トリノオリンが終わる。
新聞に強化と言う文字が走る。
コーチは本来は選手と敵対関係にあるぐらい、厳しいものだ。
話は変わるが故三船敏郎さんは黒澤明監督を大変嫌っていた。映画の撮影が終わりお酒を飲むと、大声を張り上げて「黒澤の馬鹿野郎など」と叫んでいた。演技指導で散々苦しめられたからだ。最後には自分で撮影所を購入して、自分のお気に入りの監督で映画を撮った。しかし出来栄えはよくない。監督と俳優の戦いが薄いからだ。
冬季五輪のコーチはおそらく選手のご機嫌取りに終始したと思われる。選手に嫌われると首になり失業するからだ。つまり黒澤監督と三船さんの戦いがなかったのだ。
大方の選手は楽しい稽古を好む。これは自ずとテンションを下げる。一方、オリンピックの本番は最高に高いテンションを要求する。
こんな高い緊張の中で稽古をしていないので、自分のメンタルな面が狂う。つまり足も手も出なくなるのだ。
温水プールで水泳の稽古をしていた人が太平洋の荒い海に出たのと同じで、そのあまりにも荒荒らしい
さに恐れをなすと同じだ。
コーチと選手の戦いを強化するのだ。