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Vezinaの防具
実は、このカードが世に出たとき、アメリカとカナダで大きな論争が巻き起こった。このカードのように、スポーツ選手の使用したものを細かく裁断して、カードに織り込んで売り出すということは、アメリカ等ではごく一般に行われていることである。しかし、このカードを作るために、裁断したかれの防具が、現存する唯一のかれの防具だったために、大きな問題となったのである(問題となったときはすでに裁断されてしまっていたのだが)。NHLには、その年のレギュラーシーズンに最も活躍した「ゴールキーパー」に贈られる賞がある。それが、彼の名前をとったVEZINAトロフィーである。日本のプロ野球で言えば、あるポジション限定の1年間で最も活躍した投手に贈られる「沢村賞」のようなものだろう。要するに、このカードを作るために、伝説的プレーヤーの現存する唯一の防具を切り刻んでしまったのである。従って現在では、彼の防具はこの世に存在しなくなってしまった。当然、歴史的に貴重な遺品を「切り刻んでしまった」ことに対する批判が沸き起こった。一方、そうしたものであっても、多くのNHLファンに楽しみを与えるのであれば良いのではないか、というカード製造者を擁護する意見も聞かれた。
この事件があってから少したってからであるが、今度は、ベーブルースの着用した「ピンストライプ」のユニフォームが同様に裁断されて売りにだされた。ベーブルースが活躍したニュヨークヤンキースのユニフォームは、ホーム用がかの有名なピンストライプ、アウェイ用のユニホームはストライプなしの灰色である。そして、ベーブルースのピンストライプのユニフォームは3着だけが現存しているとされてきたのであるが、そのうちの1枚が裁断されてしまったのである。ユニフォームの場合は、まだ2枚残っているので、さほど大きな問題にはならなかったようだが、それが最後の1枚という時はどういう騒ぎになるのだろうか。こういう品物をコレクションしているものとしては、やや後ろめたい気がしないでもない。
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タイガー・ウッズ
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