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ヤーガ&ハシェック

チェコが生んだNHLの2大スター、J.JagrとD.Hasekのお揃いのサインである。

J.JagrはNHLで5回得点王を獲得している。NHLでは、1981年から2001年までの21年間に得点王を獲得した選手は3人しかいない。The Great One こと W.Gretzky(11回獲得)、M.Lemieux(6回獲得)とJ.Jagr(5回獲得)の3人である。Jagrの場合は、1998年から2001年の4年連続で獲得しているが、4年連続の記録を持っているのは、GretzkyとJagrの他には、Phil Esposito と Gordie Howeの4人しかいない。jagrは記録的にもすばらしい選手だが、私が彼を本当に応援するようになったのは、彼の背番号「68」の理由を知ったときである。1968年はチェコで「プラハの春」とよばれる政治改革があり、さらにそれが旧ソ連によって弾圧されて暗い世の中へ引きずり戻された年でもある。私が小学生の時の話だが、プラハの春の立役者「ドプチェク第一書記」の名前は、彼がどういう人かは知らなかったが、とにかく名前だけは知っていた。彼の背番号「68」が、チェコの国民が短期間ではあったが「自由」を謳歌し、それが弾圧によって夢と消えた年に由来していると知り、私は彼のそうした「反骨精神」「人間性」に惹かれた。

一方のHasekは、年間最優秀ゴールキーパーに贈られるVEZINAトロフィーを5回獲得している名ゴールキーパーである。NHLの記録をみると、ゴールキーパーの数そのものが少ない(正キーパーは1チームに1~2名)こともあり、同トロフィーの獲得回数や連続獲得記録などでは、Hasekを上回る選手が何人かいる。しかし、かれの本領は、そうした受賞回数や勝利数といった数字よりも、そのプレースタイルにある。彼は、時々、とても信じられないよぷなうな不思議な体勢でゴールを阻止する。例えば、彼が敵のプレーヤーと接触して仰向けに倒れてしまいゴールは無防備状態、そんな時に彼は寝ころんだままの体勢で足だけで敵のゴールを阻んだりする。このようなプレーを意識的にできるはずはない、偶然に違いないと思うのだが、そうしたプレーを何度も見せられると、こんなに偶然が重なるものだろうかと思う。敵のプレーヤーに催眠術をかけているのではないかという感じさえする。とにかくそのくらい不思議なのである。彼のプレースタイルを「アクロバティック」と表現する人もいるが、決してスマートなスタイルという訳でもないし、結局は敵のゴールをなんとしても阻止したいという彼の強い意志のなせる技なのだと納得した。そのような不思議な魅力という点では、彼は文句なく史上最高のゴールキーパーだと思う。

 JagrとHasekの2人は、通常NHLでは違うチームの敵同士としてプレーしているのだが、NHLのスター選手が勢揃いした長野オリンピックでは、同じチェコのナショナルチームとして活躍、チェコに金メダルをもたらした。長野オリンピックの記録映像を見ても、Gretzkyの勇姿もさることながら、この2人の活躍は傑出していたと思う。この2人が同じデザインのカードにサインをしてくれているのがうれしい。
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