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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

沈まぬ太陽

2009年12月27日 | 演奏会・映画など
 合宿最終日は、アンサンブルの発表会。
 父母会の方に集客をお願いしたら、驚くほどたくさんの保護者の方にご来校いただいた。
 演奏の方も、それに後押しされるように、数日前とは見違えるようだった。
 ご来校いただいたみなさま、役員のお母様方、ありがとうございました。
 また来年もよろしくお願いします。

 帰りがけ「沈まぬ太陽」に間に合ったので鑑賞。
 開始5分、事故直前の空港の場面であっけなく号泣。
 休憩をはさんで3時間以上がまったく長く感じなかった。

 主人公の恩地は、若くして労働組合の委員長を勤め、その報復人事で海外勤務を強いられ、そして帰国後は日航機墜落事故の遺族係を担当する。
 職場の不正を暴き、労働環境の改善を目指し、遺族の心情より会社の論理を優先してはならないと奔走する恩地は、どんな苦境にも信念を貫こうとする男だ。
 若いころ恩地と共に組合の副委員長を務めた行天は、恩地と道を違えたあとは、あらゆる手段を使って出世の道を歩もうとする。組合を骨抜きにし、さまざまな部署から愛人や手下を使って情報を仕入れ、役人を手なずけ、メディアに食い込み、裏から会社を動かしていく。
 恩地と行天とは、正反対の生き方をしているように描かれているのだが、このふたり根本は同じではないか。
 自分の信念を生きるという点において。
 そのためになんらかのものが犠牲になるのはしょうがないと考えている点において。
 恩地の生き方は、まじめな社員のため、事故の遺族のため、というゆるがない姿勢ではあり、たぶんかなり正しいのだろうが、物事には限度というか、ときには清濁併せ呑むのも器量だという面が欠けていると言わざるを得ず、恩地の生き方のために犠牲になった人もいるはずだ。
 もちろんだからといって行天のように、会社のため、自分のためになら何をしてもいいというものではない。
 若い頃なら、腐った会社や政治家や役人にはらわた煮えかえる思いで観たと思うが、どっちもどっちだなあという感想をもつのはあまりに大人過ぎるだろうか。
 でもね、恩地は奥さんが鈴木京香、行天は松雪泰子が愛人。
 どう考えたって、どっちも幸せでしょうが(けっきょく、そこかい!)

 3時間を超える大作ではあるけれど、原作の内容を充分に描き切ったとは正直言えないと思う。
 もともと全てを盛り込もうとするのは無理だ。
 日航機墜落とそれをめぐる様々な対応には、戦後の日本のあらゆる問題が現れてしまっているから。
 2時間の映画をつくれるネタが何十個も入っている原作を、ここまでまとめたということに拍手を送りたい。
 ひとつだけ不満を言っておくと、行天の下ではたらき、自ら命を絶つことになった香川照之は、最後の夜を芦原温泉ですごし、東尋坊で身を投げるのだが、現地ロケではなかった。
 芦原温泉とは似ても似つかぬ路地に、そば、越前がにといったのぼりを立てても、だまされないぜ。 
コメント
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