建築・環境計画研究室
*当ページの文章や画像の無断引用・転載を禁じます*
共働き・ひとり親家庭における子どもの放課後の生活に関する研究
—大阪市・神戸市内の民設型学童保育所を利用する家庭を対象に—
塚田由佳里 小伊藤亜希子 平成17年度日本建築学会近畿支部研究報告書
背景・目的
97年の法制化以降、学童保育所は急増したが親の労働条件が厳しい中、そこに対する子育て支援策は親の就労条件に合わせて実施されており子どもの生活に及ぼす影響は軽視されがちである。
共働き・ひとり親家庭の子育て支援に必要な施設・環境整備の検討を目的とする。
研究方法
大阪市・神戸市内の民設型学童保育所を利用する低学年家庭を対象にアンケート調査、アンケート回答者のうち8家庭でのヒアリング調査
結果・考察
親の就業形態は全体として常勤雇用が多く、母の帰宅時間は17:30~19:00に集中し、父の帰宅時間は19:01~22:00を中心に広く分布している。
大阪市の保育所の閉所時間は延長保育を含めて18:31~19:30、神戸市は17:00~19:00であった。
帰宅時間の早い、遅いにもそれぞれ子どもや親にとって「嬉しい点」「心配な点」がある。
親の帰宅時間が遅くなり、子どもにとっても自宅で落ち着いた時間をとることが難しくなっている。
子どもとの時間が持てるゆとりある家庭生活を保障する視点から仕事と子育ての両立への支援として親の帰宅時間にあわせた延長保育が必要で、その場合は学童保育所で自由に過ごせる時間や空間が保障されることである。また、託児機能にとどまらず、親の子育てネットワークの形成拠点となるためにも、親も運営に携わることが重要である。
感想
どんなに子育て支援としての施設が充実していて、もし何時まででも延長保育ができたとしても、その分自宅で家族とのふれあいの時間が減ってしまうので、やはり親の帰宅時間が早いことが最良だと思った。そのためにも子育て中の親が早く帰りやすい職場づくりが重要ではないかと思う。
保育所と言えば、子どもたちのための施設というイメージが強かったが子育て支援として親のネットワークとしても重要な場所だと思った。
09FA030 小林志乃
放課後子どもプラン実施における学童保育のあり方に関する考察
~連携事業の実施に着目して~
松本歩子 中山徹 平成21年度日本建築学会近畿支部研究報告集
背景・目的
放課後保育に欠ける児童の健全な生活が保障される場として、また保護者の仕事と育児の両立を支援する子育て施設として学童保育は更なる検討が必要とされている。
放課後子どもプランの実施形態の1つ、学童保育と全児童対策事業の「連携」を中心に現状を明らかにし、この「連携」の望ましい形態を保育的機能の面から探ることを目的とする。
調査方法
学童保育と全児童対策事業が連携・協力している市区町村から15自治体を選定し、各自治体担当課職員への事業概要に関するヒアリング調査と現地観察調査を行った。
結果・考察
学童保育と全児童対策事業を同一の部局が担当する自治体と異なる部局が担当する自治体があった。放課後対策事業の在り方を検討する委員会においてほとんどの自治体が両事業の担当部局間の連携が取られていた。
全児童対策事業への学童保育児童の参加受入状況は、実施日や対象学年の違いなどにより「学童保育児童の参加可」「学童保育児童の参加不可」と分かれた。
実施校ごとの指導員間連携体制が異なり、保育計画が学童保育ごとに立てられていた。
連携事業を行う場合、学童保育児童も全児童対策事業に参加できる実施形態が検討されなければならず、両事業それぞれの活動計画について把握するための連携体制として整えられる必要がある。
今後、放課後対策を検討する上で両事業のつながりに限定することなく、児童館など地域の既存の施設や団体との関係も含めた総合的な放課後対策が検討されることが望ましいのではないだろうか。
感想
学童保育、全児童対策事業と分かれて事業があるために、「学童児童参加不可」などの複雑な問題が出てくるので、つながりに限定することなく放課後対策を検討すれば、子どもたちも放課後の過ごし方に選択の幅ができるのではないかと思った。
09FA030 小林志乃
遊び環境における障害児と健常児が居合わす場面の考察
岩下将務
日本建築学会計画系論文集 第540号,119−124,2001年2月
1) 研究の背景
建築の分野から、学校など公共の場において、障害児と健常児が同じ空間の中で実際に向き合う場面、つまり質の問題は考慮されておらず、社会一般における人と人とが接触する一場面として、また、普遍的な建築的課題として取り上げる必要がある。
2) 調査の概要
調査員がマンツーマンで対象児を追跡し、その様子を記録する調査方法を用いた。調査の内容は、対象児の行動軌跡、時間、行動内容、他者との接触、構築環境への働きかけの様子である。
3) まとめ
1、交流保育の有効性 交流時には、ほとんどの対象児で遊びの頻度が増えている。しばしば、障害児の遊びが展開されないことが指摘されるが、このことは、新しい環境で多くの遊びが生まれ、園児たちが多様に居合わす場面がみられるという点で、交流保育の有効性を示している。
2、参加プロセスと離脱プロセス 対人的コミュニケーションを苦手とする障害児の場合、ある集まりに間接的に参加できる位置にいることには意味がある。つまり、ある遊び場所の周囲の場所づくりにも価値を見だすべきことが示唆される。
また、離脱プロセスを見ると、障害の様態によっては対人関係が極端に避けられる場合もある。遊び場の独占的使用を許す隠れ家的空間や固定遊具は、それらのみが場を構成する唯一の要素となる場合、居合わせることが困難になってしまうことが指摘される。こうした場所では、近くで遊べるように場所のネットワークが必要であり、場所の選択性が付与されるべきである。
3、質の違いから見る「視覚的参加」 「視覚的参加」には、順番待ちと、次の行動のための準備といった意味があった。順番待ちは社会性を身につけさせるための有効手段と考えられているが、交流からの離脱のきっかけにもなる。つまり、単に待つだけでなく、別の遊びをしながら待つための場所の選択性がここでも必要となる。
また、従来の「見るー見られる」で語る空間としてではなく、次の行動の準備という意味において「見えること」を考慮する必要がある。
4) 感想
遊びの頻度が高くなることで、交流保育の有効性を示していて合理的だと思いました。交流保育は、児童に良い刺激を与え、良い経験になるのだと思うと同時に、障害児・健常児が互いにストレスのない空間にすることは、これからの課題だと思いました。
黒巣光太郎
こんばんは.
