教育実習生が見学に来て授業を録音するというので、自分でも録音して聞いてみた。
久しぶりだったが、聞いてて昔ほど恥ずかしい感じではなくなってるの少し安心した。
それとも向上心が減ったのか? 自分にきびしくなくなったのか?
それにしても普通の授業だ。
「狐借虎威(狐、虎の威を借る)」の最初の時間。最初は音読。まず模範読みを二回。漢字を指でおさえながら聞かせる。あとについて読んでみるのが二回、一人一文交代読みを二周、もう一回追い読み、立って自力で通して読むのが一回。
次に一文ずつ文の構造を読み取る。SVOを確認しながら、大事な単語を抜き出して説明する。
メインは使役の構文。「○○(担任のなまえ)・使・○○(生徒のなまえ)・読・教科書」と書いて、意味を予想させる。英語の使役の構文と同じであることを指摘し、読み方と返り点の付け方を教える。
「秋元康・使・高橋・長・秋葉原四八隊」の例文のあと、「天帝・使・吾・長・百獣」を訳してみる。
「Aを以てBと為す」の訳し方をやったところで残り二分になったので、再度全文を音読して終わる。
普通だ。なんの企画もない。まさに「味噌汁・ご飯授業」だ。でも、ちゃんとマスターしてもらえれば、漢文は読めるようになるし、偏差値も上がる。二年半後の直前講習で教えている自分のイメージが入っていて、そこからの逆算ができているので、盛り上がりもしないが、あせりもない。
「逆算」かな。実習生と自分の授業に違いがあるとしたら。
「見通し」と言ってもいいかな。今はノートをとるのがこんなに遅い○○くんも、二年後にはこんなふうになっているだろうという蓋然性の高い予想。もうしばらくいっしょに過ごすと、予想を裏切るくらいに伸びるにちがいないという予想もできるようになるだろう。今は中学生にしか見えない○○くんも、二年後かなりおっさんになるはずだ。