大谷翔平選手や羽生弓弦選手が同学年。聞くと、スケートの高木美保さん、水泳の瀬戸大地さんやらそうそうたるワールドクラスのアスリートが同学年にいるらしい。
自分の学年にもすごいアスリートはいた。400mの高野進とか、正道会館の角田信朗とか。
でも、ワールドクラスとはいえないか。
今と何がちがうのか。
自分達が子供のころ、世界を相手にして戦うという発想を、ふつうの子供は持たなかったのだ。
もちろん、いろんな競技で世界大会に出場していった選手はいる。オリンピックで金メダルをとった種目もある。
なんとなく、日本人でもがんばればなんとかなりそうな種目で結果を出していたイメージがある。
メジャーリーグとか、フィギュアスケートとかで、欧米のアスリートと対等に戦えるなどと、日本人誰もが考えてなかったはずだ。
だって、ほんの何十年か前に欧米列強にコテンパンにやっつけられたのだ。原爆までおとされ、国民的全否定をされて戦後を生きてきた親のもとに生まれたのが自分たちだ。
小さいころから、世界で活躍したいという夢を、かりにそのほとんどは夢に終わるとしても、描かくことができる今の子たちとは、ちがったのだろうなと思う。
だからこそ、同学年の佐渡裕氏が、西洋の、しかもウィーンのオケをひきつれて日本公演を行うことが、どれほどすごいことか。
午前中、指揮のレッスンを受けたあと、NHKホールに向かう。なんとクラシカルな日だろう。
開演の時間になる。オケのメンバーが入る前に、なんと佐渡さんが一人で入ってくる。
マイクをもって、みなさん今日はようこそお越し下さいました……と語り始める。
音楽を始め、独学で指揮を学び、バーンスタインの演奏会がある京都会館に忍び込もうとした事件、ニューヨークへおしかけていった話、ウィーンに連れて行かれて、いつか自分もこの音楽の都で演奏したいと思ったことなど。
そして、夢がかなってウィーンでの仕事をし、こうして日本にこれてうれしい、と。
こみあげてくるものがあった。
前説がおわり、楽団員が入場してくる。やはり西洋人のオケは「様子がいい」。
西洋の楽器は、西洋人がかかえてこそかっこいいのは仕方ない。
そんな楽団員を束ね君臨するのが佐渡君なのだ。
バースタインの「波止場」に続いて、「シンフォニックダンス」。マンボではちゃんとみんな叫んでくれる。
後半はショスタコビッチの5番。アンコールに「ハンガリー舞曲5番」。
言い方はわるいが、黄色人種が、白人をここまで手なずけられたことが、あっただろうか。しかも西洋音楽で。
そういう意味でも泣けた。ショスタコの後半おちてしまった自分にも泣けたが。
同じ学年で一番指揮の上手な佐渡君が、ここまでなった。勇気をもらえるではないか。
いっこ下の是枝くんも、カンヌとったし。
同じ学年と言えば、ダイアナさんがいたな。先日の王子の結婚式をみながら、お母さん生きてたらなあと思うとせつなかった。