建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

建築・環境計画研究室

この研究室は,2006年4月に立命館大学にて開設され,2009年10月に東京電機大学に移りました.研究テーマは,建築計画,環境行動です. 特に,こどもや高齢者,障碍をもつ人々への環境によるサポートや,都市空間における人々の行動特性などについて,研究をしています.

*当ページの文章や画像の無断引用・転載を禁じます*

研究室メンバー2011

2011-02-27 11:33:15 | ■卒業・修了メンバー

【プレゼミ】

 秋山 慶斗 黒巣 光太郎 小林 志乃 佐藤 夏海 正田 博之 鈴木 杏奈 鈴木 志歩 副島 眸 横井 玲伊

【卒論/卒計生】

 中川 春香  千葉 紗央里  上谷 ひとみ  上石 康平  工藤 いづみ  歌代 有起  伊藤 美春  伊藤 弘紀

【M1】

 堀 光瑠  小林 陽  前畑 薫  山田 飛鳥  井上美咲  アマングリ・トウリソン

【D2】

 古賀 政好

【研究補助】

 河本光正先生  佐藤裕先生

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片山勢津子:子どもの就寝様式に対する母親の意識について

2011-02-23 18:23:52 | 書架(こども関係)

子どもの就寝様式に対する母親の意識について

片山 勢津子

日本建築学会計画系論文集 第75巻 第647号,17-23,2010年1月


1. 研究目的
 今日、起居様式は和洋の様式が混在し、ますます多様化、個性化して複雑な様相を呈している。就寝様式もその一つで、個室が複数あっても親子が川の字に並んで寝る、あるいは母子が寄り添って就寝するという形態が見られる。こうした親子同室寝や、母子同室寝による夫婦別室寝の習慣について、アメリカの心理学者W.コーディールと文化人類学者D.プラースが、日本の家族儀礼を特徴づけるものとして指摘した。その後、日本でも社会化過程の現象や社会の暗黙の規範として捉えられている。
 子どもの環境を考える上で、1日の1/3を占める就寝時の状況は看過できない。本論では、就寝に見られる密接な母子関係に焦点をあて、就寝様式の決定に大きく関わる母親の意識を明らかにすることを目的とする。具体的には、乳幼児期の家族の就寝実態を調べたうえで、心理学的手法を用いて母親の就寝形態の評価項目や就寝の空間に対する評価観点を抽出し、その特徴を明らかにすることを試みる。


2. 予備調査
(1) ヒアリング調査
 状況把握のため、母親を対象に、出産後に家族と生活し始めてから現在までの就寝形態と就寝場所、その理由を尋ね、現状については間取りを採取した。被験者は、大都市近郊の住宅地に住まう未就学の子供のいる母親30名である。
 就寝形態を類型化し、いくつかに分けることができ、母親の就寝形態の決定要因を明確にするため評価項目や就寝場所を整理した。
(2) アンケート調査
 就寝形態の変化や住まい、就寝場所、寝具との関係を把握することを目的とする。被験者は10歳までの子どもをもつ母親139名で、調査項目は、住まいの形態・就寝場所・子ども数・子の性別・家族構成・就寝形態とその理由である。就寝形態については、正確を期するために、子どもの数別に就寝形態を図示したものから選択してもらう方法を採った。就寝形態の選択理由は、就寝形態が変化した時期ごとに自由記述方式で答えてもらった。
 乳幼児の成長に伴う家族の就寝形態の変化を把握するために、末子の年令によって4期に区分した。さらに、就寝形態もヒアリング調査の際と同様に類型化し、子の年令と就寝形態の変化についてまとめた。


3. 母親の意識調査
(1) レパートリーグリッド発展手法の応用による調査
 予備調査で明らかにした『全員同室型』や『F別室型』といった母子密着型の就寝形態の特徴を踏まえ、母親の就寝形態の決定要因を明らかにすることを目的とする。予備調査の結果を踏まえ、代表的就寝形態として6タイプ(全員同室型、F別室型、C1別室型、分担型、C別室型、C独立型)を選定した。
 方法は、まず就寝形態例を図示したカード6枚を被験者に呈示し、好ましいと思う順に並べてもらい、その後、各上位・下位のグループ間における差異の説明を求め、理由づけ言葉を収集する。なお家族構成は、4人(父、母、5歳、3歳)の設定である。被験者は、末子が10歳以下の母親30名と、比較のための女子学生30名である。
[結果、考察]
 順位付けの結果を点数化し、平均値を求めた結果『全員同室型』が母親・女子学生ともに最高位となった。結果をより明確にするために、一対比較法を応用してサーストンのケース�の計算式にあてはめ、順位の尺度距離を求めた。
順位付けの思考については、母親は同じ思考・同じ順位付けをする人が多く、それを整理することができたが、女子学生については、いろいろな意見が多く同様の整理はできなかった。
(2) 箱庭手法の応用による調査
  寝室という物理的環境における就寝様式の決定過程を明らかにするために、箱庭手法を応用する。まず、4人家族(父、母、5歳、3歳)が就寝する寝室の場面設定を、縮尺1/20の家具什器模型をA4の台紙内で配置する。制作後、制作過程に沿ったフォーカスインタビューを実施し、最後に、最も重視した点と初めに考慮した点について尋ねる。部屋数は制限しない。被験者は、末子が小学生までの母親30名と建築や住居学の専門教育を受けていない女子学生30名である。
[結果、考察]
 全体的にみられた特徴として、女子学生は、ベッドや窓を配置して子ども部屋と主寝室の2室をつくり始めるが、作業中に年令を聞き返し、途中で作り替える状況が見られた。育児経験のない女子学生の場合、子どもの年令に応じたモデル作成は難しいことが窺えた。そして、作成したモデルの形態から、母親は夫よりも子ども、とくに末子を気遣う特性があると考えられる。
 他には、フォーカスインタビューの結果として、女子学生は「親子別」「夫婦一緒」などの発言であるが、母親は「皆一緒」あるいは「母の隣に末子」などのように具体的に説明し、実態を考慮している状況が窺えた。
 そして、母親の多くは家族の就寝時の位置関係をより重視するのに対し、女子学生は部屋の物理的環境をより考える。


