建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

建築・環境計画研究室

この研究室は,2006年4月に立命館大学にて開設され,2009年10月に東京電機大学に移りました.研究テーマは,建築計画,環境行動です. 特に,こどもや高齢者,障碍をもつ人々への環境によるサポートや,都市空間における人々の行動特性などについて,研究をしています.

*当ページの文章や画像の無断引用・転載を禁じます*

障害者入居施設での高齢化の実態と環境整備についての研究

2021-07-15 16:40:12 | 書架(障碍者関係)

こちらからダウンロードできます

地域施設計画研究39 2021年7月 日本建築学会

建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会

Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.39, Jul., 2021

 

…以下検索用文字列…

障害者入居施設での高齢化の実態と環境整備についての研究 Study on actual condition of aging and environmental improvement in support facilities for persons with disabilities ○芝山竣也*, 古賀政好**, 山田あすか*** Welfare facilities for people with intellectual disabilities have problems of aging and deterioration of physical function, and overlapping disabilities has become an issue in the field of welfare for the elderly, so we conducted an interview survey with several facilities. As a result, it became clear that the aging of the population increased the time spent living and the needs of the facility were challenged to medical care and long-term care. There are also moves to other facilities, but differences in support and long-term care needs and the insurance system are also issues. Keyword: Disabilities , Aging ,Support Facilities for Persons with Disabilities ,Hearing survey 障碍者,高齢化,障害者支援施設,インタビュー調査 1.2 理論的背景  これまで障害者支援施設に関する既往研究では,一 元化注2)に伴う環境整備上の配慮点1),2)や,旧障碍区 分上での施設入居者の生活実態3),支援員の支援負担 感4〜6),施設移行に伴う居場所や行為への影響7),法 制度改定による施設体制の変遷8),施設から地域生活 移行への課題9)などの知見の蓄積がある。既往研究7), 8)では障碍者の高齢化が指摘されており,障害者支援 施設での高齢化の実態や,障碍の特性と高齢化という 多様性の高いニーズに対応するための高齢化を前提と した施設整備のあり方について明らかにすることは喫 緊の課題である。 1.3 本稿の目的と意義  本稿では障害者支援施設での高齢化対応のあり方へ の知見を得ることを目的に高齢化の実態や変遷,高齢 化を見据えた環境整備について明らかにする。まず3 章ではヒアリング調査から入居者の高齢化の実態と施 設整備の課題等を把握し,4章では入居者個人に焦点 を当てたインタビュー調査から,より詳細に高齢化の 状態を捉え,生活や活動,支援ニーズの変化の中での 高齢化対応のあり方を探る。なお本稿は高齢者と障碍 者の施設の入居者像の重複化を見越し,両施設種別の 統合も視野に施設整備の再考を目指す研究の一環で, 高齢期の生活環境の向上に寄与する点に意義がある。 *東京電機大学大学院未来科学研究科建築学専攻 **(株)竹中工務店/東京電機大学非常勤講師・博士( 工学) ***東京電機大学未来科学部建築学科 教授・博士(工学) 1.研究の背景と目的 1.1 社会的背景  現在の障害者福祉分野では,障碍注1)の重度化や重 複化など多様化が注目される一方,知的障碍者を対象 としてきた施設では入居者の高齢化による疾病や身体 機能の低下などの課題がある(図1)。一方,高齢者福 祉分野でも高齢者の疾病や障碍の重複が課題であり, サービス内容や拠点となる施設整備として統合的に解 決されていく必要があると考える(図2)。 Syunya SHIBAYAMA, Masayoshi KOGA,Asuka YAMADA Grad. Stud. Science and Technology for Future Life Tokyo Denki Univ. Takenaka Corporation / Part-time lecturer, Dept. of Arch., School of Science and Tech. for Future Life, Tokyo Denki Univ., Dr. Eng. Prof. Dept.of Architecture Faculty of School of Science and technology for future life Tokyo denki Univ. Dr. Eng. 図1 2008 年時点での施設入居の年齢構成 図2 高齢者福祉と障害者福祉分野の重度化イメージ 10 代 以下 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 以上 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 □棒:日本人 口の年齢構成 部:日本 旧・身体障害者療護施設 旧・知的障害者入所更生施設 重症心身障害児者施設 ■棒:各種施 設の入居者の 年齢構成 人口の年齢割 合より各種施 設の居住者の 割合の方が高 い年代 【初出・出典】古賀政好・山田あすか,身体・知的・重症心身障がい児者施設へのアンケート調査報告 - 空間構成と居住者の生活像について-,日本建築学会技術報告集,第16 巻 第33 号,pp.627-632,2010 年代 人口に対する割合(%) 凡例 2018 年時点 での推測値 ➡ 入居者属性の重複 ➡ 「地域包括ケア」の概念のもと でサービス内容や拠点となる施設整備として統合的に解決  高齢者(認知症高齢者, 後期高齢者など) →  認知症だけでなく疾病や障碍の重複による重度化  主たる障碍が身体障碍(身体障碍者) → 高齢化で,疾病や認知症の発症などによる重度化 主たる障碍が知的障碍(知的障碍者) → 高齢化で, 移動能力の低下やADL 低下による重度化 介助・介護の度合い なし 介助・介護の度合い 重度 疾病・障碍なし 疾病・障碍重度 高齢者 知的 障碍者 身体 障碍者 重度化 の方向 − 219 − 地域施設計画研究39 2021年7月 日本建築学会 建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会 Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.39, Jul., 2021 2.調査概要  既往研究1)でのアンケート調査回答施設や事例調査 施設,文献調査施設の中から入居者の高齢化が想定さ れる知的障碍の障害者支援施設7施設(生活単位が大 規模な従来型3施設と,高齢者施設でみられる小規模 なユニット型4施設)と医療的ケアや看取りを行うグ ループホーム1事業所を選定し注3),「調査①:入居者 の高齢化の実態と施設整備の課題等を伺うヒアリング 調査(表1)」と,うち2施設で「調査②:高齢化で ADL が低下した入居者の生活の変化や環境整備を伺う 詳細インタビュー調査(表2)」を行った注4)。 3.ヒアリング調査結果  本章では調査①:ヒアリング調査から高齢化の実態 と施設整備の課題等を整理する。表3にヒアリング調 査対象施設の概要,表4にヒアリング調査で得た回 答を示し,図3にはテキストマイニングソフト「KH Coder 注5)」を用いてヒアリング調査で得た回答から頻 出する単語を抽出する。 3.1 KH Coder による頻出単語視点からの読み取り  KH Coder によるキーワードとなる単語から高齢化で の特徴をみる注6)。 ■抽出語【時間】  【食事】や【入浴】等とつながり, 具体的には「(入居者の高齢化により,自立でも時間が かかる,支援が必要になった等で)食事時間も長くなっ た(表4,施設A;以下A と表記,他同様)」,「以前は 入浴時間が15 時~ 17 時半だったが,(高齢化により 介助の必要性が増したため)今では日中に支援員がい る13 時半~ 15 時にした(A)」などが言及された。こ られの変化の具体的な要因として,「食事形態が様々 で,きざみ食で介助が必要な人が多い(D)」,「車いす で入浴介助が必要な人がいる(A)」などが挙げられる。 ■【活動】  日中活動では,「日中活動で散歩する頻 度や行ける人が減少してきた。屋内では最低限できる 活動だけしている(B)」や「現在は高齢になったこと もあり様々な活動ができなくなっている。そのため娯 楽空間を居住空間に取り込んでいる(D)」,「PT に来 てもらいリハビリテーションで機能の維持に取り組む (E)」の試み等がみられる。 ■【介護】  【障碍】と【研修】とつながり,「一般 的な介護研修はしているが高齢の知的障碍に関しては 行っていない(E)」「介護力などのプチ研修を行ってい る(H)」などが聞かれる。 