久々の研究日誌です.M1の小林です.
今日は ”うたしろせんせい”こと 歌代さんが
防犯のワークショップを行ってきました.
あいにくの雨でしたが,無事イベントを成功させられたようです.
この頃毎日,一生懸命準備をしていたので 無事に終えることが出来て
本当に良かったです.
お疲れ様でした.
こんな風に自分が研究したことをきちんと外部に発信することができるなんて
素晴らしいですね.
今日ワークショップに参加してくれた小学生が
少しでも危険なことに遭遇する可能性が減ると良いですね.
大学に戻り 達成感に満ち溢れた4人です.
やっぱりやるからには意義のある研究にしたいですね.
私も投稿論文への気合が高まりました.
次は堀さんです!
(小林 陽)
□研究の背景(着想に至った経緯,研究経過,研究成果等との関連及び準備状況)
応募者はこれまで,高齢者や障碍者,こどもの施設や生活環境を対象として,利用者/居住者の滞在や活動の様態と建築空間の構成や設えの関係など,生活を支える建築と環境づくりのあり方について研究してきた.その成果の一端として例えば,活動のコーナーやゾーンをつくることで主体的な活動や,滞在や活動の継続性を支えることができるなどの知見,また環境づくりの理念・目的から具体的な建築や環境のあり方を評価の構造として整理することで,制度設計から現場の環境づくりに至る環境整備の各段階において有効な指針を示しつつ環境づくりの多様な可能性を保障できる,といった提言を行ってきた.この研究の中で応募者は,こうした生活環境づくりの主体となる人々にとって,何が「良い環境」かということそのものが充分に理解されておらず,環境づくりの基本となる環境への視点自体が共有されていないことを痛感している.そこで,これまでの既往研究や応募者の研究成果を活用し,環境づくりの広報・支援の実践に取り組み,研究成果の社会還元を行うと共に,人々の生活環境の質の向上に貢献したいと考えた.
□研究目的(研究費の交付を希望する期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか)
本研究は,環境づくりの広報・支援を通して高齢者など環境による支援が必要な人々との生活環境の質と,それを支援する環境の価値への社会的関心の向上を目的とする.具体的には以下の3つの課題を設定する;①環境づくりの理念から具体的な建築と環境のあり方までを評価の構造として一般の方や環境づくりの現場にわかりやすく示す図式化を行う,②その成果を活かした環境づくりの支援サイトとパンフレットを作成して環境づくりの現場や環境整備(施設設置)主体となる自治体等に広報および還元する,③パンフレット送付とサイト運営にあたり併せてアンケート調査やヒアリング調査を行い,その成果と意義の検証を行いつつ環境評価図の精査を行う.
□当該分野におけるこの研究(計画)の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
当該分野においては環境づくりの実践や理念それぞれについての研究や提言はあるが,環境づくりの「理念/目的」から「具体的な建築・環境のあり方」にいたる構造は充分に整理・提示されておらず,これを明示することには学術的な特色がある.また「環境をつくる」ことの目的と方法を結びつけて体系的にプレゼンテーションする点,それを用いて環境評価を行えるサイトを提供することを主目的においた点に本研究の特色と意義があり,これは研究成果を社会に還元するフェーズにあって重要な研究課題と考える.また本研究成果は,環境づくりの全般において援用可能な知見と考える.こども,高齢者,障碍者の環境について広く横断的な広報・支援の実践を行う点には特色があり,ひとつの研究フィールドにとらわれないことで互いの研究知見およびプレゼンテーションの質の深化が期待できる.
*この研究は、山本郁也さんと協同して進めています。