自分の好きなことを仕事にできるなら幸せだ。
やりたいこと、好きなことをやって喰っていくためには、そのために気の進まないこともやらねばならない。
歌うことが好きだから歌手になりたいと思って歌手になったとする。
しかし、実際に歌っていられる時間はどれだけもてるだろう。
デビュー前の段階で、ボイストレーニングやらダンスやらのレッスンがあるし、営業用の笑顔の練習、握手の練習、お辞儀の練習、口の利き方の練習、サインの練習、挨拶回りなど、歌以外の様々なことを学ばされる。
そして、地方営業、いわゆるどさ回りだ。
ちなみに「どさ」は「佐渡」の業界用語的ひっくりかえしで、佐渡みたいな地方を回るという意味。
地方のスーパーやレコード店で歌わせてもらって、土地の有力者と食事の席をともにすれば笑顔でお酒をついだりしないといけないこともあるだろう。
だれも歌をきいてないデパート屋上での営業なんてのもあるかもしれない。
「あたし、こんなことをするために歌手になったんじゃない」なんて思う経験は、プロ歌手の人ならみんなしてるはずだ。
きっとそういう経験をしてはじめて歌詞にも心が入るし、長く業界で生きていける力もついていく。
なんて、わかったふうなことを書いてみたりして。
でもたぶんそうではないかな。
純粋に自分の好きなこと、やりたいことだけをやって食べていける人など、かぎられた数人の超天才だけだろう。
いろいろいやなことも経験する。
やめようかとも思う。
それでも、歌い続けなければいられない人だけが歌手になれる。
神に召される。
好きなこと、やりたいことというのは、探してみつけるものではない。
人にやるなと言われても、どんな障害があっても、やらずにいられないものだ。
資金がないからとか、時間がないからとか、チャンスに恵まれないからとか、そんな理由でやらずにすませられるのなら、それはそれだけのものであったということだ。
一方で、「好きなことをやっているんだから、お金なんか関係ない」「お金の問題じゃない」という言い方が、逃げであるのもたしかだ。
好きなことを本気でやっているかどうか。
自分のやっていることが、それで喰っていけるレベルにあるのかどうかは、大きな境界線である。
「他人に認められなくてもいい、好きなことなのだから」というのは、考え方としてはありなのだろうが、逃げてる部分を含んでいるのはたしかだろう。
「結果が出なくても一生懸命やっていればいい」と最初から言ってしまうと、結果として一生懸命のレベルがさがっていることがあるのと同じで。
有川浩『シアター!』は、小さな劇団を主宰する春川巧と、会社務めのその兄を軸に、好きなことにうちこむってどういうことか、好きなことで喰っていくとはどういうことなのかを描く。
兄の目線は、芸の神に召される側にいける人への憧れを映し出していて、よかった。
有川浩自身は、あっち側に確固たる居場所を築いてゆるぎない。
やりたいこと、好きなことをやって喰っていくためには、そのために気の進まないこともやらねばならない。
歌うことが好きだから歌手になりたいと思って歌手になったとする。
しかし、実際に歌っていられる時間はどれだけもてるだろう。
デビュー前の段階で、ボイストレーニングやらダンスやらのレッスンがあるし、営業用の笑顔の練習、握手の練習、お辞儀の練習、口の利き方の練習、サインの練習、挨拶回りなど、歌以外の様々なことを学ばされる。
そして、地方営業、いわゆるどさ回りだ。
ちなみに「どさ」は「佐渡」の業界用語的ひっくりかえしで、佐渡みたいな地方を回るという意味。
地方のスーパーやレコード店で歌わせてもらって、土地の有力者と食事の席をともにすれば笑顔でお酒をついだりしないといけないこともあるだろう。
だれも歌をきいてないデパート屋上での営業なんてのもあるかもしれない。
「あたし、こんなことをするために歌手になったんじゃない」なんて思う経験は、プロ歌手の人ならみんなしてるはずだ。
きっとそういう経験をしてはじめて歌詞にも心が入るし、長く業界で生きていける力もついていく。
なんて、わかったふうなことを書いてみたりして。
でもたぶんそうではないかな。
純粋に自分の好きなこと、やりたいことだけをやって食べていける人など、かぎられた数人の超天才だけだろう。
いろいろいやなことも経験する。
やめようかとも思う。
それでも、歌い続けなければいられない人だけが歌手になれる。
神に召される。
好きなこと、やりたいことというのは、探してみつけるものではない。
人にやるなと言われても、どんな障害があっても、やらずにいられないものだ。
資金がないからとか、時間がないからとか、チャンスに恵まれないからとか、そんな理由でやらずにすませられるのなら、それはそれだけのものであったということだ。
一方で、「好きなことをやっているんだから、お金なんか関係ない」「お金の問題じゃない」という言い方が、逃げであるのもたしかだ。
好きなことを本気でやっているかどうか。
自分のやっていることが、それで喰っていけるレベルにあるのかどうかは、大きな境界線である。
「他人に認められなくてもいい、好きなことなのだから」というのは、考え方としてはありなのだろうが、逃げてる部分を含んでいるのはたしかだろう。
「結果が出なくても一生懸命やっていればいい」と最初から言ってしまうと、結果として一生懸命のレベルがさがっていることがあるのと同じで。
有川浩『シアター!』は、小さな劇団を主宰する春川巧と、会社務めのその兄を軸に、好きなことにうちこむってどういうことか、好きなことで喰っていくとはどういうことなのかを描く。
兄の目線は、芸の神に召される側にいける人への憧れを映し出していて、よかった。
有川浩自身は、あっち側に確固たる居場所を築いてゆるぎない。