表1 ヒアリング調査概要 表2 詳細インタビュー調査概要 表3 ヒアリング施設概要 図3 KHCoder によるヒアリング結果の可視化 調査対象 施設の選定 調査施設数 2008 年に行った既往のアンケート調査対象施設やこれまでの事例調査 施設,文献調査した施設の中から,入居者の高齢化が想定される知的 障碍対象の障害者支援施設と高齢化対応で医療的ケアを行うグループ ホームを選定 障害者支援施設7施設(うち生活単位を小規模としたユニット型4施設) グループホーム1施設 ヒアリング 内容 ・運営状況(入居者の人数,年齢、障碍の程度など)・建物に関して (良い点、課題点、今後必要と考える設えや施設整備など)・高齢化に ついて(高齢化の変遷、日中活動の課題、建物・設備への課題など) ・特養等の高齢者施設への移居の課題 ヒアリング 対象者 施設責任者 調査対象 施設の選定 ヒアリング調査対象施設の中から,生活単位が大規模な従来型; 施設B と小規模なユニット型;施設G の2施設を選定 インタ ビュー内容 調査対象者の入居経緯・病歴・性格や趣味・ご家族・高齢化の変化に 適応するための環境改善の方法・入居時点と現在での生活や活動の状況 ( 起床,食事,着替え,排泄,入浴,日中活動,就寝)・調査対象者への 支援の配慮点の変化 調査日施設B:2020 年1 月15 日  施設G:2020 年3 月23 日 調査対象者 選定方法 各施設責任者に入所から現在までで高齢化によりADL の低下がみられる 男女3名程度を選定してもらい,施設B5名・施設G6名を対象とする インタビュー 対応者 各施設で調査対象者のこれまでの生活遍歴や生活の様子を把握している 支援員 2019 年12 月 2018 年 7名/7名/ 19 名 平均60 代 (50 代〜80 代) 2018 年 平均4.5 2019 年12 月 1998 年 50 名 平均46.4 歳 (30 代〜70 代) 1998 年 / 2014 年(増築) 平均5.8 施設C 2019 年11 月 1999 年 60 名 平均65.8 歳 (30 代〜90 代) 1999 年 平均5.7 施設A 2020 年1 月 1999 年 40 名 平均43 歳 (20 代〜70 代) 1999 年 平均5.7 施設B 2019 年6 月 1998 年 40 名 平均50 歳 (20 代〜70 代) 2015 年(移転) - 施設D 2019 年11 月 1974 年 75 名 平均53.8 歳 (30 代〜80 代) 2014 年 平均5.6 施設F 2019 年12 月 1979 年 95 名 平均50 歳 2012 年(改築) 5 または6 施設E 2020 年3 月 1990 年 50 名 平均40 代後半 (20 代〜70 代) 1990 年 / 2015 年(増築) 平均5.9 施設G グループホームH 施設種別 障害者支援施設(従来型) 障害者支援施設(ユニット型) グループホーム 施設名 調査日 開設年 施設入所者数 障害支援区分 建設年 年齢 Subgraph: Frequency: − 220 − 表4 ヒアリング結果 個室・2人部屋 個室 施設種別 障害者支援施設(従来型) 障害者支援施設(ユニット型) グループホーム 食堂(一斉) 各ユニットリビング・GH リビング(少人数) 昼食:食堂(一斉)/朝夕食: 各ユニットリビング( 少人数) 居室構成 食事場所 施設名 入居者の 高齢に ついて 高齢化で 建物に求 めること 課題に ついて 高齢者 施設等へ の移居の 可能性 について 施設D 【高齢化の状況】 ・今では歩行器を使 う入居者が2名, 車いすの入居者が 数名いる。 【生活の変化】 ・食事時間に差があ るため,食事グ ループを3つに分 けて,食べ終わる 時間を合わせてい る。 ・食事形態が様々だ が刻み食で,介助 が必要な入居者が 多い。 【日中活動の変化】 ・今では高齢になっ たことで様々な活 動ができなくなっ ている。そのため 娯楽空間を居住空 間に取り込んで日 中の時間を過ごし ている。 ・日中活動のグルー プは活動,リハビ リ要素,体力維 持,などで分けて いる。 【支援ニーズ】 ・リハビリが必要な 入居者がいる。廊 下を広くしており 入居者が歩行器で リハビリできる。 ・医療的ケアが必要 になってくる。医 療的ケアが必要に なると施設では難 しく,病院に行っ てもらう。 【現在の建物の良 点】 ・地域の障碍のある 人たちが集まれる ように各々のス ペースを広くして いる。 ・各居室の入り口が 対面しておらず凹 凸のようにずれて いる。見守りはし づらいが入居者の 生活に重きを置い た形状である。 【高齢化でのニー ズ】 ・車いす入居者が増 えるという前提で 一つ一つの空間を 広くつくる。 ・長時間の生活では 個室でないとプラ イバシーを守れな い。 ・生活の満足度の向 上を心掛けて,自 分たちが住みたい と思う住環境にす る。 施設F 【日中活動の変化】 ・外で働いていた入 居者が屋内で活動 するようになっ た。 ・5年前に新しい活 動班をつくり,活 動内容が高齢化に シフトしている。 生産性ではなくそ れぞれの入居者に 生活の中での目的 を持ってもらう。 ・以前の16時までの 活動を入浴時間が 伸びたことを配慮 して15時半までと した。 ・土曜日も終日活動 していたが,今で は土曜日の午後を 余暇時間とした。 ・土曜日午後と日曜 日の余暇時間に以 前は一人で買い物 に行く入居者がい たが,今では支援 員とドライブ,食 堂でカラオケなど をしている。 ・手芸介護室では職 員が日中活動をし ながら、介護ベッ ドで寝たきりの利 用者の症状を確認 している。 【支援ニーズ】 ・認知症などの予防 では小さな気づき の共有が必要で, 観察記録を付けて いる。 ・今後は医療的ケア が必要だが,施設 でどこまで看られ るかが重要。延命 治療など医療判断 に親族の同意が必 要で難しい。 ・人材確保も難し い。痰の吸引な ど,看護師が1名 しかおらず永続的 に看るのが困難 で,その時は入院 してもらう。 ・最後まで看られる というラインは常 時医療的ケアが必 要か,口から物を 食べられるかであ る。 【現在の建物の良 点】 ・個室がよい。個室 化で感染症対応が 楽になった。支援 員の立場からだと 着替え時に個室で はないとプライバ シー確保できな い。 ・各ユニットのリビ ングがよい。 ・各ユニットのトイ レなどが便利。 【現在の建物の課 題】 ・収納を各部屋に設 えているが足りな い。分散された収 納場所が必要であ る。 ・スヌーズレンを 作ったが今は個室 であるため必要性 を感じていない。 【高齢化でのニー ズ】 ・ユニット化,個室 化が望ましい。 施設A 【高齢化の状況】 ・当初より年齢層が 高くなっている。 ・開設した当時の入 居者が半数程度在 籍して,半数は死 去した。 【生活の変化】 ・食事時間が長く なった。食事形態 が刻み食から流動 食に変化してい る。食器も小さく なり,ガード食器 に変更した人もい る。 ・車いすで入浴介助 が必要な入居者が 10名おり,以前は 入浴時間が15~17 時半だったが,今 では日中に支援員 がいる13半~15時 とした。 ・排泄は全員決まっ た時間に行う。日 中は全員同時だ が,夜間は尿量に よって判断する。 【日中活動の変化】 ・以前は午前午後で 作業活動をしてい たが,作業効率が 悪くなったり作業 ができなくなって きた。 ・普通の人でも定年 後に仕事をしな い。高齢化した今 では午後を余暇活 動とし,カラオケ やテレビ鑑賞など の時間に当ててい る。 ・午前中は作業をす るが,畑仕事や段 ボールの開封仕 事,作業棟での滞 在などで外注など は行っておらず施 設内だけで簡潔し ている。 【支援員の研修・教 育】 ・支援員の研修は虐 待防止研修などで そのほかは特にな い。 ・何名かの職員で施 設の見学などを年 に4回程行ってい る。 【現在の建物の良 点】 ・壁に木を利用して いる点など工夫し ている。 【現在の建物の課 題】 ・夜中に部屋に入り きらない車いすが 廊下に並んでい る。 ・車いすの人も増え ており,1階と2階 の行き来が大変で ある。 【高齢化でのニー ズ】 ・機械浴があるとよ いが現状は必要と 感じていない。 ・個室にトイレが欲 しい。 ・みんなで集まれる 空間がもっと必要 ・特養等への移居は ほとんどいない。 ・要介護認定が出な いため,通所で通 い,その後特養の 空きを待つ人もい た。 ・この施設は介護施 設と障碍者施設の はざまだと思うが 介護施設にはなり たくない。理由と して年齢層の幅が 広く,若い入居者 が生活しにくくな る。また介護施設 だとすべてが指示 待ちとなる。 施設B 【高齢化の状況】 ・開設当初からの入 居者が多く,症状 が急変している人 はいない。ここで 亡くなる人もいる が,状態が悪いと 病院に行く。 【生活の変化】 ・食事は以前一人で できた人が現在で は支援員が支援し たり,食べ物のサ イズを小さくして いる。 ・排泄では拭き取り が困難になる。高 齢に限らず入居者 ごとで支援方法が 異なる。 ・入浴は支援度が上 がり時間も回数も 増えた。以前は1日 2回転だったが午前 に個別対応が増え て3回転になった。 女性入居者2名が 機械浴で今後機械 浴が増えると入浴 のリズムが変わる かもしれない。 【日中活動の変化】 ・散歩の頻度や行け る入居者が減少し た。屋内で最低限 できる活動だけし ている。 ・ゆっくり過ごす余 暇時間が増えた。 毎日行っていた畑 仕事に疑問を感 じ,余暇時間を取 り入れた。 ・年々活動内容が変 化しており,日中 活動では昔も今も 主に1階の食堂を 使う。 【支援ニーズ】 ・ベッドへの誘導な ど,介護の知識が 必要になる。 ・医療的ケアの対応 ができておらず, 医療が必要な場合 は病院に助けを求 める。 【支援員の研修・教 育】 ・寝たきりの入居者 がいた時は介護の 講習を受けてい た。 【現在の建物の良 点】 ・2階建てで空間で 病気感染面でよ い。 ・共有空間がいくつ かあるのがよい。 【現在の建物の課 題】 ・病気になると2人 部屋では感染症対 策が難しい。 ・2階建てだと交流 や夜間の連携が不 便。避難時にも課 題がある。 ・浴室が1階にしか なく歩けない入居 者の移動が大変。 ・廊下が狭く、車い すを旋回させたり 2台が余裕をもっ て通ることができ ないため、臨機応 変に車いすを操作 できない。 【高齢化でのニー ズ】 ・個室にしたい。 ・特養に行った入居 者は穏やかな人で ある。強度行動障 碍がなく移居が可 能だった。 ・特養と障害者支援 施設で専門性が異 なるのが課題であ る。行動特性で対 応するのが障害者 支援施設で,特養 の介護士では対応 が困難だと思う。 また認知症や高次 機能障碍でも対応 が異なる。 施設C 【高齢化の状況】 ・認知症に似た症状 が出始め,急に怒 る,喋れなくな る,排泄や食事が できなくなる等が 急激に起こる。 ・主にてんかんの入 居者が40代になり 食事や支援の拒否 などの変化がでて きた。 ・自閉症や他害行為 がパワーダウンす る人も,自閉症が 激しくなる人もい る。 【生活の変化】 ・高齢化で急に食欲 がなくなったり, 好き嫌いがでる人 がいる。過渡期で 何名も同時にそう した人がでると対 応が困難。 ・排泄のおむつ交換 で暴れる人がお り,3名体制での 対応が必要。以前 はこうしたことが なかった。 ・入浴では1,2名 しか機械浴の人が いないため,機械 浴を使わずに支援 員が対応するのが 大半。リフトは重 度の入居者が怖が る。 【日中活動の変化】 ・笑顔のために欠か せないのが運動だ と考えて昔は皆で 3〜4kmほど歩い ていたが,外を歩 ける入居者が少な くなり,現在は回 遊式の施設内を歩 き回っている。 【支援ニーズ】 ・高齢化で雑音の中 で食事に集中でき ず,食堂での一斉 食事が難しくなっ た。 ・通所入居者もADL が低下し,送迎の 課題がでてきた。 【現在の建物の良 点】 ・中庭を日光浴など で利用できる。 ・支援員の見守りが しやすい。 【現在の建物の課 題】 ・転倒防止のセン サーをつけたが無 線でうまく機能し ない。 【高齢化でのニー ズ】 ・すべて個室で,平 屋建てが望まし ・高齢者の施設に移 居しない理由は人 間関係がある。支 援員と入居者の関 係が移居すること で途切れてしま う。 施設E 【高齢化の状況】 ・開設当時は若く, 知的障碍の軽い入 居者が多かった。 一部はグループ ホームなどに出た が,出て行けずに 施設に残った入居 者が高齢化した。 【日中活動の変化】 ・高齢になっても作 業する施設もある が,いつまで作業 活動をするかが課 題である。今では 日中ドライブした り,部屋やリビン グでビデオをみた りなどしている。 ・活動の回数が少な くなった。 ・午後は介護浴など を行っている。 ・活動の内容ではな く活動の支援を変 えている。PTに来 てもらいリハビリ テーション支援で 機能の維持に取り 組む。 【支援ニーズ】 ・60歳以上が多く入 居しているが,40 〜50代もすでに高 齢者である。早期 発見,早期治療を 目指して可能な往 診をしてもらう。 ・痛いと言えない入 居者への医療的ケ アのあり方。てん かん,二次的な障 碍などへの配慮が 必要で,まずは健 康に過ごしてもら うのが重要。 ・支援内容は個々で 全く異なる。 【支援員の研修・教 育】 ・一般的な介護研修 はしているが高齢 の知的障碍に関し ては行っていな い。 ・夜勤と日勤の支援 員で1日の中で10 分間の振り返る時 間を設けている。 【現在の建物の良点】 ・廊下の間に余分な空間 をつくり入居者や支援 員が柔軟に使えるよう にしている。 ・廊下に死角があり,支 援員の視線を感じづら い。 ・浴室前の畳スペースが 便利。入浴前後や,疲 れた時に利用。 ・ユニット化で支援員間 での声かけが増えた。 ユニット化で支援員の 責任感が増し,力を発 揮する。 【現在の建物の課題】 ・トイレを家庭のトイレ にすればよかった。 【高齢化でのニーズ】 ・トイレの高さや位置な ども検討する。 ・転倒などの危険性があ り二重床とする。 ・特養への移居は本 人か家族の意向に よる。 ・特養との連携は 行っており,車で 5分程の特養の施 設長と話をしてい る。 ・身体的にも精神的 にもライフステー ジでもここでは無 理の場合,他施設 に移ってもらうこ とも考えている。 この施設で最期ま でずっと住み続け るのは難しく,一 生の住処ではな い。 施設G 【高齢化の状況】 ・高齢になり隣にあ る同法人の身体障 害者施設に移った 入居者もいたが, 結局この施設に 戻ってきた。 【生活の変化】 ・以前は食堂での一 斉食事だったが, 現在はユニットご とで食事をする。 一人一人個性など が異なり,それに 対応するためのユ ニットで,個人の 尊重にも関係す る。 ・高齢の入居者は大 浴場で大人数で入 浴するのが困難 で,少人数での入 浴である。 【日中活動の変化】 ・以前は木工や畑, 洗濯や掃除などを 行っていたが,障 碍の重度化で,日 中のニーズが変化 した。 ・施設入居者には定 年がなく,作業の ゴールがない。作 業が嫌になり自傷 行為に陥る入居者 もいる。 【支援ニーズ】 ・高齢だからといっ て特別な支援はな い。入居者ごとに よる。 ・骨が折れやすい寝 たきりの入居者に は注意が必要。 ・医療的ケアが課題 である。これまで 施設での医療行為 が禁止されていた が講習を受けた従 事者がいればでき ることもある。常 時医療が必要だと 施設に入れない。 【支援員の研修・教 育】 ・支援員は国で定め られている講習を 受けている。実習 生が現場に来てい るので,学生に支 援員の態度がどう だったか伺う反省 会をする。 【現在の建物の良 点】 ・高齢化に対応する ための建物であ る。 ・住み心地がよい。 【現在の建物の課 題】 ・分棟で職員配置が 大変である。 ・木造でランニング コストがかかる。4 年で木のサッシが 変色して塗り直し た。 【高齢化でのニー ズ】 ・特養等への移居は ない。 ・知的障碍だと特養 でも問題は起きな いが,他の高齢者 施設だと課題があ ると思う。 ・この施設で最後ま で過ごせるように 高齢化対応の居住 棟をつくった。 グループホームH 【日中活動】 ・日中の滞在場所な どは入居者が自由 に決めている。 ・ドライブが好き で,買い物に一緒 に行くか声かけを している。 【支援ニーズ】 ・人材不足でシフト を組むのが大変。 特に常時の看護師 配置が困難。 ・高齢だからこそ限 りある日々を楽し く生きて欲しい。 何をしたいかを決 めてからそこに職 員が入っていく。 言葉がない入居者 の言葉をどう汲み 取るかが重要な支 援である。 ・基本的に家であっ てほしいと考えて いる。そのため最 低限のケアはする が病院に行く必要 があれば行った方 がよいと思う。 【支援員の研修・教 育】 ・支援員の研修計画 がある。介護力な どのプチ研修を 行っている。職員 会議でもしてい る。介護の研修は 法人外でしかでき ないため外部で研 修を受けるが,本 当に正しい介護が できているかはわ からない。わから ないことは実際に 支援員も体験して 学ぶ。 ・法人から自己研修 費として2万円の 補助があり,それ で研修に行ってい たり教科書代に充 てられる。 【現在の建物の良 点】 ・様々な場所とつな がる動線が便利。 【現在の建物の課 題】 ・浴室に手すりがほ しかった。すべて リフトだと大変で ある。 ・大きな車椅子など の収納が不足して いる。また、車い すが通る際の幅が 法律上は問題ない が狭く感じる。 ・オムツ利用の入居 者のトイレがいら ないが元気な入居 者のトイレが不足 している。 【高齢化でのニー ズ】 ・建物の基準を満た しても様々な人に 対応できない。一 人一人に合わせた 環境整備が望まし い。 ・知的障碍で高齢に なり特養に入る人 はいるが,特養の スタッフとの関わ りが少なく言葉が 減ることがある。 ・定期的にオムツ交 換をするだけな ど,特養のスタッ フもどう関わって よいかがわからな い。 − 221 − ■【医療】  【必要】と【ケア】等とつながり,高齢 化での医療的ケアが言及され,「リハビリや医療的ケア が必要(B)」や「今後,入居者の高齢化で医療的ケア が必要になるが,施設でどこまで看られるのかが重要 (F)」などの懸念がある。 ■【建物】・【空間】  語どうしのつながりがあまりな く,回答事例ごとに異なる様々な意見があり,「個室化」 「ユニット化(B/C/F/G)」やユニット型の施設では「空 間を広くとる(D)」,「トイレの高さや位置の検討,二 重床(E)」などの具体的な環境整備が言及された。 ■【特養(特別養護老人ホーム)】  高齢化に伴う特 養等の高齢者施設への移居の可能性を確認したが,「専 門性が異なることが課題(B)」や「人間関係(C)」な どの意見であった。 ■【車いす】  【増える】や【広い】とつながり,具 体的には「車いす入居者が増えるという前提で一つ一 つの空間を広くつくる。(D)」などがある。 ■【支援】  【ユニット】のあるグループとつながり, 食事や入浴などの生活での支援内容と読み取れる。 ■その他  【施設】は【様々】と,【障碍】は【少ない】 とのみつながる。 3.2 高齢化対応のための環境整備の事例  改築や増築等で施設空間での高齢化対応の意図が確 認された施設D と施設F の空間計画や使われ方の特徴 をみる注7)(図4)。 ■施設D  男女で生活エリアが別れ,各ユニットに セミパブリックのリビングを設け,各ユニットの外に パブリックのリビングを設けている。入居者が高齢化 すると作業室での日中活動が困難になるのを想定し, パブリックなリビングで趣味や娯楽ができるよう計画 されている。また介護や移動がしやすいように各空間 を広く確保し注8),トイレや浴室の高齢化対応も行われ ている。 ■施設F  2014 年の増築で3 人部屋から完全個室化 され,各ユニットにリビングが設けられた。日中活動 を重点的に取り組む施設で,増築で設けられた手芸介 護室には寝たきりの入居者が活動に参加できるように 介護ベッドを置くスペースを確保している。寝たきり の入居者でも活動室で支援員による見守られながら他 の利用者との活動に参加できる。高齢化で一人で食事 が難しい入居者が増え,リビングでの食事も検討して 増築したが,支援員不足で従来通り食堂で食事を行う。 3.3 ヒアリング結果からの考察 1)高齢化による支援  高齢化による支援では「各 施設で食事時間が長くなる」,「支援員がいる日中時間 での入浴支援の切り替え」など,施設開所時より食事 や入浴等に支援が必要な入居者が増加しているとわか る(抽出語【時間】)。また日中活動内容の幅や時間が 減少し(抽出語【活動】),高齢化に伴う入浴介助など の時間に充てられていた。高齢化で体を動かす作業が 少なくなり,意図的に体を動かすプログラムを入れる 施設も確認できた。24 時間看護師を配置しているグ ループホームH では「人材不足による常時の看護師配 置が困難」と回答し医療的ケアに関する看護師配置の 難しさがうかがえる。さらに高齢化に伴い,「一時的な 介護はできるが医療的ケアが必要になると,現施設/ 人員配置では対応できない」との意見が挙げられた(抽 出語【医療】)。各施設で医療的ケアが必要な利用者も いるが,特養への転居は支援員の専門性や人間関係な どに課題があり困難だとの意見が聞かれ(抽出語【特 養】),「障害者施設」の枠組みでどこまで支援するか/ できるかが課題である注9)。 2)生活空間の環境整備  抽出語【建物・空間】では, 語同士のつながりが確認されなかったが,2人居室の 施設B では個室への希望があり,他の施設でも高齢化 に伴うニーズとして個室が挙げられた。高齢化で介助 や介護が必要になるとこれまで以上にプライバシーへ の配慮が必要であり,そのための環境として個室が望 まれいていると理解できる。また高齢化によるADL の 低下で,縦移動が不要な平屋建てを望む意見や,車い す利用者がいる施設では廊下での旋回や車いす同士の すれ違いの困難さ(施設B),廊下の狭さ(グループホー ムH),への意見がみられ,移動通路では車いす利用を 前提とした幅の確保へのニーズが確認された。 3)活動空間の環境整備  障害者支援施設では,同 敷地内または同施設内に夜間の生活の場と日中の活動 の場が計画されるが,高齢化で日中の作業活動や散歩 図4 施設D と施設F の施設空間 施設D 施設F パブリックな リビング セミパブリックな リビング コモン リビング 居室 凡例 WC 浴室 ユニット内 リビング リビング 中庭 食堂 リビング 居室 WC ユニット内 ユニット内 − 222 − 表5 詳細インタビュー調査対象者の概要と属性の変化 等が困難な状況が生じるため,高齢期の日中の活動内 容や場所の整備も課題である。施設D では高齢化を見 据えて各ユニットに隣接するパブリックリビングで趣 味や娯楽等の日中活動ができるよう計画されている。 施設F では手芸介護室(日中の活動室)に寝たきりの 入居者が滞在できるスペースを設け,寝たきりでも他 の利用者との活動空間に参加できるように配慮してい る。今後の障害者支援施設では若年〜高齢層まで入居 者の年齢構成に幅(表3)が生じると考えられ,活発 に活動できる入居者と高齢期で活動が困難な入居者と が混在すると想定される。その際に高齢期の入居者の 日中の活動空間を生活空間と一体的に設けて行うか, これまで通りの活動室で若い利用者と一緒に活動する かは各施設の方針や人員配置の状況による。いずれに せよ,今後の施設整備時には高齢期の生活空間ととも に日中活動のあり方や活動空間も併せて検討する必要 がある。 4.詳細インタビュー調査結果  次に調査②:インタビュー調査から入居者個人に焦 点を当て,より詳細に高齢化の状態を捉え,生活や活 動,支援ニーズの変化の中での高齢化対応のあり方を 探る。なおインタビュー調査はヒアリング調査を行っ た施設の中から,従来型とユニット型で調査の受諾を 得られた施設B と施設G で行った。 4.1 調査対象施設の概要(表2) ■施設B(定員40 名)  建設年1999 年の2階建てで, 個室16 室・2 人部屋12 室の従来型施設である。1階 が男性,2階が女性の生活エリアで各階の食堂で食事 をとる。男女で浴室が1階の1箇所である。 ■施設G(定員50 名)  建設年1990 年の生活棟(28 名) と2015 年に高齢化対応のために増築した生活棟(22 名) があり,調査対象者は増築棟にいる。平屋建ての分棟 型で,1住棟6名,個室ユニット型施設である。各ユ ニットで食事と入浴をする。 4.2 調査対象者の概要と属性の低下(表5)   調査対象者は施設B:①〜⑤,施設G:⑪〜⑯の計 11 名で,年齢45 〜80 歳,障害支援区分6である。【身 体面の変化】は対象者で異なり,大島の分類注10)を参 考とした属性では現在では「歩行不安定(一部車いす) (①②⑫⑬⑮)」「歩けない/座れる(車いす)(③④⑤)」 「寝たきり(⑪⑭⑯)」でどの対象者も施設入所当時よ りも身体機能が低下している。また高齢化に伴いADL が徐々に低下する場合と,疾病等で急激に低下する場 合があり,ADL の低下の仕方ごとに生活の変化や支援 員の対応の詳細をみる。 4.3 高齢化での生活の変化と対応( 図5) 1)急激にADL が低下した調査対象者 ■施設B ④と⑤は共にパーキンソン病で急激にADL が低下した。④は食事・排泄・入浴・着替えのADL が 全介助で,病後すぐに介護ベッドの利用に移行した。 ⑤は食事以外に介助が必要で,起きられなくなるタイ 施設名 施設 G 調査対象者 性別/年代 入居日 障害区分 疾病や 個人の 特性, 身体面 の変化 ADL 徐々に低下 徐々に低下 徐々に低下 急激に低下 急激に低下 急激に低下 急激に低下 徐々に低下 急激に低下 急激に低下 徐々に低下 施設B 大島分類 を参考に した入居 者の属性 の変化 走れる 歩けない/座れる ( 車いす) 歩ける 歩行不安 ( 一部車いす) 歩けない/座れる ( 車いす) 歩行不安 ( 一部車いす) 寝たきり 20∼35 ∼20 運動 知能 能力 指数 ④⑤ ①②③ ❶❷ ❸ ❹❺ ⑫⑬⑭⑮⑯ 121315 ⑪ 111416 ① 女性/ 80 代 1999 年(開設時) 6 【疾病や特性】 最高齢で目が 悪い。会話が 可能。感情の 起伏が激し く,日中で変 化する。 【身体面の変 化】2015 年 に右ひざの痛 みからシル バーカーを利 用し,外出時 は車いすで ② 女性/ 50 代 1999 年(開設時) 6 【疾病や特性】 てんかんの発作 がよくある。 会話が可能。 【身体面の変化】 日中は基本寝て いるが,起きて いる時は支援者 が車いすに乗せ て見守ってい る。一番気を遣 わなければなら ない入居者であ る。 ③ 女性/ 50 代 1999 年(開設時) 6 【疾病や特性】 生まれつき両 耳が聞こえな いが周囲の環 境を読むのに 長けている。 自己主張が強 く頑固。 【身体面の変 化】 2010 年頃から 歩行が不安定 になり転倒で 怪我が増えた ④ 男性/ 70 代 1999 年(開設時) 6 【疾病や特性】 以前は社会に 出ていた。会 話も可能で一 人で身の回り のことができ ていた。 【身体面の変 化】 パーキンソン 病で半年程度 で会話もでき ず全介助にな る。1 週間単 ⑤ 男性/ 70 代 1999 年(開設時) 6 【疾病や特性】 以前は社会に 出ていた。耳 が聞こえない がこれまで大 きな病歴がな かった。 こだわりが強 く趣味が多い。 【身体面の変 化】2018 年に パーキンソン 病を患い,④の 後を追うよう ⑪ 6 女性/ 60 代 1990 年(開設時) 【疾病や特性】 生まれつき左 半身マヒがあ り、生まれた 時から歩くこ とができな かった。非常 に自己主張が 強く日中の興 奮状態に波が ある。 【身体面の変 化】47 歳の時 に大腿骨を骨 ⑫ 女性/ 50 代 6 1990 年(開設時) 【疾病や特性】 精神疾患とて んかんを患っ ている。頑固 な性格で感覚 鈍麻なため支 援員の管理が 必須。 【身体面の変 化】 2006 年に大腿 骨を骨折して 以降,普段は 歩行できるが ⑬ 女性/ 60 代 1994 年 6 【疾病や特性】 てんかんを 患っている。 【身体面の変 化】 会話ができた が近年認知症 がみられでき なくなる。以 前よりおとな しくなった。 歩けるが転倒 が増加した。 一般的な高齢 ⑭ 男性/ 40 代 6 1990 年(開設時) 【疾病や特性】 2歳まで話せて いたが,高熱の 後遺症で知的障 碍と左半身マヒ を患う。 【身体面の変化】 25 歳まで歩けて いたが肺炎の影 響で寝たきりに (肺炎を毎年患 う)なり施設内 では一番病院に いる。 ⑮ 男性/ 50 代 6 1990 年(開設時) 【疾病や特性】ダ ウン症があり 認知機能が低い。 こめかみへの自傷 行為で3年前に失 明の可能性があ る。コミュケー ションは取れな い。 【身体面の変化】 失明で歩行が不可 能になる。 ⑯ 男性/ 70 代 6 1990 年(開設時) 【疾病や特性】視 力が悪く最終的 にはほとんど見 えなくなった。 穏やかで,会話 ができた。 【身体面の変化】 2010 年の骨折で 車いす生活とな る。2012 年に肺 炎で入院してか ら全介助。2016 年に大腸がんで 死去。 走れる歩ける寝たきり 20∼35 ∼20 運動 知能 能力 指数 ・個室はで16 室で、他は2 人部屋が12 室ある。 ・男性フロアが1階、女性フロアが2階である。 ・女性が1階に下りるのは入浴と必要な時のみで日中は食堂で過ごしている。 ・各階で男女別に食事を取っている。 ・1階の食堂上部が吹き抜けである。 ・1住棟( ユニット)6名で生活している。 ・全室個室であり、各ユニットのリビングで食事をしている。 ・中庭は入居者の高齢化に配慮して車いすでも散歩できるように段差をなくている。 凡例 ○は入居時点, ●は現在の属性 を示す 施設概要 − 223 − 図5 詳細インタビュー調査結果 ④ ⑤ 地域交流 ホール 駐車場 【生活や活動の様子】 ・パーキンソン病で急激に身体機能が低下し,トイレに 行けなくなり,歩けなくなり,話せなくなった。 ・ADLが全自立から全介助になった。 ・以前は日中に施設外に労働へ出たり,草むしりをした り居室で演歌を聞いたり相撲を見たりして過ごしてい たが,今では見守りの面から食堂にいる。 【環境改善】 ・病後すぐに介護ベッドを導入した。 【支援ニーズ】 ・物の名前が分からなくなり,実物を見てもらう。 ・介護浴,夜間のおむつ交換が必要になった。 ・いつ症状が急変してもおかしくなく,注意深い見守り が必要。食堂で見守られながら生活 入居者:④(男性) 年齢:73歳 車いすADL:全介助 ③ 【生活や活動の様子】 ・基本的なADLは自立している。 ・身だしなみを整えるのが困難で,シルバーカーでトイ レに行くが夜中に漏らすことがありオムツを利用す る。大勢での入浴を怖がるようになった。 ・以前は余暇時間に折り紙や散歩するのが好きだったが 今ではデイルーム前廊下のお気に入りの場所にいる。 【環境改善】 ・パーキンソン病の疑いがあり,歩くのに消極的になっ た段階で車いすを導入したが,身体機能維持のために 外出時以外は使わないようにしている。 ・女性フロアの男性便所を無くしてトイレを広くした。 【支援ニーズ】 ・認知症の傾向がみられ,急に怒るため注意が必要。デイルーム前のお気に入り の場所にいる 入居者:①(女性) 年齢:80歳 一部車いす ADL:可/一部可/可/可 中庭 デイルーム 居室 居室 車椅子で施設の外周を散歩 【生活や活動の様子】 ・以前は食事・排泄・入浴・着替えの一部に見守りや介 助が必要で基本的に自分でできていたが,失明してか ら全介助である。 ・以前は散歩が好きでよく歩いていたが,今では車いす で施設の外周を散歩する。 【環境改善】 ・目が見えずベッドだと危険なため布団に変更した。 ・段差がないように心掛けている。 【支援ニーズ】 ・失明したため全て支援しなければならない。 ・自力歩行は可能だが足元の確認に気を付けている。 ・自傷行為を抑えられるように支援が必要だが自傷行為 の原因がわからない。 入居者:⑮(男性) 年齢:50歳 車いすADL:全介助 凡例 調査対象の入居者の属性 入居者:①(女性) 年齢:80歳 一部車いす  ADL:可/一部可/可/可   調査対象者年齢移動手段  ADL:食事/排泄/入浴/着替え 【生活や活動の様子】 ・食事は刻み食で自分でできているが,排泄・入浴・着 替えで介助が必要になった。 ・以前は畑仕事をしていたが,今は機能低下予防のため の運動をしているが積極的でない。居室で嘔吐するこ とがあり,見守りの面から食堂にいてテレビを見る。 【環境改善】 ・自分で起きられなくなるタイミングで介護ベッドにす る。また介護浴,トイレへの手すり整備も必要。 ・イスに取り付け可能なハーネス,ベッド柵も検討。 【支援ニーズ】 ・足が上がりづらく視界も悪いため転倒に気をつける。 ・残存機能を維持するための支援が必要だが,一方で機 能の急低下を見越した先手先手の支援が必要である。居室の位置 食堂でリハビリ 作業している図がほしい 入居者:⑤(男性) 年齢:70歳 一部車いす ADL:可/一部可/不可/不可 ④ 地域交流 ホール 駐車場 ⑤ 居室 食堂で見守られながら生活 【生活や活動の様子】 ・以前から食事以外介助が必要である。 ・歳をとるにつれて足がおぼつかなくなり転倒が増えて きた。以前は日中に散歩をしていたが,今では中庭で の運動の時にベンチに座っている。 ・以前は日中活動を頻繁にしていたが,今では日中に寝 ている。 【環境改善】 ・転倒の恐れがあるため畳部屋だが,今後の状況によっ ては介護ベッドにする。専用の車いすも必要である。 ・出入り口の段差を解消した。 ・2人部屋で個室にしたいが,個室が少なく難しい。 【支援ニーズ】 ・てんかん発作があるため,常時見守りが必要である。 入居者:②(女性) 年齢:55歳 一部車いす ADL:可/不可/不可/不可 中庭の運動の時にもベンチ に座っていること デイルーム 居室 居室 中庭 車椅子で施設の外周を散歩 【生活や活動の様子】 ・大腿骨を骨折して急に寝たきりになる。食事はきざみ 食で,ベッド上でスプーンを使い食べる。排泄・入 浴・着替えは介助が必要である。 ・基本的に寝たきりだが日中に支援員が買い物に連れて 行ったり,車いすで施設の外周を回ったり,リビング にいたりもする。 【環境改善】 ・大腿骨骨折で寝たきりになり,介護ベッドと車いすを 整備した。 【支援ニーズ】 ・骨粗しょう症のため車いす移乗時に気をつけている。 ・高齢で体調が悪くなりやすくなった。施設内で一番病 院に近い入居者のため健康面に気をつけている。 入居者:⑪(女性) 年齢:61歳 車いすADL:一部可/不可/不可/不可 【生活や活動の様子】 ・食事以外は介助が必要である。咀嚼が困難でおかゆや きざみ食にしている。トイレに定期的に誘導するが失 禁が増えてきた。以前は排便の意思表示ができた。 ・睡眠が不規則になり一晩中起きていることがある。 ・以前はリサイクル班で力作業が得意だった。 【環境改善】 ・自傷行為があり元々壁にクッションを施していて,転 倒がでてきたタイミングで床にマットを引いた。 ・昨年に介護ベッドを導入した。現在リクライニング車 いすを仕立て中である。 【支援ニーズ】 ・発作が重くなり,数日間寝ていることもあるため発作 の見極めが大切である。 入居者:③(女性) 年齢:52歳 車いすADL:可/不可/不可/不可 壁に緩衝材,床にマットを 設置している デイルーム 居室 居室 5 1 0 N (m) 1/750 配置図兼1階平面図 ⑫居室 ⑪居室 リビング 見守りが必要な入居者は リビング前の居室にいる 【生活や活動の様子】 ・食事はきざみ食で,自分でスプーンを使い食べるが一 部介助してもらう。排泄はオムツで,入浴は一般浴槽 に入るが介助が必要である。 ・日中はユニット内にいて車いすで施設の外周を回る。 【環境改善】 ・ベッドでは転倒の危険があるため布団である。 ・クッション性のあるマットを利用している。 【支援ニーズ】 ・認知機能は比較的高いが激しい性格とてんかんがある ためリビング前の居室に入ってもらい見守る。 ・骨粗しょう症のため骨折に注意している。 ・自己主張が強く精神状態の波が激しいためコミュニ ケーションをうまくとるように配慮する。 入居者:⑫(女性) 年齢:51歳 一部車いす ADL:一部可/不可/不可/不可 外 居室 居室 介護ベッドを導入。ベッド は窓の外から搬出入が可能 【生活や活動の様子】 ・ADLは自立で,一通り自分でできるが見守りが必要で ある。高齢になるにつれて尿漏れがみられる。 ・長距離を歩けなくなったが,基本的には今も自分で歩 いている。 ・日中はリビングでDVDを観たり絵を描いたりである。 【環境改善】 ・頻繁に転倒するようになったため手すりがある増築し た住棟へ居室を移した。そのタイミングで介護ベッド と車いすを導入した。 【支援ニーズ】 ・転倒があるため歩行ルートに物を置かないよう注意し ている。 ・体調不良など健康面に配慮している。 入居者:⑬(女性) 年齢:64歳 歩行不安定 ADL:全自立 居室 寝たきり 居室で寝たきり 【生活や活動の様子】 ・寝たきりでADLはすべて全介助である。食事はペース ト食で居室で食べる。 ・日中も居室で寝たきりだが,調子が良い時や天気が良 い日は車いすで施設の外周を散歩する。 