4. まとめ
(1) レパートリーグリッド発展手法を応用した調査から、4人家族の就寝形態では、母親は子どもとの関係を重視し、2人の子どもを平等に捉え、全員同室型を理想とする。そして、夫の生活時間の違いという実状を踏まえて夫のみ別室寝も評価している。
(2) 箱庭実験を応用した調査から、就寝形態を考える時、部屋よりも、家族の位置関係である就寝形態、特に末子との位置関係を優先し、布団就寝を好む傾向が見られた。また、地震対策やダニ・ハウスダストのアレルギー対策から、就寝時にはモノを置かない傾向がある。
 以上から、住まいの現状としてみられる洋室での布団就寝、あるいは寝室におけるベッドと布団就寝の混在の要因には、部屋のせまさや部屋数不足だけでなく、就寝空間で子どもとの関係を優先する母親の意識が強く影響していると思われる。


5. 感想
調査では母親と女子学生の結果を比べることにより、母親が子どものことを第一に考えて生活していることがよくわかった。毎日子どもと過ごす時間が多く、子育てをしている母親だからこそ、実態を踏まえた具体的な意見が多くあるのだなと思った。
母親だけでなく、父親の意識などはどうなのか、気になった。
こういった日本の就寝様式や母親の意識と、他の国の意識や就寝様式はどのように違うのかも興味を持った。


(工藤 いづみ)

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細川俊子,他:異年齢保育における保育室の空間構成と室内構成と室内遊びでの異年齢交流での実態の研究

2011-02-21 23:06:32 | 書架(こども関係)

「異年齢保育における保育室の空間構成と室内構成と室内遊びでの異年齢交流での実態の研究」                    

日本建築学会計画論文集 第73回第634
2526~2527 2008年12月
細川俊子 積田洋  青木健三



1.研究目的・背景

 近年子どもを取り巻く社会的変化から、社会性を獲得していく為の子ども同士がお互いに心を育てる場が失われつつある。子ども達が年齢の枠を超え自発的な活動できる保育環境として、「異年齢保育」が注目されている。本研究では、異年齢保育がおこなわれている保育園での行動や実態を把握し、プランタイプが異なる保育園を対象としている。そして空間や設えの関係性を一緒に観察し、異年齢の交流を誘発する空間的な要因となるものを抽出し、異年齢保育を行う保育園の施設計画となる指標となる知見を得ようとするものである。

2. 研究方法

 2‐1調査対象
 幼児の保育室が3クラスで構成されたプランタイプで、年齢別クラス編集成と、異年齢クラス編成の園で事前調査を行い、保育形態の違いによる部屋の使われ方の違いを分析した。
 2−2調査方法
 聞き取り調査と行動観察調査の2つで行う。

 聞き取り調査では、施設長又は主任保育士に対し�既存校舎の成り立ち、�保育園の運営、�異年齢を始めた動機、�保育形態、�異年齢をはじめた事による園児の精神面での成長、�異年齢保育にあたり園舎の改修状況など、移行に伴う環境づくり、�生活習慣に係わる部屋や備品の使われ方、�実際の使われ方など。



3.研究結果・考察

 3‐1聞き取り調査
 各園で共通して移行理由としてあげているのが、子供を取り巻く社会環境の変化である。子ども達の社会性を養う為に異年齢保育へと移行している。また、障害をもつ子どもが自然に溶け込める環境作りを目指して移行した例もある。
 3−2異年齢で構成された行為の割合
 時間帯に関係なく交流が行われており、時間帯による特色は見られなかった。また園児は3~4人程度の、まとまった人数で6人掛けのテーブルを利用している。
 3−3室内遊びの場
 共有スペースは交流や絵本読むなどの共有スペースを利用している。またビオトープを備えた中庭は通路として利用されている率が高く、視覚的な安らぎを与える空間ではあるが園児の利用は少ない。そして壇上や床、違う高さを利用したふれあいや遊びの行為を行われている。
 3‐4コーナーの設置
 コーナーの役割として、遊びを設定する為のものでは無く、3~4人、5~6人で構成された異年齢の遊びの集団のための場を構成している。またコーナーの周辺や内部には高さの違う一人掛けや二人掛けの机が配置され、異年齢が年齢にあった難度で同じ作業を行っている。
3−5什器・家具
園児の遊びの場を形成する場として、壁・棚・収納壁・衝立が挙げられる。衝立の高さは約60�で、棚の高さが各園平均で約50�~70�である。保育園の中で、誰がどのような事をして遊んでいるか情報を収集できるので、年少者が年長者の遊びを観察したり、年長者が年少者に手を貸したりと、異年齢交流を促せる要素として考えられる。また、保育士の立場からも、園児の一人一人を見守ることが大切な異年齢保育においては、部屋全体の様子が把握できることは重要な要素である。

4.まとめ
子どもが遊びも自由に選択できる時間の室内あそびにおいて、全体を平均すると約50%の割り合いで異年齢間の交流がみられる。最低3~4人が遊べるスペースがあると異年齢の交流も行われやすい。共有スペースでは、遊びの種類の棲み分けを行うことで遊びの場が広がり選択肢が増し、異年齢の交流を促せる。隣接する遊戯室や共有スペースでの活動多くは見られなかった。そして、保育士が遊びに関与しない事例が全体の80%をしめ、園児の自主的な遊びが行われている事が実証された。室内遊びにおいては、自由な異年齢の交流が行われる事が分かった。また、クラス間の壁面をなるべく作らない計画が、クラス間の交流には有効な手段である事が分かった。

5. 感想
 異年齢で交流する事で、年長者・年少者それぞれに影響を及ぼす事が分かった。また園児はほとんど自主的に活動をしている。その活動を促す為にも、遊びの場所や家具などを設置してあげる事が大事という事が分かった。




(千葉 紗央里)

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村田順子・田中智子・瀬渡章子:在宅介護高齢者の生活と住要求に関する事例研究

