13才の時に初めて出会ったが、やる気の溢れる少女だった。
デビューして忙しくなると『今日トレーニングはできませんか』とマネージャーから電話がある。
私は稽古場を借りているので、直ぐには応じられない。たまたまAカルチャーセンターで私の講座あるのでお知らせした。違反だ。私の助手で一緒にトレーニングをした。
さて、小5、小3、小1のむすめさんは稽古場にはいられない。外で時間を過ごして終わりごろ戻ってきた。
生徒たちがワゴンに山積みにしたマットを創庫に仕舞う準備をしていた。私は即座に3娘に上に登れと言った。
大騒ぎで高さ2.5mぐらい3娘は登る。一番上で大はしゃぎだ。ワゴンが移動するのでご機嫌だ。
手ぶらで帰さない私は瞬間でも子供たちを大喜びさせた。
帰りのバスで一緒になった。
娘二人は出口近くで母親にくっいている。
一番し下は入り口で一人で立っている。
荻野目さんはどうするか見ていた。
なにも言わず小1の意志に任せている。黙って離れた所から見ているに過ぎない。
多くの親は「こっちに来なさい」とバスの中でわめく。
そんなことはしない。本人の好きに任せている。
何かが違う。
途中渋谷のNHK放送センターの前でバスは止まる。
半年以上、朝ドラの主役で撮影したところだ。荻野目さんは見向もしない。
次の人生に向かっているのだ。
私は彼女の歌手活動30年間で最高の声にしてやるぞと自分に言い聞かせた。
必ず実現する自信がある。