【環境改善】 ・寝たきりになってから介護ベッドを使用している。 【支援ニーズ】 ・話しても反応がなく,ニーズを組み取る必要がある。 ・医療的ケアが必要で免疫力が低下しているため配慮が 必要である。 ・自分で体温調節ができないため管理が必要である。 ・入院しててもおかしくない状態のため健康管理に配慮 している。 入居者:⑭(男性) 年齢:45歳 車いすADL:全介助 凡例 スタッフステーション 居室 中庭 テント 中庭での葬儀 【生活や活動の様子】 ・ADLは全介助で,排泄はオムツ利用である。排泄後に おむつをいじるようになった。入浴ではリフトを使っ ている。 ・以前から余暇時間に何もしておらず,おとなしくリビ ングにいる。天気が良い時は車いすで出かける。 【環境改善】 ・歩行が困難になったタイミングで介護ベッドと車いす を導入した。 【支援ニーズ】 ・最後は癌でギリギリまで施設で生活してもらい,病院 で看取った。そのあと施設へ戻り,施設の中庭でテン トを張って支援員と入居者の皆で葬儀を執り行い,見 送った。 入居者:⑯(男性) 年齢:享年74歳 車いすADL:全介助 B 設施 G 設施 急激にADLが低下徐々にADLが低下 − 224 − ミングで介護ベッドに移行し,トイレへの手すりの整 備も必要だという。残存機能を維持する支援が必要な 一方で機能の急低下を見越した先手先手の支援も必要 だという。④と⑤は共に見守りの観点から日中や余暇 時間を食堂で見守られながら過ごす。 ■施設G ⑪と⑫は食事の一部介助以外全介助であ る。環境整備は車いすと介護ベッド利用で,ベッドで は転倒の恐れがある⑫と⑮は布団である。骨粗しょう 症の⑪と⑫の車いす移乗時に配慮が必要である。どの 入居者も健康面に配慮されている。⑪と⑭は寝たきり だがどの対象者も体調が良い時等は日中に中庭や敷地 内を散歩する。 2)徐々にADL が低下した調査対象者 ■施設B ①はADL が自立だが夜中の失禁等がでて きた。②と③は食事ができるが他で介助が必要である。 車いすや介護ベッドを利用し,必要に応じてトイレの 改修や段差解消等がなされた(①②)。また②は転倒の 恐れがあり畳部屋で,現在2人部屋のため個室にした いが個室が少なく難しいとの課題がある。③は転倒の 危険性が生じ,居室の床にマットが敷かれた。日中に ①はお気に入りのデイルーム前廊下によくいる。②は 足がおぼつかなく転倒が増え,今では中庭で運動する 際も座っている。 ■施設G ⑬はADL が自立だが,歩行が不安定で頻 繁に転倒するようになり高齢化対応の住棟へ居室が移 され,介護ベッドと車いすが導入された。日中はリビ ングでDVD を観たり絵を書いたりして過ごす。⑯は故 人で,歩行が困難になり介護ベッドと車いすが導入さ れた。以前から日中はリビングで過ごし,天気が良い 時は車いすで出かけていた。癌を患い,最期まで施設 で生活して病院で看取られた。中庭にテントを張り, 施設で葬儀を行い見送った。 4.4 詳細インタビュー結果からの考察 1)身体機能の低下に対応する環境整備 両施設ともに手すりの必要性や段差解消の指摘があ り,高齢化での身体機能低下への配慮として高齢者施 設同様に求められる基本的なニーズである。また施設 G では介護ベッドを屋外から直接居室内に搬出入でき る計画で,入居する年齢層が幅広く常時入居者全員が 介護ベッドを必要としない障害者支援施設ならではの 工夫だと考えられる。またADL が徐々に低下する入居 者は,常時車いすに乗らずに機能維持を目的に歩行や 運動をするため,そのための屋内外空間を検討する必 要があると考える。 2)QOL 向上を目指した環境整備 現在の障害者支援施設では日中や夜間の生活/活動 の拠点に留まらず終の住処のニーズがある。そのため 身体機能の低下に応じた環境整備だけでなく,高齢期 のQOL 向上の観点でいかに環境を整備するかを検討す る必要もあると考える。施設OM の中庭は車いすでも散 歩でき,どの調査対象者も中庭や施設内を散歩する機 会が日常的にある。故人⑯のエピソードのように馴染 みのある中庭で過ごし,ここで支援員と入居者の皆に 最後を見送られるのはQOL として豊かである。施設や 入居者のこれまでの生活や活動の特徴から馴染みの空 間をつくるのも高齢期のQOL につながると考える。 5.本稿のまとめ  本稿では3章のヒアリング結果から,高齢化で食事 や入浴などの生活の時間が増え,日中活動の内容が変 化し,今後の施設での支援ニーズに医療的ケアや介護 への課題が指摘された。特養に移居もあるが,支援と 介護ニーズの相違や保険制度などが課題となり難し く,障害者支援施設が支援と介護の狭間にある実態が みられた。また建築的ニーズでは個室やユニット化ま たは機械浴などが言及された。日中活動の内容が変化 することで,高齢期の日中活動のあり方や空間を検討 する必要性が示唆され,本稿での調査施設では高齢化 を見据えて生活空間の中に活動空間を想定している事 例(施設D)や寝たきりでも他の利用者と一緒に活動 に参加できる活動室を設ける事例(施設F)がみられ た。4章のインタビュー結果から,築20 年以上の施設 B ではバリアフリーでなく,ADL が低下した入居者が現 れる都度,必要な環境整備をしていた。高齢化対応の 住棟を増築した施設G では入居者のADL が低下した際 に介護ベッドと車いすを導入する程度である。また日 中や余暇ではリビングにいる,車いすで中庭を散歩す る,身体機能維持のために運動する等で,個々の状況 やペースに応じた時間の過ごし方が確認され,馴染み の中庭が故人をおくる場でもあった。障害者支援施設 での高齢期の環境整備において,入居者の身体機能の 低下に対応するだけでなく,QOL 向上のための環境注11) について検討することも重要な視点だと考える。 謝辞  本研究にご協力いただきました皆様に記して御礼申 − 225 − し上げます。また,本研究は2019 年度の前田記念工学 振興財団の研究助成を受けて行われました(研究課題: 障害者福祉と高齢者福祉の統合を目指した障害者支援 施設整備での高齢化対応実態と課題の研究,研究代表 者:山田あすか)。 注 注1)「障害」の表記については個の尊重や差別などの理由で様々な 議論がある。従来は「障碍」の表記が充てられていたが,1946 年 11 月16 日に内閣が告示した「当用漢字表」に掲載された1850 の 漢字から「碍」が外され,「障害」が充てられるようになり,問題 も指摘される。本研究では「障碍」の表記として,法律用語/名 称を示す場合に限り「障害」を用いる。 注2)2006 年の障害者自立支援法施行(現・障害者総合支援法)により, 障碍区分(知的障害・身体障碍・精神障碍)と施設種別が一元化 されるかたちで障害者支援施設が設置された。 注3)障害者支援施設での高齢化やその課題を明らかにするにあた り,先駆的なグループホームでの医療的ケアや看取りへの取組み が参考になると考え,障害者支援施設も運営しているグループホー ムH を対象とした。グループホームH では看護師を配置して医療 的ケアのある高齢の障碍者を看護・介護できる体制を整えている。 なお障害者支援施設とグループホームで施設の規模は異なるが, 本調査では障害者支援施設の中でも入居者の高齢化が想定される 施設を対象としており,その点で今回対象としたグループホーム は同一条件である。またグループホームH へのヒアリング結果で は障害者支援施設との規模や平面プランが影響しての意見の差異 と思われる回答がなく,同一の分析方法で問題ないと判断した。 注4)本稿は東京電機大学ヒト生命倫理審査を受けて行われた研究 (受付番号03-014:『幼少期〜高齢期の特別支援ニーズを包摂する 施設環境整備に関する研究』)で,個人情報保護には充分な注意を 払い調査を行った。 注5) テキストマイニングソフト「KH Coder」とは樋口耕一氏が開 発したテキスト型( 文章型) データを統計的に分析するためのフ リーソフトウェアである。新聞記事,質問紙調査などの自由回答 項目やインタビュー記録といった様々なテキストデータを計量的 に分析する目的で制作され,社会学,心理学など複数の分野で数 多くの論文による実績がある。図3中の円の大きさは出現した数 を表し,単語間の数字は関連して出現した回数を表している。また, 色同士は関連するグループを表し,関連する語が少ない単語は出 ている線が少なくなっている。 注6)高齢化の実態や施設の課題等をヒアリングで頻出する単語から 具体的に読み取ることを試みる。KHCoder でキーワードとなる単語 を抽出することで視点を明確化し,表4の具体的なヒアリング内 容とともに読み取ることで高齢化でのキーワード〜具体的な内容 までの知見を得る。なお本稿でのKH Coder での分析では高齢化に ついての視点やキーワードを明確化することに対して有効に活用 し,具体的な高齢化での実態や施設の課題を抽出する点において は有効性がわずかで,そのために表4のヒアリングでの具体的な 内容と合わせて読み取りを行う。 注7)施設G でも増築で施設空間での高齢化対応の意図が確認された。 施設G の高齢者対応の特徴については4章でのインタビュー調査 結果で示す。 注8)高齢化に対応するため,居室前には車いすを置けるように通路 を広く確保している。なお現在歩行器の入居者がおり,廊下でリ ハビリを行うが回遊できないのが不便で回遊できる通路を計画す ればよかったとの意見があった。 注9)医療的ケアが必要な高齢の障碍者への支援として看護師を配置 するグループホームH のような事例もあるが人材不足で常時の看 護師配置が困難な意見も聞かれた。 注10)1968 年に都立府中療育センターの大島一良先生により知的指 数を縦軸の5段階に,運動機能を横軸の5段階にわけて障がいの 程度を分布した指標。 注11)本稿では施設や入居者のこれまでの生活や活動の特徴から馴 染みの空間をつくるのも高齢期のQOL につながると推察したが, 入居者の高齢期のQOL 向上のための生活や活動環境のあり方を明 らかにするのは今後の課題である。 [参考文献] 1)古賀政好・山田あすか:身体・知的・重症心身障がい児者施設へ のアンケート調査報告- 空間構成と居住者の生活像について-,日 本建築学会技術報告集,第16 巻 第33 号,pp.627-632,2010 2)山田あすか・古賀政好:障碍者施設におけるスタッフによる環境 への評価と異種障碍者共同生活に向けての課題- 障碍の別によら ない生活環境構築 のための研究 その1-,日本建築学会計画系論 文集,第76 巻 第664 号,pp.1083-1092,2011 3)古賀政好・山田あすか:旧障碍区分が異なる入居施設での入居 者の滞在様態の比較- 障碍の別によらない生活環境構築のため の研究その2-,日本建築学会技術報告集,第20 巻,第45 号, pp.683-688,2014.06 4)倉澤周作・山田あすか・小林千紗奈・古賀政好:障がい者施設に おける施設平面と支援負担感の関係に関する研究 その1,日本 建築学会学術講演大会,pp.453-454,2017 5)宮崎文夏・小林千紗奈・古賀政好・山田あすか:障がい者施設に おける施設平面と支援負担感の関係に関する研究 その2,日本 建築学会学術講演大会,pp.455-456,2017 6)古賀政好・小林千紗奈・山田あすか:障がい者施設における施設 平面と支援負担感の関係に関する研究 その3,日本建築学会学 術講演大会,pp.457-458,2017 7)小津貴・松田雄二:入居型知的障害者支援施設における入居 者の居場所と行為に影響を与える要素,日本建築学会学術講演, pp.1277-1278,2017 8)大西寛・石垣文・他:障害者の施設入所支援を母体とした生活 支援ネットワークに関する研究,日本建築学会学術講演,pp.461- 462,2017 9)松田雄二:身体障害者入所授産施設の入所者の地域生活への移行 と実態と課題,日本建築学会学術講演,pp.21-24,2014 − 226 −