2011-02-21 14:00:37 | 書架(高齢者関係)

村田順子・田中智子・瀬渡章子
『在宅介護高齢者の生活と住要求に関する事例研究』
日本建築学会技術報告集 第15号、203~208、2002年6月

1. 研究の背景と目的
 2000年に介護保険制度が本格的に運用され、高齢者の介護を社会的支援によって支える目的であったが、要介護認定が必要であった。これは高齢者の心身の状況や介護にかかる時間によって判定されるもので、高齢者を取り巻く家族の状況や住宅状況は考慮にいれないことになっている。しかし在宅での生活を考える上で、家族との関わりや住宅状況を無視することはできない。
 このような状況の中、本研究では、居住地、家族型が異なる在宅要介護高齢者の生活や住まい方の現状を明らかにすることによって今後の介護保険制度の見直しのための基礎データとすることを目的とし、要介護認定を受けた高齢者の生活全般について調査を行った。

2. 調査概要
 調査対象地域として京都府相楽郡木津町を選定した。この地域はミニ開発地域と呼ばれている住宅群が存在している。他にも農村地、ニュータウン、旧市街地といった地域型が存在する。調査対象者として要介護認定を受けている高齢者のうち�ニュータウン、ミニ開発地域、旧市街地、農村地の4つの地域型�単身男性、単身女性、夫婦のみ、同居の4つの家族型�要介護3以下の高齢者41世帯の自宅を訪問し、個別調査の協力を得て世帯に対して後日再度訪問し、高齢者本人もしくは介護者にヒアリング調査を行った。
 要介護3以下を調査対象者の条件としたのは、住宅内での移動、排泄、入浴などの行為に少なからず不便を覚える状態であり、生活を送る上で住宅空間に対する要求が強いと予測されるためである。

3.調査結果と要因に関する考察
サービスの利用を前提に要介護認定を受けている在宅要介護高齢者であるが、介護サービスのみで生活を成り立たせている高齢者は子供とは疎遠な数少ない事例で、大多数が子供世帯から何らかの日常生活援助や経済援助を受けながら生活している。
近隣との付き合いには地域差があり、新市街地では近隣には特に親しい友人がいない場合が多いが、旧村地域では家を行き来したり、頼りになったりする人が近隣にいる。
介護サービスの利用状況は全体的にあまり高くなく、デイサービス利用者は多く、外出の機会や話し相手がほしい高齢者の交流の場として広く受け入れられる。ヘルパー利用度は同居世帯では低く、単身や妻が要介護状態にある夫婦では利用が多い。
調査対象世帯の7割が何らかの住宅改造をしたことがあるが、大多数は手すり設置などの軽微な改造にとどまっている。「金銭的な負担」や「現状への慣れ」のため改造にいたらない。単身者の生活は客観的に見て助言してくれる人がいない場合、改造の必要性を認識できずにいる場合がある。

5.まとめ
 介護保険内では住宅改修費として20万円までの支給がなされるが、これは手すり設置などの軽微な改修を想定したものであり、基本的に一人一回しか利用できない。要介護度が重くなるとトイレや浴室などの大規模な改修も必要であり、自己負担が大きくなる。また、地域によって住宅状況は異なり実状に応じた改修費の支給や補助といったものも今後考える必要がある。加えて、住まい手およびケアマネージャーに住宅改造の知識、または必要性の認識がないため改造が見送られる現状である。在宅介護の支援するために住宅改造について専門家に相談できる窓口を設置するなどの取り組みも必要である。

6.感想
 僕の祖父も要介護者なのですが、祖母も元気で、また伯父とも暮らしているため現状は安定した生活をしているそうです。ただ、住宅改造も必要だったようで、手すりの取り付けと、古くなった浴槽が高さ的に深く危険だったため、新しくしたのですが、ほとんど自費だったそうです。この論文を読んでこういった現状があったのだと実感できました。


(上石康平)

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木村文雄:自然環境を活かした環境共生住宅における大人と子供の快適性評価に関する研究

2011-02-20 22:16:22 | 書架(その他)

自然環境を活かした環境共生住宅における大人と子供の快適性評価に関する研究

 日本建築学会技術報告集、第14巻第28号、545-54920093

 木村文雄、城向咲、渡辺晶子、南一誠

 

 

1.研究目的

自然の通風、採光を活かした都市型住宅において、居住者の快適性に与える要因について調査分析をおこなったものである。快適性については個人差が大きいため、同世帯に住まう親子を被験者として選定し、日頃同じ環境で生活している家族の快適性評価に関して年齢による差異を分析することにより、環境共生住宅における快適性を構成する要因を導き出すことを試みている。

 

2.調査概要 

東京都国立市の重層の縁側を有する鉄骨2階建て住宅を調査対象とした。調査対象とした建物の近隣に住まう家族を被験者とし、秋季および冬季に調査を行った。縁側空間の環境調整効果を検証するため、建物西側の1階のリビングおよび縁側部分と2階の居室および縁側部分を対象とした。同じ家族の大人と子供に対して、1階と2階で部屋を入れ替えて同時並行で行った。

5分間建具を閉じたリビングを、次の5分間は縁側を、その次の5分間はリビングと縁側を一体化した空間を体験してもらい、その後15分間快適な場所を選択してもらい、選択した場所とその理由をアンケートにより調査した。

 

..快適性の評価 

総合的な評価は、秋季は1階が快適とする人が多く、冬季は2階が快適とするものが多い。物理的な評価は秋季は1階と2階で大きな差はない。冬季においては1階より2階のほうが物理的環境の評価が高い。1階と2階で「温度」の評価に最も差が出た一方、「気流感」は差が最も小さかった。大人のほうが、物理的環境の変化により快適性が低下した場合、快適性の評価が子供より大きく低下する。冬季の2階は大人、子供とも評価が高かった。大人はより快適な環境をつくる工夫をする傾向があり、子供は居場所を変更する傾向がみられる。

 

