建築・環境計画研究室
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2009/05/07(松田優)
浦添綾子・仙田満
『あそび環境よりみた小児専門病院病棟の建築計画に関する基礎的研究』
日本建築学会計画計論文集2000_09
☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント
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☆日本小児総合医療施設協議会
☆今後の小児医療は単なる治療にとどまらず,こどもやその家族の「生活の質」の向上を目指すことが求められている.
☆家具,玩具等の配置,寸法を実測調査
☆病棟における入院児の行為の中であそびは行為数,時間数とも最大.
☆あそび行為に着目すると,疾患別,性別,慢性/急性などでは行為数,時間数とも構成比にほとんど違いがみられないものの,年齢層,生活自由度などでは実数,構成比とも大きく異なる.
☆居場所が少ないために面会者が入院児の病床に座りこんであそび相手をする例
☆入院児のあそび行為にとってナースステーションの役割が大きい.
☆あそび行為数は入院児属性,周囲の人の条件および病棟計画のアイテムによりかなりの程度説明可能.
☆看護婦との関わりが入院児のあそび行為にとって重要
★教育
☆プレイルームは利用人数は3割強と利用の多い空間であるが,あそび行為数は約1割にとどまる.あそびのための空間として実質的利用がなされる条件を検討する必要があるが,要因分析では少なくともプレイルームへの近接性が病棟内のあそび行為数と深く関わることが示されたことより,プレイルーム内のあそび行為数もプレイルーム配置等の計画的配慮により高められる可能性が示唆される.
2009/05/07(松田優)
浦添綾子・仙田満
『あそび環境よりみた小児専門病院病棟におけるプレイルームの建築計画に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2001.12
☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント
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★こどもに自分だけの場所は必要か.
☆プレイルーム内のあそび行為数を高め,それがあそびのための空間として実質的に利用されるための条件の検討を今後の課題として指摘した.
☆プレイルームタイプ
★中学生のための場所,小学生のための場所,幼稚園のための場所は分けた方がいいのか.
★少し病気を忘れられる場所
☆プレイルームの遊び集団の規模
集団規模2人以上であそぶ入院児のあそび相手は,5割強が他の入院児,約3割が母親
☆「あそびのための空間」としてプレイルームを確保することの重要性は既に指摘したとおりであるが,これはとくに幼児・小学生にとって重要な配慮といえる.
☆利用が最大の空間はカーペット上
☆あそび行為数,時間数
☆プレイルームは静的遊びから動的あそびまで様々なあそび方法が展開しており,あそび方法の多様性を支える「あそびのための空間」としてのプレイルームの確保が特に幼児・小学生にとって重要.
☆プレイルームと廊下の配置
☆プレイルームタイプの選択,病床とプレイルームの近接,プレイルームの病棟内箇所数の増加,プレイルーム配置における循環性の確保,ナースステーションとプレイルームの近接
★中学性にアンケート:どんな場所が好きか.何をやっている時間が楽しいか.
→中学生に必要な設え
★子どもが遊ぶ時に気をつけていること,気をつけなければいけないことは何か.
2009/05/07(松田優)
仲綾子・仙田満
『入院児の遊び環境意識調査にもとづく小児専門病院病棟の建築計画に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2002_11
☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント
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☆病室は病棟における中心的遊び空間として,プレイルームはあそびを主目的とする空間として,あそび環境よりみた病棟計画の検討において重要な空間と考えられるが,病院についての要望の中で,病棟とともに病室,プレイルームの位置づけおよび具体的な要望事項の把握を試みる.
☆屋外空間に関わる要望が,あそびと関わるものを中心にかなりある.
★遊ぶ→何か起こらないか心配
☆入院児が希望する病室病床数は年齢層により大きく相違し,小学生では6床室,中学生以上では1~2床室が多い.したがって,小学生は多床室,中学生以上は準個室を希望する傾向にあると見ることができる.ただし,現状と同じ病室病床数を希望する入院児が全入院児の約半数を占める.一般的にこどもは比較による判断が困難とされ,これが一因であろう.
面会者においても入院児とおおむね同様の傾向,小学生以下は多床室,中学生以上は準個室を希望する傾向がある.
→病室病床数の希望は入院児の年齢層により相違すること,面会者は現状より少ない病室病床数を希望することが特徴的である.
★どの年齢も個室の方がいいと思っていた.
子どもにとってのプライバシー
子どもにおける多床室の良さ
☆希望する病室配置の条件は入院児の年齢層とは関連がない.
★病室ではどんなことが行われているのか.(遊び,食事,勉強...)
★病室,プレイルーム以外に遊び場所はあるか.
☆満足度評価を高める病棟計画の条件とあそび行為数を高める病棟計画の条件はおおむね同様.
☆満足度
・プレイルームの数
・廊下の循環可能な部分に配置
・プレイルーム面積
・病床からプレイルームまでの距離
・病室面積
・病床とナースステーションとの近接性
・プレイルームタイプ
☆プレイルームは病室と違うところでのあそびを支える場として評価される.
☆あそび行為数
2009/05/07(松田優)
鈴木賢一・岡庭純子
『小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2008.03
☆,無印はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント
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小児を取り巻く大人の影響
付添い:小児患者の性格,ふるまい,癖などを理解しており,患者に適した療養生活を送るための個別の情報を有している.
小児患者との間に一定の信頼関係を築いており,影響力も大きい.
医師 :患者の治療方針を組立て,入院生活全般をコントロールする立場.
看護師:医師の指導のもと看護にあたり,入院生活の管理指導を行う.
医師,看護師は多くの患者と家族に接しており,専門的見地から患者の反応,患者と家族の関係を理解している
☆小児患者を取り巻く大人は,患者の療養生活を支えるのに不可欠な役割.
☆大人の感情は,小児患者の心理状態に影響を与える.
☆心理的要求に関わる視点から療養環境向上を目指す.
☆幼稚園や保育園,小学校などとの大きな違いは,子どもの年齢層,病気の重さが常に変化しているということ.
☆壁・柱は遊びの対象になる!?
ここでは,壁に装飾がなされている.
(☆どんな風に感じるか聞くやり方は,なんかジャンプのアンケートに似ているな.)
☆壁の装飾は,付添い自身の不安を受け止め,穏やかにさせている.
☆小児は,全体テーマの認知は低いが,具体的で親しみやすいキャラクターには関心を示している.
☆小児は「色」や「絵」など具体的に関心を示すのに対して,大人は「ゆったりした気分」を感じることや「病院らしくない」ことなど,気分や雰囲気を評価する傾向がみられる.
☆処置室:医療スタッフによる治療行為の円滑さと,処置に対する患者の不安が交錯する場であり,患者と医師において肯定と否定評価が混在した.
☆入院プロセスの違い(初めてか繰り返し入院か),在院段階の違い(入院直後,中期,退院直前),発達段階(年齢)の違いなどにより,不安軽減の意味や効果も異なる.