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自閉症児クラスを有する小学校の児童の滞在と交流活動に関する研究 〜COVID-19 による運営動向を含めた調査分析〜

2021-07-15 16:23:29 | 書架(障碍者関係)

こちらからダウンロードできます

地域施設計画研究39 2021年7月 日本建築学会

建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会

Regional Community Facilities Planning and Design, AIJ, Vol.39, Jul., 2021

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤井容子,西出和彦:小舎制知的障がい児施設における余暇生活行動に関する研究

2012-05-05 01:45:29 | 書架(障碍者関係)
小舎制知的障がい児施設における余暇生活行動に関する研究
(障碍児の教育・生活施設,建築計画I)
日本建築学会大会学術講演梗概集 (北陸) 2010年9月
藤井容子 西出和彦


1 背景と目的
  小舎制知的障がい児施設での余暇生活行動について、行為の種類と交流行動の側面から捉えた特徴を述べ、今後の施設環境について、基礎的な知見を得ることを目的とする。

2 調査方法と概要
  知的障害者施設として初めて個室・ユニットケアを導入したK学園を調査対象とし、ユニット内の児童、教員の行動を10分毎に観察した。

3 ユニット内の滞在時間割合と児童の移動頻度
  重度障がい児は「個室」の滞在時間が最も高いが、職員は「居間」「廊下」にいることが多い。中・軽度障がい児は担当職員と共に「居間」にいるケースが一番多かった。

4 行為の種類から捉えた生活行動の特徴
  「個室」重度障がい児は半分以上が「休息」を占めており、職員も「余暇支援」の割合が高かった。中・軽度になるにつれ、「休息」、「対物」の割合が逆転する。
  「居間」重度の児童は「自己刺激」「対物遊び」の割合が高い。内容が理解できる軽度の児童は90%以上が「テレビ」を占めていた。
  「廊下」重度の児童は「移動」がほとんどだった。担当職員の様々な支援が慶長なく展開されていた。中度の児童は「対物」遊びが多いが軽度の児童に関しては「対人接触」が多くみられ、食事の準備や洗濯の一部も児童が担っていた。

5 交流行動から捉えた特徴
  「居間」対人関係の形成が不得手である重度の児童は「単独行為」が最も多い。中・軽度の児童は「並行行為」の割合が高く、遊びが相互に影響し合っていた。
  「廊下」重度の児童は「単独行為」が多いが中・軽度の児童は「相互行為」が多い。軽くなるにつれて児童同士が協同して行為を展開するようになる。

6 まとめ
障がいの程度が行為の種類や交流行動のの度合いに影響を与えることが分かった。また、児童が個人の空間と集団での空間など、場所に応じて行動を変化させ、場面を展開していることが分かった。

7 感想
  比較的軽度の児童は、状況により部屋を使い分けているが、重度の児童に関してはどこにいても個人的な作業か、職員とのコミュニケーションが多く、周囲の環境はあまり関係ないように感じた。
  障がいの程度に合った対応が出来るユニットケアは今後取り入れていくべきだと感じた。


副島眸
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小池拓・山田あすか・古賀政好:幼児・学齢期における障碍児の滞在様態等に影響する環境構成要素

2012-04-16 18:21:15 | 書架(障碍者関係)

幼児・学齢期における障碍児の滞在様態と活動場面の成立に影響する環境構成要素の分析

日本建築学会大会学術講演梗概集 (北陸) 2010年9月

小池拓 山田あすか 古賀政好

1 背景と目的

様々な障碍種のこどもが混在する総合支援学校と幼児通園施設での、児童の活動場面の成立に影響する環境構成要素を分析することで、障害児が遊び、学ぶ環境の向上に向けた知見を得ることを目的としています。

2 調査概要

空間構成が特徴的な2つの幼児通園施設(それぞれA園、B園とする)と1つの特別支援学校(K総合とする)を選定した。そこで、年齢ごとの居場所のマッピング調査、個々の園児の終日追跡調査を行い、滞在場所や環境要素の関係を記録した。

3 1日の流れと活動場面の事例

 1) 各施設の1日の滞在場所

 園児の連続的な行動を「滞在型活動」「移動型活動」「移動」に分類したところ、「移型活動」はプレイルーム等の広い空間で、「滞在型活動」は保育質等の小さい空間や椅子、マットの上等で観察された。

 2) 児童の固有の活動場面の抽出と構成要素

 活動場面を「場所」「もの」「保育士」「他の園児」「行為」の要素に分解した。 そこから場所の成立に影響を及ぼす要素を抽出した。児童がおままごとをしている場面は5つすべての要素が場面の成立に影響を及ぼしている。 

4 固有の活動場面に成立する要素

 1) 年齢段階と活動場面の成立に影響する要素

 A園、B園では年齢が上がるにつれて他の園児との関わりが増えるが、K総合では増加  は見られない。

 2) 障碍の程度装飾的要素

 障碍が軽~中度であると直接的に影響する環境要素の割合が高いが、重度になると周 囲の働きかけによって間接的に影響する要素(装飾的要素)の割合が高い傾向がある。

5 まとめ

年齢や活動タイプ、滞在型/移動型活動ごとに周囲の環境に対する意識や意味づけを   し、装飾的要素の概念によって、重度の児童にとっての場面の捉え方を試論として示した。

6 感想

障碍が重度の児童と軽度の児童には、遊び方にも差があった。重度になるほどより   周辺環境のサポートが必要になってくると感じた。

(副島眸)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外間 正浩:障がい者福祉施設の災害対応に関する調査

2012-04-06 21:07:35 | 書架(障碍者関係)

障がい者福祉施設の災害対応に関する調査

―福祉避難所としての対応と平常時における災害への準備の観点から―

外間 正浩

日本建築学会大会学術講演梗概集(東北) 2009年8月

1 研究の目的

本研究では、水害の被災市町村における障がい者福祉施設に勤務する職員(支援者)に対する調査の結果から、福祉避難所としての対応および平常時の災害対応活動や意識についてまとめ、報告するものである。

2 概要

平成19~20年に発生した水害で避難情報が発令された市町村のうち、対象世帯数が400世帯以上、浸水棟数が100棟以上、あるいは死者が発表されている市町村に所在する、福祉施設などに勤務する人たちである。2008年9月~2009年2月下旬までで、35の市町村から110人から回答を得た。

3 調査方法

WEBもしくは紙によりアンケート調査を行った。

4 結果

 1)福祉避難所の対応状況

「福祉避難所として活動している」と回答した人は21.1%で「検討中」が8.3%、「知らない・していない・検討したが見送っている」を合わせると7割にも及んだ。

 2)平常時の取り組み

「緊急連絡先の確認」が最も多く55.5%「避難訓練」が50%となった。その一方「ハザードマップの確認」が5.5%と非常に低い。

 3)マニュアルなどの整備状況

「直近の水害前から策定していた」が42.7%と一番多い。しかし「水害後も策定していない」は21.8%であり、「水害後に策定・検討中」と合わせた23.6%とほぼ同数となっている。

 4)災害対応に関するなんらかのネットワークへの参加

「参加していない」が46.4%と一番多い。

5 まとめ

今回回答した施設は水害を中心とした災害の非難情報発令対象地域に所属するか、その近隣地域に所在するもののいずれかであったにもかかわらず、福祉避難所としての活動対応への意識は高いとは言えない。また、避難訓練の有無、災害時対応マニュアルに関しての設問で、「分からない」との回答もあった。こういった結果の背景にはマンパワーの不足、ノウハウの不足等が理由としてあげられると推測する。非常時の特別な体制整備は、福祉施設に過大な負担を課すことになり、実効性のある要援護者支援体制の構築を阻害する要因にもなりかねない。災害対応体制の構築にあたって改めて工夫が求められている。

6 感想

実際に災害が起こっているのにもかかわらず、対策をしないという人々の意識に疑問を感じている。数年たった今の日本で、こういった意識がどう変化しているか、興味を持った。

(副島 眸)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川崎啓介、上野淳:学習展開の実態からみた総合支援学校高等部の建築計画に関する研究

2012-04-06 21:02:30 | 書架(障碍者関係)

学習展開の実態からみた総合支援学校高等部の建築計画に関する研究

川崎啓介 上野淳(指導教員)

平成21年度修士論文梗概

1 研究の目的

総合支援学校高等部の建築計画に関する施設のハード面・ソフト面について多角的な調査・分析・考察を行う事で総合支援学校建築における基礎的指針を得ることを目的とする。

2 調査概要

白河及び鳴滝における高等部職業学科全学年17学級、計155名に対し、学習・生活の展開に関する終日観察を2009年10月に両校3日ずつ行い、実態を把握する。さらに、教室・家具の実測調査により空間のスケールやゾーニングを記録した。

3 結果

1)学習活動の内容分類と時間割

両校に大きな差は見られず、「職業学習」の占める割合が50%で最も多かった。

2)生徒の一日の生活・学習展開の実際

「一般・運動・実習学習」においては基本字程度おりに授業が行われていたが、「職業学習」において、1クラスが分散し同時多発的な学習を展開している場面が多く見られた。

3)教師の支援形態からみる学習集団の展開の実際

白河では、1クラス内でさらに分散し3~5人と小規模な学習展開となっている。鳴滝は校外学習によって人数が減るため、2クラス合同になり8~9人編成となっていた。

4)学習内容と学習集団構成の関係

「一般・実習学習」は基本的に3~7人と小規模で行われているが「運動学習」は12に人以上と非常に多い。「職業学習」は1~13人と非常に多様であり、集団の中で社会性を養う一方、個別の能力を上げることも重要である。

5)総合支援学校における空間構成

教室の大きさは通常かもしくは小規模となっているが、学習展開に柔軟に対応できる空間の計画が重要だと考察できる。

4 まとめ

1)「職業学習」が最も多く、特にその空間に配慮する必要がある。

2)デュアルシステムを取り入れる場合人数の変動に対応できる柔軟な教室環境、及びその集団編成が重要である。

3)普通学習と合同クラスの授業に対応した柔軟性のある教室空間が求められる。

4)「職業学習」の行動場所や集団編成の変化を許容し得る教室環境構成が必要である。

5)収納スペースの充実や、余裕のある空間環境構成が必要である。

6)学校内のカフェ等の地域住民も利用できる機能は、生徒のコミュニケーション能力向上に非常に有効である。

5 感想

通常の高校よりも多彩な授業を行う事から、対応しやすいオープンな空間が必要だと感じた。障害者に対するデュアルシステムや、少人数授業は、自律性を高める面で有効であると感じた。

 

(副島 眸)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原利明,小林吉之,蔵重由貴子,藤本治志:摩擦の異なる仕上げ材間の識別容易性に関する研究

2012-03-16 20:43:24 | 書架(障碍者関係)

摩擦の異なる仕上げ材間の識別容易性に関する研究

原利明,小林吉之,蔵重由貴子,藤本治志

日本建築学会計画系論文集(C編)75巻754号,1705-1711, 2009年6月

1.背景と目的

近年では建築空間において一般的な仕上げ材の足の感触の違いを用いて歩行空間を提示する事例がある.従来の誘導ブロックのような突起を用いずに視覚障害者に歩行空間を提示する手法を提案することによって誘導ブロックが敷設されていなかった箇所へ歩行空間を提示することが可能になり,誘導ブロックを補完することができると考えている.