4快適な居場所とその選択理由 

 1階は秋期、冬季ともすべての親子がリビングを選択している。2階は秋期、冬期とも居室より縁側を選択する割合が多かった。 冬期は秋期と比べて選択理由に片寄りがあり、各階で特徴が見られた。「家具の素材感」と「明るさ」は大人と子供に共通していた。大人は「開放感」「気流感」、子供は「温度管」「床の素材感」「落ち着く雰囲気」を選択理由にする傾向が見られる。 1階は、「家具の素材感」が多い。リビング北西をコーナーを選択した大人の約半数は「開放感」を理由に挙げており、玄関まで連続する縁側空間を開放的だと評価していた。

 2階は居室の選択理由として「開放感」、「気流感」が多かった。縁側では秋期は「気流感」、冬期は「明るさ」が多い。

 

5.まとめ

温度や湿度のみが快適性に及ぼす重要な要素にならず、明るさや通風、気流感が快適性に寄与している。大人は快適な空間を自らつくり、子供は居場所を変えて快適な環境を確保する傾向が見られた。子供は肌に触れる感覚にも敏感である。

子供が本来備えている自然環境に対する感覚を育てる工夫が住宅の設計には重要だろう。

 

6.感想

快適な空間だと感じる要素はさまざまな自然環境が影響している。大人と子供では快適性の感じ方に違いがあり、その空間に滞在する人誰もが快適だと思う空間を作るのは難しいことだと感じた。

 

 

(中川春香)

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垣野義典:子どもとの関わりからみたスタッフの居場所特性-フリースクールの建築計画に関する研究(4)-

2011-02-19 23:34:15 | 書架(こども関係)

子どもとの関わりからみたスタッフの居場所特性 

‐フリースクールの建築計画に関する研究(4)

 

垣野 義典

 

日本建築学会計画系論文集 第73巻 第631号, 1875-1882, 2008年9月

 

 

1.研究目的

学校とは異なる「子どもの学び場」のひとつとして台頭してきたのがフリースクールである。一般的に「不登校生徒の居場所」との認識が強いが、本研究ではフリースクールを教育施設の一形態と位置付けている。フリースクールに勤務する、教師ではなく「スタッフ」と呼ばれる大人の役割は子どもの関心事や成長にあわせて、その活動をサポートすることである。本研究の目的はスタッフが子どもとどのように関わり、その際どのように居場所を選択しているか、その性質および選択要因を明らかにすることである。

 

2.研究概要と調査方法

本研究ではスタッフの役割や勤務状況、子どもとの関わり方を類似化し概観する。続いて、各スタッフがどの空間で子どもとどのような関わりをもち、なぜその空間を使用するかを考察し、スタッフの居場所特性を明らかにする。調査対象は、子どもとの良好な関係を築く上で経験豊富、かつ空間のしつらえ方の知識のあるスタッフのいる、フリースクールの先進事例と位置づけできる2事例である。各スタッフが校舎内で子ども達の活動に関わる様子をとらえることを目的とした行動観察調査と、その観察記録をもとにどのような意図で空間を利用していたのか、ヒアリングもあわせて行った。

 

3.スタッフの分類と勤務人数

呼称、勤務日時、役割、子どもとの関わり方からスタッフを大きく4種類に分類する。

「常勤スタッフ」ほぼ毎日勤務し、子どもの活動を直接的、間接的に支援する。

「非常勤スタッフ」通常は別の校舎で勤務し、必要に応じて事務を通し子どもを支援する。

「ボランティアスタッフ」決まった曜日だけの勤務だが、子どもとの活動参加度合いは非常に高い、近所のお兄さん・お姉さん的存在。

「講師」授業だけ教える。

各日のスタッフの勤務人数、スタッフの顔ぶれは日によって異なる。

 

4.スタッフと子どもの関わり

スタッフは子どもの活動や態度に配慮し、自在に関わり方をかえているため、状況によって行為や意図や空間の使い方が異なることをふまえ分類を行った結果、自由活動中の子どもと関わるパタン、時間割で設定されたプログラム活動中に子どもと関わるパタン、周囲に子どもがいるがスタッフが一人もしくはスタッフ同士でのみ活動するパタンなどに分類された。各日の子どもとの関わり方は、スタッフ毎に特徴があり、子どもと活動する割合にも差がある。多岐にわたって子どもと関わるスタッフがいる一方で、特化した関わり方をするスタッフもいる。

 

5.スタッフの連携体制

各スタッフは個々に子どもと関わっているわけではなく、狭い範囲で子どもと関わるスタッフ、広範囲に動き回るスタッフで気を配る範囲を極端に変えるなどして子どもの活動を支援できるよう連携を取っている。

 

6.関わりの発生場所からみたスタッフの空間利用意図と状況づくり

スタッフルームでは、関わりを求めてやってくる子どもと場を形成する特徴がある。スタッフは主にホール中央付近で個人的活動、すなわち自分の特技や趣味の時間を過ごしている。あえて子どもから視認しやすい空間を利用することで、子どもの活動を喚起し、同時に子どもが参加しやすいよう状況づくりを心掛けている。しかし、父兄が訪れた場合、子どもがみてほしくないサインを発したときは、みせない、みない状況づくりをする。

 

7.スタッフの居場所選択要因

スタッフの居場所選択要因は、「その時間帯の状況」「スタッフの連携体制」「校舎の空間特性」「スタッフの活動意図、活動目的」によって決定される。

 

8.まとめ

・スタッフが子どもと直接関わることは重要だが、子どもはその存在や居所を感じ取れることで安心して自分の活動が行える。

・スタッフから目の届きにくい空間も確保する必要がある。

・スタッフは子どもから関わりを求めやすいような状況づくりを行っている。この状況づくりが成されやすい環境整備が重要である。

 

9.感想など

子どもに関する研究でも子どもではなく大人に着目するやり方があるのだと知った。スタッフを分類して子どもの関わり方などをみていたので、子どもに着目するばかりでなく、関わる大人のやりやすい環境を整えることの重要性を感じることができた。子どもに着目した資料も読んで比較してみようと思う。

 

(伊藤 美春)

