった大きな事件がいろいろあったのだろうなぁということで、そのあたりの歴史も知りたくなる。ストーリーの面白さ、しっかりと構築された独特の世界、いずれもずば抜けている。これから「シャングリ・ラ」「レキオス」と作者の本を読んでいけるのが楽しみになった。(「テンペスト」池上永一、角川書店)
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