Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

海図;endless summer

2010-08-09 09:09:20 | 日記


サラバンド(saraband)

バロック時代の主要な舞踏のひとつ。また、その舞曲。
16世紀に中央アメリカからスペインに渡り、17~18世紀のイタリア・イギリス・フランス・ドイツで流行。
緩やかで荘重なリズムの3拍子で、古典組曲の第3曲に用いられた。(電子辞書:広辞苑)





★ 哲学がもし、考えること自体について考える批判的な作業でないとしたら、今日、哲学とはいったいなんだろうか。また、すでに知っていることを正当化するというのではなく、別のしかたで考えることが、どのようにして、また、どこまで可能なのかを知ろうとするという企てに哲学が存するのでないとしたら、今日、哲学とはいったいなんだろうか。<ミシェル・フーコー『快楽の活用』>



★ アダムは突然店から出た。唇にはたばこをくわえた。横目をつかうと、雨の滴でそれにしみがついて行くのが見えた。紙が完全に濡れてしまってから、彼は火をつけ、たばこが湿気と戦ってぱちぱち音を立てるのに耳を澄ませた。
彼はいくつかの通りを下り、海辺の遊歩道に達した。
雨が降らなくなってもうずいぶんになり、今日は実に久しぶりの雨だった。雨が歩道の埃に混じり合って発する匂いを嗅ぐだけで、そのことはわかった。
アダムは海に沿って歩き出した。爽やかな雨水が彼のこめかみに沿って流れ、髪を通し、ワイシャツのカラーの内側へと滴って行った。それは幾月にもわたる陽射しと海水浴とが作りあげた塩の甲皮に、畝のような通路を切り開いて行った。<ル・クレジオ『調書』>





★ 誰かを前にして、あんなに存在感を感じたのは初めてだった。彼のからだそのものが、かけがえのないものの感じがしたの。――わかる?だって、考えてもみて。彼はいつも、そこにしかいないのよ。普通は、そうじゃないでしょ?電話の中にだって、メールの中にだって、わたしたち、どこにだっていられるから。あなたが日本に帰っても、わたしとあなたとは、声や文字を通じて、いつでも再会できるでしょう?だけどJ はそうじゃない。彼は、彼が今いるところにしかいないの。電話でもメールでも連絡が取れないから、いつも彼がいる場所まで出向いていって、探さなきゃ会えなかった。そういうのが、わたしにとっては、新鮮に感じられたの。素敵なことだって思ってた。手軽じゃなかったの、彼の存在は。彼っていう人間が、そのまま骨となり、肉となって、全然過不足がなかった感じ。――わかる、言いたいこと?そういうところに、わたし惹かれてたの。
<平野啓一郎“クロニクル”―『あなたが、いなかった、あなた』(新潮文庫2009)>






★ 宇多田光ブログ“久しぶりの大事なお知らせ”(2010/08/09)引用

27才、若いっちゃあ若い・・・でももうそんなに若くない。

振り返ると、15才からずっと音楽ばっかりやってきました。「宇多田ヒカル」が音楽に専念できるように、周りから過保護に守られた生活をしてきました。人からは、年のわりには人生経験豊富だね~なんて言われるけれど、とても偏った経験しかしていません。

この仕事のおかげで普通じゃできないようなことも出来ました。ファンのみんなにも、ずっと一緒にやってきたスタッフにも、とっても感謝してます。

でも、アーティスト活動中心の生き方をし始めた15才から、成長の止まっている部分が私の中にあります。それは、人として、とても大事な部分です。

この12年間、アーティストとしては色んなことにもチャレンジしたし、少しは成長できたと思います。でもこれ以上進化するためには、音楽とは別のところで、人として、成長しなければなりません。

そういう気持ちから、一つ大きな決断をしました!

来年から、しばらくの間は派手な「アーティスト活動」を止めて、「人間活動」に専念しようと思います。

これは「引退宣言」ではありません!でも、「休養」でも「充電期間」でも無いんです。

むしろ熱心に、そして謙虚に、新しいことを勉強したり、この広い世界の知らないものごとを見て知って感じて、一個人としての本当の自分と向き合う期間になると思います。それは「アーティスト活動」とは違う、「人間活動」かな、と。

そしてそれが結果的にはアーティストとしての私の成長につながるはずです。

もちろん、その間、気ままに音楽を作ったり、歌ったりも、してると思います。

人として少しは成長できたかな、と思った時、自然とまた、音楽をみんなに聴かせたい!と思った時がきたら、そうする時です。




★<今野雄二さん:自宅で自殺か 映画評論家>毎日jp 2010/08/04

 映画評論家の今野雄二(こんのゆうじ)さん(66)が2日午後6時ごろ、東京都渋谷区代官山町の自宅マンション室内で首をつって死亡しているのが見つかった。警視庁渋谷署によると、目立った外傷もなく、外部から侵入した形跡もないことから、自殺とみて調べている。
 今野さんは北海道出身。国際基督教大卒業後、平凡出版(現マガジンハウス)に入社。若者に人気だった「平凡パンチ」「anan」編集部を経て映画評論家となり、テレビ番組「11PM」で映画紹介を担当。音楽評論や翻訳も手掛けるなど幅広く活躍した。