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奥平純子,北原理雄:歩行者からみた狭隘歩道の環境 -千葉県船橋市立法典小学校区の木下街道沿道-

2011-02-19 12:08:03 | 書架(その他)

歩行者からみた狭隘歩道の環境
−千葉県船橋市立法典小学校区の木下街道沿道−

技術報告集 第28 p.567 200810

奥平純子,北原理雄

1. 研究の背景と目的

歩道の多くは住宅地の近くにあり毎日利用するため、その環境が心身へ及ぼす影響は大きい。とりわけ影響を受けやすい児童にとって、健康影響を及ぼされず安全に歩ける道の存在は大変重要である。

しかし全国的に、交通量が激しく歩道が狭い、あるいは歩道のない箇所は多い。このような現状に対して、生活道路における交通環境調査、沿道住民による道路の評価など様々な都市計画の視点から

の 研究が行われてきた。また沿道に対する車の影響を考点し、大気環境の面からは、大気汚染物質浪度の測定が全国の測定局で行われている。従来、歩道環境の充 実とは、命の危険がなく歩きやすい空間が広がっていることを意味することが多く、その改善は行政に一任されてきた。しかし、毎日利用する歩行者が必要とす る歩道環境を養えるためには、受動的に受け止めるだけではなく地域の人々が能動的に環境に寄与し、地域の歩道環境像を確立することが必要である。そのため には、歩道に対する共通認識を確認し、何が可能かなどの目標イメージを共有することが大切である。この場合地域の歩道利用者の主観的認知は、よりよい生活 の質を実現しようとするための重要な因子として評価される必要がある。特に軽視されがちな子供の評価を知ることは、子供にとって豊かな経験のできるまちの 環境をつくっていく上で有益と考えられる。しかし、これまで歩道環境について、大人と子供両方の評価を調べること、さらに評価の中に大気汚染について問題 が出た場合、合わせて汚染物質の濃度を実測することは行われてこなかった。交通量と大気汚染とは密接な関係がある。しかし大気汚染物質は、日で見ただけでは濃度がわからないので、健康影響を及ぼされない環境づくりには、実測により状況を把握することが大切である。

本 報告は、子供と大人の歩道に対する評価を調べ、アンケートの中であった大気環境について実測を行った。すなわち、歩道利用者が抱くイメージをアンケート評 価の中から知ることにより、歩行者がどのようなことに関心を持っているのかを知ることを試みた。合わせて、アンケートの中で言及のあった歩道そのものの大 気汚染物質を実測することにより、歩道の大気環境を知り、地域全体の環境改善への手がかりとすることを目的とした。


2. 調査の概要

対象地のある船橋市法典小学校学区で、木下街道歩道の調査、200512月に行った。対象者には、歩道利用者の中で、将来的に最も環境の影事を受けやすい子供を含めた。すなわち、法典小学校年生の児童154人(男子74人、女子78人)とその保護者136人(男性25人、女性111人)の協力を得た。

子供と大人の歩道に対する評価を調べ、アンケートの中であった大気環境について実測を行った。そして児童および保護者のうち何人の人が共通のイメージを抱いているのかがわかるようにまとめ、歩道環境と歩道の大気環境を知り、地域全体の環境改善への手がかりを見つける。


3. 歩行者の木下街道歩道環境イメージ

木下街道の歩道兼境について

保護者、児童ともに狭い」ことを思い浮かべる都合が最も多く、60% 近かった。狭い次に多くの人が思い浮かべたことは、保護者は「危険」「恐怖」だった。「危険」「恐怖」の原因として、狭さの他に、大型車の多さ、歩道の凹 凸の多さがあげられた。日常生活で多くの保護者の心を占めていることは、子供や家族の命の危険に対する心配や恐怖感ではないかと推側できる。保護者のアン ケートには以下のような表現が見られた。「大型ダンプがスレスレに通る。小学生が少しでもよそ見して歩いたら、ひかれるのではないかといつもヒヤヒヤして いる。」「いつ事故がおきてもおかしくない環境だと思います。どうしても通らなければならない時以外は、なるべく通らないようにしています。しかし、ここ を通らなければ学校に行けない子供達がたくさんおり、みていてもヒヤヒヤします。「子供がひかれて死んだ」「車の量が非常に多く、中でも大型トラック、ダ ンプカーにはとても恐怖を感じます。また児童も「危険・恐怖感」の語を使用しており、その理由は、大型トラックが近くを通ってこわい」「トラックが大きく て体がふれそうだった」などだった。保謙者のように家族に対する心配ではなく自分の恐怖体験によって恐怖感が述べられていた。児童は、「狭い」の次に多 かったイメージが、「緑が少ない」と「排気ガスが多い」だった。しかし保演者で排気ガスのことを述べた人は%、緑の少なさは% だった。「緑が少ない」ことを児童が述べた理由については、現場の状況から、ブロック塀が多く、児童の背丈ではブロック塀内側にある庭の緑が見えにくいこ とも1つの理由と考えられる。緑を希望する子供達が、どこにどのような緑を増やしたいのか、現在大切に思っている緑がどこにあるのかなどについて調査する ことにより、子供が豊かな経験をする環境にするきっかけになると思われる。自然要素は、児童の付加的な居場所選択の安全として、また空間の柔軟性や多様性 を高くする重要な要素であることが報告されている。児童特有の行動などと合わせた調査が必要である。

一 排気ガスについては、子供の背が低いため、顔の位置が大人より車の排気口近くになり、気になった可能性が考えられる。「車が多い。排気ガスが臭い」「大き なトラックとかが通るたびに排気ガスがすごい」「排気ガスがすごくて息苦しい」など排気ガスのひどさに加え、児童の体調不良についての言及もあり、また 「木下街道を通学路にしている生徒が喘息になったという話を良く聞きます。」と述べた保謙者もいた。大気汚染物質は、目で見ただけでは濃度がわからないの で、健康影響を及ぼさない環境づくりのために実測を行うことが大切である。

 


