「ものとことば」第四段落(29)
29 このようにことばというものは、渾沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に、〈 人間の見地 〉から、人間にとって有意義と思われるしかたで、〈 虚構の分節 〉を与え、そして分類する働きを担っている。言語とはたえず生成し、常に流動している世界を、あたかも整然と区別された、ものやことの集合であるかのような姿の下に、人間に提示してみせる虚構性を本質的に持っているのである。
Q21「人間の見地」と同じ意味の言葉を3段落から6字で抜き出せ。
A21 人間側の要素
Q22「虚構の文節」とは何を指すのか。15字以内で抜き出せ。
A22 整然と区別された、ものやこと
虚構 … つくりごと・フィクション ←→ 現実
21ことば … 素材としての世界を
どの部分、どの性質に認識の焦点を置くべきかを決定するしかけ
∥
ことば … 人間が世界を認識する窓口
∥
22~28 具体例「机」
27 机の定義 … 人間側の要素が決定
28 机をあらしめるもの … 人間に特有な観点 … ことばの力
∥
29 ことばというものは
… 渾沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に
人間の見地から、人間にとって有意義と思われるしかたで
虚構の分節を与え、そして分類する働きを担っている。
∥
言語とは
… たえず生成し、常に流動している世界を
あたかも整然と区別された、
ものやことの集合であるかのような姿の下に、
人間に提示してみせる虚構性を本質的に持っている
Q23「人間にとって有意義と思われるしかたで、虚構の分節を与え、そして分類する」とは、どうすることか。
A23 実際は何ら切れ目のない素材の世界を、人間にとって意味があるようにことばで区別し、世界を整然としたものに見せること。
Q24「言語とはたえず……虚構性を本質的に持っているのである。」とあるがなぜ「虚構」といえるのか。
A24 ことばは、切れ目のない素材の世界を人間の観点に基づき恣意的に切り取って表現したものにすぎず、その区分の仕方に絶対的な正しさがあるわけではないから。
Q25「虚構性を本質的に持っている」とあるが、「ことば」の「虚構性」とはどのようなことか。
A25 ものやことが、そのことば自体によって表現される必然性は最初から存在しないということ。
恣意的 … 気ままで自分勝手な なんの必然性もなく
☆ 記号の恣意性 … ソシュール → 言語論の基本