水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

子供はわかってあげない

2021年08月18日 | 演奏会・映画など
 今度は妹にやられた。
「子供はわかってあげない」は日本の映画史に残る傑作で、萌歌さんの今年の最優秀主演女優賞はまちがいない――。
 いや、そんな外形的な評価など、この作品の奇跡の前には何でもない気がする。
 テアトル新宿で目にしたものは、一体なんだったんだろう。
 若さのかがやき、不安定さ、純粋な心、失われない子供の部分……。
 大人との対比で、今の親と生みの親との対比で、もっと幼い子供との対比で、同級生たちとの対比で描かれるそれら。
 高校2年生、17歳という年齢の少女のもつあやうさときらめきが具現化されたもの。
 アニオタで、かわいくて、水泳の選手としてもそこそこで、親に嘘をついて冒険するくらいの勇気をもち、嘘をついたことを心から悪いと思う純粋さがあり、真剣になればなるほど笑ってしまうという癖があり……。
 こんなキャラクターをここまで自然に演じられる女優さんているだろうか。
 いそうな気がするけど、かわいすぎても、色っぽすぎてもいけないし、上白石萌歌という子をキャスティングした時点で、この作品が奇跡に近づく大きな一歩になっていたのだろうと思う。
 もちろん細田くんもすばらしいし、千葉雄大くんもはまっていたし、義父の古館寛二さんの安定感は言うまでもないし、母親の斉藤由貴さんはもはや神。
 実父で元新興宗教の教祖という不思議な父親役は、豊川悦司以外には考えられない。
 劇中だけで使われるアニメを、最高のクリエイターと声優で作ってしまうこだわりは、おそらく作品全編に貫かれている。
 一回観ただけでは全然味わいきれてないから、近くの劇場でもはじまったら、もう一回観るべきかもしれない。この夏のもやもやをすべてふき晴らしてくれる作品だった。
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