4.まとめ

子どもと保護者の歩行利用者に対して抱くイメージを知ることにより、歩行者の置かれている環境及び共通認識を明らかにすることを試みた。調査の結果、以下のことが明らかになった。?98% 以上の調査対象者が「狭い」歩道であると評価している。また「危険」「恐怖」をイメージする人が多い。すなわち、狭い歩道を歩く人の横を大型トラックが通 るといった命の危険を心配する状況で、生活道として利用せざるを得ない状況にある。そのため住民の意織も「狭い」ということに集中している。?木下街道歩 道の利用率は男性より、児童と女性の方が高い。保護者の歩道療境に対する関心および家族を心配する声は高く、危険や恐怖をともなう歩道の出来事が、保護者 の印象に残っている。?児童は、歩道を歩いていて日に入る環境の様々な変化に常に関心を持っており、学区内の歩道利用範囲も保護者より広い。?排 気ガスに よる体調不良について一部の児童が音及しており、「排気ガスが多い」というイメージを抱いている児童も「狭い」の次に多い。?車を排出源とする代表的な汚 染物質、ニ酸化窒素濃度を測定した結果、平均 濃度は基準値を超えていた。健康影響が心配される環境である。?児童は、「緑が少ない」というイメージも 「狭い」の次に多い。これらのことから、車の丘 を減らし、歩道を広げることによる安全性や大気環境の改善、子供にとって豊かな経験のできる環境づくりなどの視点を入れた地域全体からの改善が必要であ る。


5.感想

沢 山のアンケート調査の結果により木下街道歩道が どのような環境で、どのような影響を及ぼしているかが明らかになっていたが、今回のアンケートは、男性保護者の協力が少なかったことが、大変残念に思う。 男性も協力して地域を豊かにしてゆくべきだと思う。また、普段見えている要因だけでなく、見えない空気を意識していたことは、良いと思ったが、光や音の内 容をアンケートに取り入れれば、より高密度な資料になると、思いました。
(
伊藤弘紀)

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2月18日(金)のつぶやき

2011-02-19 01:04:25 | つぶやきの倉庫(あすか)

12:53 from web
卒業生がたずねてきてくれました.ものすごく嬉しい.そしてびっくり.


12:55 from web
なぜなら,彼らは卒業式にもそのあとの謝恩会にも姿を見せず,わたしと謝恩会幹事になってしまったためやむなく謝恩会に出ていた学生と2人,記念撮影の段になってあまりの寂しさに気を利かせた運営が他の研究室と一緒に写真撮りましょうと段取ってくれ端っこに混ざってとかそういう思い出が走馬燈のよ
12:55 from web
・・振り返ればいつも,過去にはいい思い出ばかりです.

手に持っているのは,2年前の卒業式の日の写真です.

あの日姿を見せなかった1人がやっと..2年越しの卒業式です.


12:56 from web
2008 はちゃめちゃなオモシロ代でした.
12:58 from web
2006は「3匹の蝉」代.2007はマジメさんたちで,2009は渾然一体.2010はオタッ子代.2011はどうだろう.
12:58 from web
さて1時だ,2011年度の前倒しキックオフゼミです.いってきます.
16:08 from goo
藤枝秀樹、木下誠一、今井正次;高齢者施設居住における接客空間のしつらえ方に関する研究 #goo_yamadaasukalab http://bit.ly/gmfFUJ
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藤枝秀樹、木下誠一、今井正次;高齢者施設居住における接客空間のしつらえ方に関する研究

2011-02-18 16:07:04 | 書架(高齢者関係)

高齢者施設居住における接客空間のしつらえ方に関する研究
藤枝 秀樹、木下 誠一、今井 正次
日本建築学会計画系論文集 2008年 10月


1研究の背景と目的
家庭的環境の中で、住居と社会とを結び付ける大切な行為として接客があげられ、古くから、さまざまな接客空間が住居の中で創られてきた。現在、国の高齢者施設整備は入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続した家庭環境の実現を目指して進められている。つまり高齢者施設を住居として捉えると、高齢者施設居住において接客空間は重要な空間となると位置づけることができる。高齢者居住施設での接客空間について言及している研究として2つほど挙げられるが、いずれも、高齢者自身の生活の場における居住環境整備要件の一つとして接客を捉えたもので、訪問客との接客行為の状況を捉えて高齢者居住施設環境を考察した研究はみられない。そこで高齢者居住施設における入居者と訪問客の接客を対象とした、施設における接客場所選択要因、接客場所、の「しつらえ」と接客行為内容の関係性・特性を明らかにすることによって、接客空間の「しつらえ」整備の要件抽出を目的とした。

2、研究方法と概要
調査施設は、多様な高齢者居住施設での接客空間を把握するため、厚生労働省が示す「介護保険で受けられる施設サービス」全般及び施設で共同生活する在宅サービスの施設種を対象とし、特別養護老人ホーム(小規模単位型)3施設、療養型病院1施設、老人保健施設1施設、グループホーム1施設、ケアハウス1施設の計7施設で行った。方法として「アンケート調査」「訪問客追跡調査」「定時間隔観察調査」の中で施設が認める方法により行った。

3、訪問受入居者が居た場所で接客が行われた事例
訪問受入居者が居た場所で接客が行われた事例としては、訪問受入居者が訪問客と水入らずで会話することができる場所に居た事、訪問受入居者が多くの時間を過ごす場所であるとともに訪問客が横に座って会話することが出来る場所であることが訪問受入居者が移動せずに居た場所で接客が行われる要因となっている。

3−1、訪問受入居者の居場所から移動して接客が行われた事例
接客により訪問受入居者の居場所から移動して接客が行われた事例では、訪問受入居者と訪問客だけで過ごすため、ユニット内の個室とともに、ユニット外のおやつ・お茶・散歩などができる場所が接客場所の選択要因となっている。

4、接客時の他入居者への関わり
入居者一人一人は訪問者が多くは訪れていない中、多くの入居者が社会との関わりを持つために接客に他入居者が参加できる環境も大切であると考える。そこで、接客時に他入居者がいかに関わりを持っているかその特徴と関わりやすい空間の「しつらえ」について考察したところ、複数の入居者が同席する食堂テーブルは大切な「しつらえ」であり食事時に入居者が座る席数に対し若干のゆとりをもたせた席数のテーブル配置とスタッフの働きかけによって他入居者が接客に参加する環境が生まれることがわかった。