2.調査概要

 足底以外の情報を遮断した被験者に弾性や摩擦といった感触の異なる仕上げ材を組み合わせた歩行路を歩き,前後の素材の違いを認識した地点で停止してもらい.仕上げ材が同じであったか,異なっていたか被験者に回答してもらう.床仕上げ材は①表面を磨いて摩擦を小さくした御影石「ミガキ」②バーナーで表面を粗し摩擦の大きな御影石「バーナー」③弾性差のあるカーペットタイル「カーペット」を用いた.

3.認識率の高い組み合わせ

カーペットとカーペット,ミガキとミガキ,バーナーとバーナー「前後の素材が同じ」と認識できる被験者の認識率は高くなり,カーペットと他の2つの摩擦の床仕上げ材を組み合わせた場合も被験者が違いを認識しやすい結果となった.

4.認識率にバラつきのある組み合わせ

「ミガキ」と「バーナー」といったような摩擦の異なる組み合わせの床仕上げ材間の認識には,認識率の高い被験者郡と認識率の低い被験者群が確認された.摩擦差を正確に認識できた被験者群は歩行中遊脚後期に踵を地面に擦らせながら歩行しており,その際に床仕上げ材の摩擦の違いを識別していたことが示唆された.

5.まとめ

全体的には摩擦差の識別性は弾性差の識別性よりも有意に低いことが確認されたが,正答率が高い群と低い被験者群の2群が確認され,正答率が高い群の被験者らは,遊脚後期に踵を地面に擦ることで,摩擦差の識別性を高くできる可能性がある.

6.感想

様々な課題は多いが従来の突起を用いた誘導ブロックに変わる新たなデザインの開発ができたのならば,より良い社会に変わっていくのではないかと思いました.

横井 玲伊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上野淳 栗田実 他:特別支援学校と京都市の総合支援学校 総合支援学校の建築計画に関する研究

2012-03-13 07:30:31 | 書架(障碍者関係)

特別支援学校と京都市の総合支援学校  

総合支援学校の建築計画に関する研究(1)(2)(3)

日本建築学会大会学術講演梗概集(東北) 2009年8月

上野淳 栗田実 杉田淳志 菱田佳奈

1 研究の目的

  本研究では総合支援学校の実態を1)学校運営 2)児童の学習・生活活動の実態 3)学習空間の利用・構成状況 4)空間の構造化の状況 等の観点から把握し分析することで総合支援学校の建築計画に関して基礎的知見を得ることを目的とした。

2 研究方法

  特別支援教育に先進的な取り組みをしている京都市に注目し、北総合支援学校(以下北総合)と西総合支援学校(以下西総合)で調査を行った。

1)終日観察調査を両校の8学年29学級に対して行い学校生活の流れと、空間の利用実態を把握

2)全校において、空間の構造化に関する実態調査

3)学校管理者に対して学校運営面に関するヒアリング調査により、総合育成支援教育への取り組みの把握

3 児童生徒の学習生活活動の実態

北総合の教室空間にはオープンスペースがあり、可動式の壁を開閉することで様々な空間を構成可能である。西総合では北側方廊下の従来型教室空間構成で、均質な空間が並んでいる。両校とも、教室の付近に広いスペースがあると動的な活動と静的な活動の空間の使い分けがなされやすい傾向が見られた。また、基本的に一人の教師が複数の児童を支援している。

4 構造化空間の構成の状況

   常設空間での視線の通り方や形状を評価するために「開放率」を定義し、その開放率別に常設空間設置数を分析した。

北総合ではオープン型の教室空間において常設学級を複数学級で効率的に利用している。西総合では1学級に1か所以上が設定されている。両校とも閉鎖型と開放型の設置数が多くみられ、死角となる場所の設置件数が顕著に多い。また、廊下側ほど「閉鎖型」、外部側程「開放型」の空間構成を採る傾向にある。

   構造化空間(注)における利用行動はプライバシーレベルが高い行動である傾向があり、利用行為と空間の性質の関係によると、常設空間では特に多目的利用されていると指摘できる。

注)本研究での「構造化」とは教室空間等に、特定の機能を持つ領域化された空間を持つことである。

5 まとめ

    以上より以下の知見を得た

  ・教育空間には予め、常設空間を計画しておく方針に、検討の余地がある。またその常設空間には、小学部に柔軟な床材を置くなど、障害児に配慮した環境や、一定の収納機能を有することが望ましい。

  ・5�までの常設空間が有効であり、広いほど「開放型」、狭いほど「閉鎖型」として設定されやすい。また、廊下側ほど「閉鎖型」、外部側程「開放型」の空間構成を採る傾向にある。

  ・教室空間は可変性のある空間構成が有利であり、近辺にやや広めの空間があるとさらに良い。また、教師の支援活動に有効な見通しおよび、学園のまとまりを確保し得る学習空間計画が重要である。

6 感想

  常設空間をオープンスペースにすることは障害児にとって有効な計画だと感じた。障害児一人一人に対応をしやすくするため、通常の学級よりもオープンスペースの重要性を感じた。

(副島眸)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大木啓義 鵜口和也 志波文彦 竹下輝和:児童の一日の活動からみた特別支援学級における空間利用の特徴

2012-03-13 07:28:24 | 書架(障碍者関係)

児童の一日の活動からみた特別支援学級における空間利用の特徴

特別支援教育施設の空間計画に関する研究(1)

日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸) 2010年9月

大木啓義 鵜口和也 志波文彦 竹下輝和

1 研究の目的

  本研究では、特別支援教育施設で行われる授業を対象とし、1)活動内容と集団編成の関係 2)活動内容と利用教室の関係 3)登校から下校までの生活全体の分析を行う事で、特別支援教育施設における空間計画に関する知見を得ることを目的とする

2 研究方法

1)終日観察による、本調査対象校の選定および視点の設定(予備調査)

2)学校要覧、図面、指導計画書等による対象校概要の把握

3)アンケート・ヒアリングによる各学級における授業内容、学習集団編成、利用教室の実態調査

4)児童一名に対する終日観察による、児童のデイリープログラムのサンプルの採取および関係する教材・家具・介助器具の実例

3 活動内容の特徴

1)              活動内容と集団編成

情緒障害学級と知的障害学級では、学習活動と集団編成においては共通する点が多くみられる。特に運動系の学習活動では情緒障害学級と知的障害学級の合同授業が行われており、様々な障害種の児童が共に学ぶ教育実践が行われている。

2)              活動内容と利用教室

    一般系、生活系の学習活動の大半では学級教室が利用されている。運動系、実習系の授業では特別教室や、プレイルームが使われているが、一部授業では移動などによる児童の身体的・精神的負担の軽減のためか、学級教室も利用されている。

3)              登校から下校までの生活全体の流れ

決められた時間での集合や、時間内での問題解決の困難さから、弾力的な時間編成で授業が行われ、児童は多様な集団編成を経験している。また、合同授業が多く行われた児童には学級教室以外の空間利用もみられた。

4 まとめ

  一日の生活の中で生活系・運動系・実習系の学習活動が大きな割合を占めており、そのほとんどが学級教室で行われているため、空間利用が学級教室に集約する傾向がある。また、時間割の編成は通常学級と比べると極めて弾力的であり、通常学級とは大きなずれが生じている。集団編成の面では、一般系・生活系の学習活動による授業は小規模集団編成となり、運動系・実習系の学習活動による授業は大規模集団編成となる傾向がみられた。

5 感想

  障害児にとって、なるべく少人数で個々にあった学習が必要だと感じた。

また、合同授業が多く行われた児童には、教室以外の空間利用も見られたことから、授業で行われる集団編成は、児童の行動に大きな影響を及ぼすのではないかと感じた。

 

(副島眸)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千島亜美・他:東京都における重度身体障害者グループホーム入居者のコミュニケーションと生活実態

2012-02-28 02:40:47 | 書架(障碍者関係)

東京都における重度身体障害者グループホーム入居者のコミュニケーションと生活実態

—東京都重度身体障碍者グループホームに関する実態調査 その2—

日本建築学会大会学術講演梗概集 2009年 8月

千島亜美・松田雄二・高橋農・初見学

 

1 研究の目的

本研究では、入居者の行動観察結果に基づき、スタッフとの関わり方や入居者間の関わり方をそれらと関係があると予想される諸条件から分析し、重度身体障害者グループホームの生活実態を把握することを目的とする。

 

2 調査方法

入居者が起床してから、就寝するまでの行為と居場所を記録した。各施設ごとに1日ずつ行い、行為は30秒ごと、居場所は5分ごとに記録を行った。

 

3 結果

 

 その1  行動観察結果の身体状況別・グループホーム別分析

1)   施設構成、延床面積、運営方針とコミュニケーションの関係

延床面積が小さい順にスタッフとの関係時間が多い。

2)   移動、意思伝達方法とコミュニケーションの関係

重度の入居者は交流時間が長く、軽度の入居者は交流時間が短く、無為時間もない。

3)   身体状況別1日の居場所

軽度の入居者は自分の好みに合わせ、重度の入居者はスタッフが積極的に関わることで、それぞれの身体状況に合わせた生活が展開されている

 

 その2  共用空間での特徴的な入居者間での交流

1)   意思伝達方法との関係

話し言葉で意思伝達を行う入居者間で交流が頻繁に見られた。

2)   特徴的事例の分析

本人ができない些細なことは入居者が手助けするなどの交流がしばしば見られた。

「介助をする側—受ける側」ではない新しい交流が生まれていることが分かる。

 

4 まとめ

調査結果から、入居者それぞれの身体状況に即した生活が営まれ、身体程度が比較的軽度の入居者には自由な時間をすごす様が、重度の入居者にはスタッフからの細やかな働きかけがみられた。スタッフの介抱のもと自由に生活を構築でき、また、誰かと話をしたいときに仲間がいるというグループホームの特徴が見出された。

一方で、比較的重度の入居者にとっては、施設の規模がコミュニケーションの質と生活の質に関わるということが示唆された。

 

5 感想

身体障害者にとって、小規模なグループホームで生活することは、ほかの施設で生活するよりも、生活の質が高いように思われる。今後このような施設が増えることで、さまざまな特徴をもったグループホームを、入居者が選択できるような世の中が望ましいと思った。

 

 

 

09fa055 副島眸

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

榎本幸・竹宮健司:知的障碍者の支援態勢からみた共同生活環境に関する研究

2012-02-28 02:37:02 | 書架(障碍者関係)

日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)2009年 8月 榎本幸・竹宮健司

 

 

1 背景・目的

本研究では、東京都多摩地域におけるグループホーム、ケアホームの現状を把握し、知的障碍者の障害の特性に応じた支援を可能にするホームの建築計画に関する知見を得ることを目的とする。

2 研究概要

多摩地域にある知的障碍者を対象とする8つのグループホーム、ケアホームにおいて、それぞれ訪問調査、世話人アンケート、ヒアリング調査を実施した。また。ひとつのホームにおいて参与観察調査を行い、生活様態を把握した。

