トップアスリートがみんなやっていると言う、口にくわえて息を思い切り吐き、吸う器具の存在を今日知る。
肺活量は日々落ちる傾向にある、そこで立て笛のような器具で、息の出し入れに負荷を掛けて、自分の限界を広げようと考えられた器具だ。
生徒の一人が私に質問してきた、これを毎日やっていますが、いいですかと。実演を見ると顔が赤くなるほど頑張って息を吐き、肩を思い切り上げて息を吸う。
肺をフィゴの胴体のようにして、その息の出入り量を大きくする器具だ。
こんな人工的で非医学的な器具を医師は承認しているのか。肺を物として捕らえて、生きた人間の臓器としては無視している。
人間の呼吸は血液中のCO2が首のセンサーを通過するときに、その量で脳の呼吸中枢に命令を出す。他に足などの関節近くにも呼吸調整センサーはある。
要するに呼吸が速く大きくなるのは主に血管の中のCO2の量である。だからわれわれが熟睡していても多少のCO2のおかげで呼吸は行われている。
なるほど肺活量は年齢に伴い減少する。それを呼吸の原理を無視して、器具で意志の力でねじ伏せるように大きくしたいは大変危険と思われる。
特に声にはよくない。私の生徒の男性は、ぐんぐん回数を重ねるごとに声の調子は上向くと思っていた。それが「息が詰まる、しゃべる声が響かない」という。おかしいなとおもっていたら、今日の器具での実演である。
これが悪い方向に転落させていたのがわかった。
即座にその器具を使うのをやめたほうがいいと忠告した。
何でこんな器具がアスリートの中で流行しているのか。
体の中から要求する呼吸を、無視して単に息だけを無理やり強制的に出し入れする。何故、医師は異議・危険を唱えないのか。
最後に声を大切にしたい人は、絶対にこの器具の使用を禁じたほうがよい。