5、接客時のスタッフの関わり
「しつらえ」のわかる事例の中で接客時にスタッフの支援があった事例は1割強と支援が少ない。スタッフの具体的な支援をみてみると「椅子」・「テーブル」を運ぶ、「お茶を出す」といったものであった。もし、訪問受入居者と訪問者が居室でお茶を飲む、会話を楽しむといったことを希望する場合、スタッフの手助けによってこの接客を実現することができる。入居者に代わってもてなす手助けをする存在としてスタッフの関わりが大切である。また、スタッフが手助けしやすい接客場所は、スタッフの中心的な活動場所に多く、スタッフが訪問客の訪れる状況を把握しやすい場所となっている。

6、長時間滞在型接客の特徴と「しつらえ」
長時間滞在中、止むを得ない場合を除いて訪問受入居者と訪問者は一緒に居ることが多いが、訪問客は訪問受入居者から離れる場合においても出来る限り近くに居る。その場合の訪問客の滞在場所は、クラスタ・ユニット内で入居者の多くが日中過ごす居室・食堂を避けた他入居者の利用が少ないスペースが挙げられる。長時間滞在時に接客場所を移動する場合は、移動する場所には訪問客と一緒に利用できる「しつらえ」を有していることが接客場所選択の要因となっている。

7、居室による接客行為と「しつらえ」
会話では接客時に「しつらえ」の利用が少なく訪問客は立位が多いが、おやつ・お茶の接客行為は訪問客の着座と湯飲み・おかしを置く椅子と小テーブルの利用が多いことがわかった。入居者のベッドへの導線と「しつらえ」整備状況をみてみると、ベッドへの導線とベッドサイド間口が接客に利用する小テーブルと椅子の設置に影響し、ベッドへの導線を除くベッドサイド間口が1m以上ある事例では小テーブルと椅子・こたつあるいはソファーの「しつらえ」が設置され接客に利用されていることがわかった。

7−1、食堂における接客行為と「しつらえ」
食堂は他入居者が同席の中で接客が行われる特徴をもつ場所であるが、N施設の「4人掛けテーブルを連結あるいは離すといった可変配置」では他のテーブルと離して配置された4人掛テーブルで水入らずの接客が生まれていた。このことは、食堂ではテーブルの大きさ・配置方法によって接客の容態が変わることを示している。

7−2、居間における接客行為と「しつらえ」
居間における接客行為の具体例は暖炉を囲んだ事例、一緒にソファーに並んで座ってテレビを見るという2つの事例のみ挙がった。この2つの事例を検証すると、居間は居室にはない「しつらえ」とスタッフの行き来が少ない配置及び訪問客が廊下から容易に入れる配置によって接客を可能にしているといえる。

7−3、廊下、ユニット外における接客行為と「しつらえ」
具体的な接客事例をみると、ユニット近接の人通りの少ない廊下の窓から外の景色を訪問客と一緒に眺める、廊下のベンチで会話を楽しむなどであった。接客場所としては、景色が見える窓、椅子、ベンチが置かれ水入らずで滞在できる場所であった。玄関ホールでは、テーブルの分散配置によって入居者と訪問者だけの接客を可能にし、飲食のサービスによって多床室の接客スペースの不足を補っていた。

8、まとめ
接客場所としては、入居者と訪問者が水入らずで過ごすことが出来る場所へ移動する事例が多かった。
接客場所に必要な「しつらえ」とその配置の特性として、
・居室→ベッドへの導線を除くベッドサイド間口が1m以上ある事例では飲食物が置ける小テーブルと椅子・こたつあるいはソファーの「しつらえ」が設置された接客に利用されている。
・食堂→他入居者が同席の中、接客が行われる特徴を持つ場所であるが、食堂ではテーブルの大きさ・配置方法によって接客の容態が変わることを示している。
・居間→居室にはない「しつらえ」設置とスタッフの行き来が少ない配置及び訪問客が廊下から容易に入れる配置によって接客場所を作りだしていた。
・廊下→接客場所は、人通りが少なく、外の景色が見れる窓や一緒に座れる椅子・ベンチの設置されている場所であった。
施設において接客空間は物理的に「しつらえ」が設置されているだけでなく、「しつらえの」配置と他入居者・人の導線との関係性が接客に影響していることが分かった。
9、感想
私は、訪問が多いことが訪問受入居者に良い影響を与えるのではないかと思っています。このように整備していけば、訪問受入居者と訪問者との時間がより有意義になり、訪問者も気軽に施設に訪れることが出来るようになるのではないかと思いました。



(上谷ひとみ)

コメント (2)
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2月12日(土)のつぶやき

2011-02-13 01:04:08 | つぶやきの倉庫(あすか)