3 結果

1)   ホーム概要

定員数は4~5人という小規模なものが多く、周辺環境に溶け込んだ一般的な住宅のような外観である。

2)   入居者属性

全体で見ると、男性の入居者が7割を占めた。ホーム入居前の生活環境は施設である人が過半数を占めている。

3)   平面構成

共用空間が各居室への動線となるか否かで、「通過型」「非通過型」「混合型」の3つに大別できた。

4)   世話人からみた共同生活環境

共用空間の面積が1人当たり3�に満たないと、狭いと評価している。一日の多くの時間をすごす共用空間を広くしたいという声が聞かれた。また、浴室、世話人室など、様々な改善のための意見が聞かれた。

5)   入居者と共同生活環境

生活様態について、興奮や混乱により暴れたり、人やものに当たるなどしている様子が多くのホームで見られた。また、ホームのすべてで何らかの破損箇所があることが分かった。

4 まとめ

訪問調査、ヒアリング調査、アンケート調査により、入居者の支援態勢に応じた居室配置がなされていることが分かった。また、入居者の興奮・混乱による破損箇所があることから、ある程度の強度を保ちつつも、入居者の大怪我に繋がらないこと、整理しやすいことを考慮した構成・素材を選ぶ工夫も必要であると感じた。

5 感想

様々な混乱、興奮による破損から、通常の施設よりもより柔軟な対応が必要であると考えた。また、世話人による改善に関する意見が多く出ており、まだ世話人に対してよい環境にはなっていないように感じた。

 

 

09fa055 副島眸

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人見優,森傑:視覚障害者の白杖の使い方と空間知覚に関する基礎的研究

2012-02-26 21:53:04 | 書架(障碍者関係)

視覚障害者の白杖の使い方と空間知覚に関する基礎的研究

人見優,森傑

日本建築学会計画系論文集 第611号,75-81,20071

 

1.背景と目的

視覚障害者と晴眼者にとっての間には,視覚障害者にとっての生活環境の質への理解において齟齬が存在し,今日においてもそれが十分に解消されたとはいいがたく,公共的に提供されている案内や安全を示す情報は非常に限られているのが現状である.視覚障害者の歩行時の空間知覚に関する行為の特性を明らかにすると共に、視覚障害者自身の安全と快適を確保するためにどのように工夫しているかを改め理解し、今後のユニバーサルデザインのあり方を再検討するうえで非常に重要であると考える。

2.調査概要

白杖の環境への定位の仕方には視覚障害者と構築環境との相互関係が現れていると考える。日常生活で白杖を用いて歩行する場合が特に多い全盲の視覚障害者を対象に、観察記録と撮影記録を行う活動同行調査とした。調査対象者の属性,失明に至った経緯と現在の状況,調査日時,調査場面を分類する。白杖の動かし方を大きくスライド(白杖の杖先を接地したまま動かす), タッチ(白杖の杖先で突く), 持ち上げ(白杖の杖先を浮かす), 複合(スライド,タッチ,持ち上げのいずれかを組み合わせた動き)の4つに捉えるものとする。

3.結果と考察

床・地面における歩行,および誘導ブロック・異なる材質,縁石,壁・フェンス,段差を利用した伝い歩きにおいて,一定のリズムで左右にタッチすることで歩行の安全性を高め,起伏や段差をスライド法によって補う方法が有効な定位パタンであり,これらは歩行を安全に持続するための白杖の使い方であると考えられる.段差や障害物を発見・回避あるいは目印や居場所の発見・確保するといった白杖本来の役割と機能の中にこそ視覚障害者独自の工夫による定位パタンが見られる.歩行訓練において指導される白杖の使い方を超える個人技の豊かさの一端を示し得た.また歩行訓練からの経過時間,中途視覚障害者や先天性視覚障害者との違いが白杖の動かし方に関係している可能性が高いとみられる.

5.まとめ

現在の歩行訓練は,誘導ブロックを想定したスライド法を中心に計画され,建築や都市の環境も同様である.それは視覚障害者に対してスライド法を身に付けることを条件に課している環境デザインであり,誘導ブロックの上を歩くだけで視覚障害者の日常生活が満たされることは決してない.視覚障害者の身体の特性には個性があり歩行も個別多様であることの一端が理解でき,自らの歩行の仕方を開発しその技を洗練させているのである.

6.感想

視覚障害者の方の努力と適応が必要な今の環境デザインのあり方やユニバーサルデザインについてとても興味をもった.

 

 

横井 玲伊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大村 薫、佐藤克志:バリアフリー環境整備前後における利用者の環境評価の変化

2012-02-24 22:57:24 | 書架(障碍者関係)

バリアフリー環境整備前後における利用者の環境評価の変化

東京都心近傍の鉄道駅の利用者評価からの考察

大村 薫、佐藤克志

日本建築学会計画系論文集 第75巻 第652号、1381138720106

 

1.はじめに

本研究では、バリアフリー法において生活関連施設として重要な位置にある鉄道駅施設を対象とし、移動・利用円滑化のための環境整備(以下、バリアフリー環境整備)の前後における駅利用者の環境評価の変化の傾向を明らかにすることを目的とする。

2.研究方法

調査は、2005年、2007年、2009年ともにMK駅を利用すると想定される周辺約1km範囲内に居住する各住民宅ポストへの無作為の投函、郵送回収によるアンケート調査として実施した。

3.調査対象駅のバリアフリー状況

1)2005年調査時:改修前

出入口から改札階まではEV未設置、駅舎内にはトイレ未設置であった。

2)2007年調査時:基本改修後

東口については出入口にEV(通り抜け型)、階段、ESC(上り下り2方向)が併設された。また改札側からホームには、新たにESC(上り下り2方向)EV(通り抜け型)が設置された。駅舎内にはトイレは未設置であった。

3)2009年:全面改修後

基本構造は2007年調査時と同様であるが、新たに駅構内に多機能トイレが設置されたほか、簡易ベンチなどの休憩設備も整備されている。

4.調査結果

4.1回答者の概要

本調査結果は「年代に因らず歩行能力には大きな問題がなく、半数以上がMK駅を日常的に利用している」回答者によるものである。

4.2MK駅の利用しやすさ総合評価の変化

駅改修に伴う、バリアフリー等設備によって駅の利用しやすさ総合評価は、「大変利用しやすい」及び「利用しやすい」と回答した人が、2005年の改修前の23.7%から2007年の基本改修後には83.6%へ、さらに全面改修後の2009年には97.1%へと向上している。

4.3駅の施設要素別の利用しやすさ評価の変化

全般的に改修後に評価が向上する傾向が読み取れるが、ホーム柵など、一部に物的な状況は同じであっても評価が低下しているものも見受けられる。

4.4駅施設利用者の評価構造と総合評価の関係

全面改修後の関係モデルでは「ホームの安全性」「情報のわかりやすさ」「移動の円滑性」など、駅施設に求められる機能・性能によって駅施設の「利用しやすさ」が評価される傾向が表されているが、改修前の関係モデルでは「改札外空間の移動性・利用性」「改札内空間の移動性」といった性格の異なる空間評価に関わる潜在的因子が選択された。

5.まとめと今後の課題

バリアフリー法に基づくバリアフリー環境設備によって駅利用のしやすさは確実に向上している。但し、移動・利用円滑化のための環境整備によって一度「使いやすい」と評価されたものが、時間経過と共に「ふつう」評価に低下する場合があることも明らかになった。

6.感想

バリアフリー環境整備の前後の評価ということで大変興味深い内容だった。

09FA045 正田博之

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西島衛治:自閉症児の障害特性に配慮した教育空間の構造化に関する現状

2012-02-18 02:17:22 | 書架(障碍者関係)

自閉症児の障害特性に配慮した教育空間の構造化に関する現状

—熊本県内の情緒障害学級における教育空間の構造化に関する調査—

日本建築学会学術講演梗概集 20078月 西島衛治

 

1 はじめに

 特殊学級では少人数の学級で心理的にも安定した個別指導である。児童生徒の特性に合わせた環境での教育が行われているが、教育に当たっては自閉症の特性と指導法について十分な理解の元に行われるべきか、必ずしもそうではない事がある。

 今回の報告では自閉症児教育とそのための教育空間の動向を把握し、今後の特別支援教育を含めた小中学校の生活に困難性を抱えた児童生徒を支援する環境整備の方向性を提示する事を目的とする。

 

2 調査概要

調査期間は、20068月から9月である。熊本県内にある情緒障害学級を設置した小中学校の175校を対象とし、78校から回答を得た。

 

3 分析方法

・アンケートにより、�療育分類の把握 �教育空間の明確化(構造化) を調査した。

・平面プランから、机、衝立、収納などからどのような構造化をしているか、もしくはしていないかを調査した。

 

4 まとめ

 TEACCH(自閉症および近縁のコミュニケーション障害の子供のための治療と教育)プログラムを療養に用いる学級のある学校において、様々な構造化が検討されているが、費用のかかる固定壁による構造化までは至っていない。しかし、掲示物、机の配置、収納の他に児童生徒が「環境や状況を理解しやすい」構造化が導入されてきている。

 今回の構造化の取り組みは、特別支援教育の環境設定にも応用できるものと思われる。

特別支援教育は軽度の発達障碍児を主な対象にしているが、児童の学習や生活をスムーズにするためには、構造化は非常に重要であると考えられる。

 

5 感想

 自閉症児の通う教育空間において、TEACCHプログラムを取り入れている学級と、そうでない学級とでは、環境に大きく差が出ているように感じた。

 自閉症児に必要な事は、なによりも理解しやすい環境づくりであると感じた。

 

09fa055 副島眸

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山脇博紀,菅野實,他:重症心身障害児のコミュニケーション特性からみた居住環境の整備に関する研究

2011-04-16 14:18:51 | 書架(障碍者関係)

重症心身障害児のコミュニケーション特性からみた居住環境の整備に関する研究 

山脇 博紀,菅野 實,小野田 泰明,坂口 大洋

日本建築学会計画系論文集 第520号 131-138 19996

 

1. はじめに

近年,福祉分野では「ノーマライゼーション」を基本理念として整備の重点がシフトしてきた.

 しかし,建築計画研究は,重症児本人の生活環境であるにも関わらず,空間的なニーズは

重症児本人からではなく介助者から得ることに偏り,介助負担の軽減が目的になっていた

といえる.

本研究では,重症児当人から空間的なニーズを把握する試みとして,重症児が行うコミュニ

ケーションに注目し,注意深く生活欲求を拾い上げる.そして,生活欲求の実現に及ぼす諸

要因を,重症児の成長過程と現在の住まい方の2面から考察することで重症児の生活環境の整備に配慮すべき点をまとめることを目的とする.

2. 調査・分析方法と概要

 調査対象者は入所,通園,在宅と3つの異なる療育形態をそれぞれ利用している184914名である.

調査は1.アンケート調査による主体条件の把握2.追跡観察調査によるコミュニケーションサンプルの採取3.保護者へのインタビューと過去の療育日誌の閲覧による成長過程の把握

4.追跡観察調査による生活環境の現状の把握を行った. 分析は1.主体条件表の作成

2.コミュニケーション内容の分析3.獲得過程の分析4.生活環境の分析を行った.

3. まとめ

 重症児の生活欲求の実現行動内に見られる,移動のできるできないといった阻害要因を整

理でき,それに応じた建築的な配慮及び介助者側の配慮すべき点を提示できた.また,重症

児からの注意喚起が届かないために阻害を受ける場面が多く見られた.

 

☆感想☆

重症児は意思表現が困難な場合もあることから,追跡観察調査による分析が重要であると

思った.視線や表情など小さな仕草から意思をくみ取る必要性を感じた.

 

井上 美咲

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

test

記事をタグで検索