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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「ものとことば」の授業4 第四段落

2018年05月31日 | 国語のお勉強(評論)

「ものとことば」第四段落(29)

29 このようにことばというものは、渾沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に、〈 人間の見地 〉から、人間にとって有意義と思われるしかたで、〈 虚構の分節 〉を与え、そして分類する働きを担っている。言語とはたえず生成し、常に流動している世界を、あたかも整然と区別された、ものやことの集合であるかのような姿の下に、人間に提示してみせる虚構性を本質的に持っているのである。


Q21「人間の見地」と同じ意味の言葉を3段落から6字で抜き出せ。
A21 人間側の要素

Q22「虚構の文節」とは何を指すのか。15字以内で抜き出せ。
A22 整然と区別された、ものやこと

 虚構 … つくりごと・フィクション ←→ 現実


21ことば … 素材としての世界を
      どの部分、どの性質に認識の焦点を置くべきかを決定するしかけ
       ∥
 ことば … 人間が世界を認識する窓口
       ∥
22~28 具体例「机」
  27 机の定義 … 人間側の要素が決定
    28 机をあらしめるもの … 人間に特有な観点 … ことばの力
           ∥
29 ことばというものは
     … 渾沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に
      人間の見地から、人間にとって有意義と思われるしかたで
      虚構の分節を与え、そして分類する働きを担っている。
       ∥
  言語とは
     … たえず生成し、常に流動している世界を
      あたかも整然と区別された、
      ものやことの集合であるかのような姿の下に、
      人間に提示してみせる虚構性を本質的に持っている


Q23「人間にとって有意義と思われるしかたで、虚構の分節を与え、そして分類する」とは、どうすることか。
A23 実際は何ら切れ目のない素材の世界を、人間にとって意味があるようにことばで区別し、世界を整然としたものに見せること。

Q24「言語とはたえず……虚構性を本質的に持っているのである。」とあるがなぜ「虚構」といえるのか。
A24 ことばは、切れ目のない素材の世界を人間の観点に基づき恣意的に切り取って表現したものにすぎず、その区分の仕方に絶対的な正しさがあるわけではないから。

Q25「虚構性を本質的に持っている」とあるが、「ことば」の「虚構性」とはどのようなことか。
A25 ものやことが、そのことば自体によって表現される必然性は最初から存在しないということ。

 恣意的 … 気ままで自分勝手な なんの必然性もなく 

 ☆ 記号の恣意性 … ソシュール → 言語論の基本

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ダストレスチョーク(2)

2018年05月31日 | 学年だよりなど

  学年だより「ダストレスチョーク(2)」


 仕事がうまくいかずミスが続いたとき、「施設に返すよ」と言うと泣きながらいやがるのだが、その気持ちが理解できなかった。彼女たちはどうしてこんなに苦労してまで働きたいのだろう、と。
 しかしある時、ある法事でいっしょになった禅寺のお坊さんと話をして、疑問が氷塊する。
 お坊さんはこう言った。


 ~ 「そんなことは当たり前でしょう。幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることです。人に愛されること以外は、施設では得られないでしょう。残りの三つの幸福は働くことによって得られるのです。
  … その四つの幸せのなかの三つは、働くことを通じて実現できる幸せなんです。だから、障害者の方でも働きたいという気持ちがあるんですよ。 … 真の幸せは働くことなんです。」 ~


 大山さんにとっては目からウロコが落ちるような考えだった。普通に働いている多くの人たちが忘れている感覚ではないか、「人間にとって『生きる』とは、必要とされて働き、それによって自分で稼いで自立することなんだ」ということに気づいたという。


 ~ 「それなら、そういう場を提供することこそ、会社にできることなのではないか。企業の存在価値であり、社会的使命なのではないか」
 それをきっかけに、以来50年間、日本理化学工業は積極的に障害者を雇用し続けることになったのです。 … 私はつい、「なぜ、こちらの社員の方々の顔は自信に満ち満ちているんですか? 生き生きしているんですか?」と、社長に質問してしまいました。すると、社長はこう言いました。
「自分も社会に貢献しているんだという、思いがあるからだと思います。一介の中小企業ではありますが、そこに勤めて、自分も弱者の役に立っている、社会の役に立っている、という自負が、社員のモチベーションを高めているのではないでしょうか。」 (坂本光司『日本でいちばん大切にしたい会社』あさ出版) ~


 人の値打ちは社会という文脈が規定する。
 一人一人の人間が、絶対的固有の価値を有しているわけではない。
 その人のおかげで、幸せになる誰かがいるときに、価値が生まれる。
 人も会社も同じではないか。どれだけ多くの人を幸せにできるかが、存在価値の原点である。
 とすれば、みなさんが何のために勉強しなければならないのかも、答えが見えてくる。
 目標の大学に入るのは、人生の通過点にすぎない。高校、大学と自分を鍛えて、まず自分が食えるようになること、そして自分以外の多くの人を、いやたった一人でもいい、幸せにしようという気持ちで生きていけるようになれば、そこに本質的な幸せが生まれる。
 仕事は、社会において自分が誰かの役に立っているという感覚を抱かせてくれる営みだ。

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