俳優陣は「エクスペンダブルズ」よりすごい。
自分的な彼らの代表作もあわせていえば、「苦役列車」の森山未來、「接吻」の小池栄子、「阪急電車」の勝地亮、「NANA」の宮崎あおい、「川の中からこんにちは」の満島ひかり、「探偵はバーにいる」の松田龍平。
小池栄子さん、満島ひかりさんは、生の舞台でもそのフィジカルのすごさを体験している。
役者フィジカルの高いこの面々は、だいたいこういう仕事ねという枠を示せば、それで十分な人たちのような気がする。そして主演の吉永小百合さんは、逆に監督さんが細かく積み上げていくべき女優さんではないだろうか。
ただ、これほどの女優さんになると、ダメだしなんてできるのだろうか。
監督さんによるかな。
日ハムの栗山監督は、現場での指導経験をまったくもたないまま監督に就任した。現役時代の選手としての成績も飛び抜けたものではない。プライドの高い一匹狼の集団であるプロの選手たちが、ちゃんと従うのか、やはり無理ではないかと危惧した人は多かった。内心ほくそ笑んでいた人もいたことだろう。
それでも一年できっちりと結果を残した。指導に理があり、言葉に情があふれている人柄ならば、選手はついてくるのだというお手本かもしれない。選手にこびることも、無用にいばることもなく、まっすぐに自分をぶつけた結果が受け入れられたのだろうと想像する。
映画の監督さんも、こんなシーンをとりたい、こんな作品をつくりたい、だから役者さんにこう動いてほしいという強い思いがあれば、大御所的な役者さんでもきっと応えてくれるにちがいない。
だから、「北のカナリアたち」は、いい作品だったと思うけど、もっとつめられたとも思える。
それに木村大作さんの映像、川井郁子さんのバイオリンは、自分には重すぎた。主張が強すぎた。
そこに立ってるだけで気持ちを伝えられる役者を集めているのだから、そのままでいいのに。
おいしいお肉は、あっさりしたソースで、いや塩だけでも十分なのに、こってりしたなんとかソースなんとか風にしてしまって、素材の味が薄れ、一番表現したいのがなんなのかがうすまっていた。
実に豪華だけど、逆にもったいない作品だという印象を受けた。個人的には、先生役は原田美枝子さんだと思った。