13:47 from goo
小児がん診療拠点の整備が必要- がん対策推進協・専門委 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/89c74544e29891ab76e115d596be8959
13:50 from goo
高齢者居住安定確保法改正案を閣議決定- 高齢者の住まいを再編 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/c50e739f152b1d5e2da416eb858a81f8
13:52 from goo
高齢者住宅の供給割合を3−5%に- 住生活基本計画案 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/fcc9126013f93ce31375f9f97f46fbc6
13:53 from goo
サービス付き高齢者住宅、24時間介護との組み合わせで #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/06df5f38a1f5f688a1acffe99cdd0d69
13:54 from goo
どうなる高齢者住宅、政府の戦略や先進事例を紹介 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/3ba57add8b16e38b9c953a19f723bd5c
13:56 from goo
介護 高齢者向け住まい、比率引き上げを—国交省成長戦略 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/a0f2cb79e3756eabcabb4b275d9eb111
13:57 from goo
お泊まりデイ事業所、半数に「毎日宿泊者」- 都の緊急調査 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/f36bfb8c91f4bf6e54096782fe90100c
14:39 from goo
「準耐火建築物の2階建て特養」全国展開へ- 木造特養の普及に弾み #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/6f41bfb3e144bf111c5d5ccd53b12a63
14:40 from goo
小規模多機能で障害者の生活介護、全国展開で通知—厚労省 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/1a236f82d3a1fd011ea008fe638a738a
14:43 from goo
介護が政治に望むこと(3)「地域での小規模多機能、求められるのは当然」 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/731ec1bd0b77a5b8ebac0ab1a9c8beea
14:44 from goo
「施設は本当に足りないのか?」—小規模多機能連絡会・川原代表 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/20ab04ddff604d0f256fb7b18c7a8746
14:45 from goo
小規模多機能、「居住」機能併設は3割 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/c9f40293c0e0ee0d02a2c2078b5d2821
14:46 from goo
小規模多機能に「居住」機能の併設重要 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/439a6784ecb304c5094491942525602f
14:57 from goo
日経:幼保一体化最終案 保育所0~2歳児に限定 11.01.25 #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/5a4adba4dbbfddebe0bd8e972adf39eb
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2月10日(木)のつぶやき

2011-02-11 01:04:03 | つぶやきの倉庫(あすか)

12:58 from web
無事卒業判定が出ましたので,「卒業・修了メンバー」に卒論生全員の名前を書くことができました.頑張ったね,卒活・・・.
12:59 from web
そして今日は修論の公聴会です.今年このゼミに修論生はおりませんが,再来年のみなさんの勇姿を想像してね.2年間を有意義に過ごして欲しいなと,思いつつ・・いまは休憩時間です.

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2月7日(月)のつぶやき

2011-02-08 01:04:21 | つぶやきの倉庫(あすか)

11:47 from goo
ソツケイ #goo_yamadaasukalab http://blog.goo.ne.jp/yamadaasukalab/e/511f90dda032dd3b536c270871948129
16:01 from web
卒論・卒計のブラッシュアップ中です.こうしたらもっとわかりやすい,こうしたらもっとハッキリ傾向が言えるのでは・・といろいろ,出てきます.
16:01 from web
で,思いますのは,研究ってなかなかきりがない(切りをつけるのが難しい)ものだなと.
16:02 from web
査読論文の締切なり,研究費の報告書の締切なり,卒論・修論の締切,ページ数の制限等々,なにか「切る」きっかけを有効に活用していかないと,いつまでも成果を世に出せないままだなと.
16:03 from web
そのへん,自然科学系の「最新情報をすぐに発表,でないと先を越されちゃう!生き馬の目を抜く世界だぜ!」とはちょっと..ずいぶん,違うんでしょうねえ..
16:04 from web
まあともかくいま手元に,3年前?に卒業された方のデータを抱えておりますので..悠長なことは言っておられないのですが..
by yamadaasukalab on Twitter

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ソツケイ

2011-02-07 11:40:20 | 研究日誌
2月5日土曜日は,卒計の公開講評会でした.

・・懐かしいアノ日々を思い出します・・・

卒業設計の日々と,講評会は,どうです,良い思い出に・・
これからを頑張る奮起の材料に,なりそうですか.
そうであったらいいなと思います.

わたしは卒計の講評に向かうときにはいつでも,
卒業論文にキュウキュウいっていた日々(11月末頃)よりも,
卒計にギュウギュウいわされていた日々(2月頭)よりも,
卒計の公開講評会(OB設計家に講評していただく会)での
Y先生の一言(2秒)が一番,胸に刺さっているなあ..
と,思い出します.

講評では心に残るコメントをできたらいいと思っていますが,どうですか.
あ,もちろんいい意味で.
そのときはけなされた,と思っても,後から考えたらそれが
すごくいい効果のあるコメントということもあるので,
その場限りにならないコトバ/メッセージ,という意味で..
そんなコメントが贈れたら,いいなと思いますが.どうでしたか.残りそう?
(いやいや,無理に記憶に残す必要はないんだけど..)

当研究室の卒計選択者2名は幸いにも,再度,プレゼンテーションの
機会をいただくことができましたので・・ブラッシュアップして,
もっともっといい作品に昇華させてください.

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2011(卒)~2013(修) 中川 春香

2011-02-07 11:36:49 | ■卒業・修了メンバー

【卒業論文/修士論文テーマ】

学童保育拠点の適正規模について



【一言】


【みんなからの一言】

・うすむらさきっていうかんじ.(あすか)

・お嬢様ってかんじ.(こが)

・あ~焼肉食べたい!とか絶対いわなそう(みなみ)

・息子の嫁にしたい(ほり)

・かわいい!!しっかりもの!ハードロック好き!?(うた)

・お姫様みたい^^これ以上わたしをどきどきさせるのはやめて!(くどう)

・しっかりしたお嬢様な感じ?(かみいし)

・盛装が似合いそうなイメージ(いとう♂)

・毎回癒される!あっ野菜食べようね.(ちば)

・私の単位は春香の優しさでできています.ありがとうっ(みはる)


【その後の進路】

東京電機大学大学院進学(2012)

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2011(卒)~2013(修) 千葉 紗央里

2011-02-07 11:35:31 | ■卒業・修了メンバー

【卒業論文テーマ】

小児療養環境の評価と改善について 環境評価項目の検証


【修士論文テーマ】

環境づくりリゾームサイトによる保育と療養の環境についての研究成果発信

 

【一言】

 

【みんなからの一言】

・コロッケがつないだ縁(あすか)

・笑い声でどこにいてもわかります(こが)

・明るくて元気!こっちまで楽しくなります(みなみ)

・いろいろと秘密を知られてしまっている(ほり)

・ちばー!!いつもノリがいい!日本語がんばれ!人のこと言えないけど^^(くどう)

・いっしょに、言葉を勉強しようww(うた)

・明るくてひまわりみたいな雰囲気(かみいし)

・卒計がんばろーね。ビワありがとう。(いとう♂)

・飲みながら恋バナしてカラオケいこうね.(みはる)


【その後の進路】

東京電機大学大学院進学(2012)

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