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ジョ-・ディマジオ

ヤンキークリッパー、ジョー・ディマジオのサインである。彼が、存命中に書き(当たり前)存命中にカードとして売り出されたものである。

ジョー・ディマジオのサインに関連してうんちくを1つ。数年前、UpperDeck社という大手ディストリビューターからジョー・ディマジオのサインが百数十枚まとめて売りにだされた。99年に彼が亡くなってから後の話である。なぜそのような大量のサインを売り出すことが可能だったのか?

一般的にいって、すでに鬼籍に入った人のサイン(しかも本物であることが確実なサイン)を入手することは困難である。たまたまその人のサインということで売られているものを見つけたとしても飛びついてはいけない。にせものかもしれないからである。もし、そのサインが立派な鑑定書付きであっても、まだ飛びついてはいけない。その鑑定書が偽物である可能性があるし、そもそも「鑑定書」など誰でも作れるので、鑑定書を作った人に信用がなければ意味がない。そして、その鑑定者の信用を推し量るすべはほとんどないのである。さらに、その鑑定者が個人ではなく企業であったとしても、その企業の信用はどうかという話になるし、さらにはその鑑定書の真贋はどうやって見分けるのか、ということになる。要するに堂々巡りなのである。
 そこで、私の場合もそうであるが、サインをコレクションする場合、こうした真贋のリスクを最小限にするために、UpperDeck社とかTopps社という大きなディストリビューターが発行している「サイン済み」カードを収集するというのが1つの方法である。こうしたものであれば、どのような経緯でそのサインが発売元の手に渡り、いつ売りに出されたか、どのくらいの数量が市場に出回っているか、といった情報が比較的はっきりしており、それが市場で売買されている場合にはそのプライスリストなども存在する。もちろんそれでも100%間違いないとはいえないが、多少は安心度が高いということになる。
 その彼のサインがかれの死後に大量に売り出された秘密、それは、やや意外なのだが、アメリカが小切手社会であることと関係している。アメリカが小切手社会であることは、サインのコレクターにとって、非常にありがたいことなのである。それは、選手がサインした小切手がたくさん残っているケースがあるからである。アメリカでは様々なものの支払いに小切手が用いられる。使用するときに支払者は小切手面上にサインをする。それが残っているのである。サイン済みの小切手は、支払い事務などが全て終了すると、通常本人の元に「キャンセルド・チェック」とし返却される。そのキャンセルド・チェックは、小切手社会であるアメリカでは領収書のようなものと見なされるので、まとめて保管されているケースも多い。これが、コレクターのねらい目なのだ。実は、先ほどのUpperDeck社も、そうしたキャンセルドチェックをオークションか何かでまとめて百数十枚手に入れたというのが真相である。また、選手は球団から給与を小切手で受け取る。その受け取った給与の小切手を現金にする際、選手は、銀行へ行って裏書き(サイン)をする。これも「選手のサイン」であり、支払い小切手よりは数は少なくなるが、それが残っているケースもある。この場合、それが最初に受け取った初任給であるとか、歴史的な高額契約の証拠となるものだったりすると、プレミアムがつくこともある。
 そう考えると、アメリカ社会が小切手社会からカード社会に移行するにつれて、コレクションの方法も大きく変わっていくかもしれない。カードを使った際にサインを求められるが、それがコレクションの対象になる可能性もある。但し、カードを使った後のサインした用紙はどこにいってしまうのだろうか(本人の手元に残るのは複写の方)。それが確かに本人のものであるという形でうまく残るようでないと、今後サイン集めという趣味は、本人が死亡すると急激に価格が上昇するといったことで、リスキーな趣味になってしまうかもしれないなどと考えている。
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