みなさん、こんにちは。
今回は、菌血症の予測についてケースで考えてみましょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
症例 45歳女性
症例 45歳女性
主訴 発熱・咳・黄色痰
現病歴 生来健康。
今回は3日前より38度台の発熱、咳、黄色痰にて診療所外来受診。悪寒なし。
既往歴 喫煙+ 1日1箱20年(20 Pack-Year)
身体所見 血圧 120/70 mmHg 心拍数 60/min呼吸数 16/min 体温38.2度
貧血、黄疸なし。咽頭発赤なし。リンパ節腫脹なし。頚部硬直なし。
呼吸音は正常。心音正常。心雑音なし。腹部は軟かく圧痛なし。四肢に浮腫なし。
検査所見 胸部X線写真異常なし。
その後の経過 「急性気管支炎」の診断で経口薬(アジスロマイシン)を処方し自宅にて経過観察でよいだろうと考えた。
Geckler分類5群(細胞数/1 視野(100 倍)で好中球>25・扁平上皮<10の良質な膿性喀痰)の喀痰グラム染色で、グラム陰性球桿菌Gram-negative coccobaccili (GNCB)(グラム染色的にはグラム陰性桿菌のうちのインフルエンザ菌を示唆)を認めた。
喫煙者の急性細菌性気管支炎と判断し、経口抗菌薬の処方を考慮したが、この時点で血液培養採取の適応がないかと考えて悩んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
下記に菌血症鑑別診断アルゴリズム論文を示します。
この症例では以下を満たしています。
悪寒なし
脈拍<120/min
また、以下も満たしています。
低リスク感染巣:気管支炎
ということで、今回の症例は菌血症の低リスク症例であり、血液培養は取らなくてもよいかもしれない。
参考までに、喀痰グラム染色用の喀痰の質を表わすGecklerの分類を下記に示します。
扁平上皮細胞が多い痰は、唾液による汚染が多いので、グラム染色用の質はよくないです。
白血球(好中球)が多い痰が感染巣由来痰ですね。
1群:白血球数/視野(×100)< 10:扁平上皮数/視野(×100)> 25
2群:白血球数/視野(×100)10 ~ 25:扁平上皮数/視野(×100)> 25
3群:白血球数/視野(×100)> 25:扁平上皮数/視野(×100)> 25
4群:白血球数/視野(×100)> 25:扁平上皮数/視野(×100)10~25
5群:白血球数/視野(×100)> 25:扁平上皮数/視野(×100)< 10
6群:白血球数/視野(×100)< 25:扁平上皮数/視野(×100)< 25
Gecklerの分類の4~5群(なかでも5群)の痰がグラム染色用の質がよいといえます。
写真 佐敷小学校内で見つけました
医師・看護師の英語論文スタイルブック (「ジェネラリスト・マスターズ」シリーズ 12) | |
カイ書林 |
待望の新刊が発売中!「病歴と身体所見の診断学:検査無しでここまでわかる」こちらもお試しください。必ずやためになることでしょう。
好評のメルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」の最新内容を厳選編集した本の最新版「知っておくと役に立つ最新医学2018」が出ました。一般の方々の役に立つ最新医学知識を満載。グローバル・スケールでの先端医学のホットな話題もわかりやすく解説。特徴はテレビや新聞より早いグローバルな情報、科学的に正確なエビデンスに基づく情報です。
徳田安春、荘子万能の「徳田闘魂道場へようこそ」こちらポッドキャストにて配信中、是非お聴き下さい。
科学的根拠に基づく最新医学情報とグローバル・スケールでの先端医学のホットな話題を提供し、わかりやすく解説します。メルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」。2017年のメルマガまぐまぐ大賞「健康」部門第4位に選ばれました。
臨床推論の総論とピットフォールをマンガでサクッと1時間以内に習得できます。エキスパート診断医への一歩を踏み出すことができます。「マンガ臨床推論~めざせスーパージェネラリスト~」こちらも合わせていかがでしょうか。
「こんなとき フィジカル1と2」立ち読みできます。是非どうぞ。
一般向け健康情報ブログ「総合診療医からの健康アドバイス」。こちらもご覧下さい。