下手の横好き日記

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法月綸太郎『雪密室』

2007-01-24 23:23:14 | 
法月作品の探偵役である法月綸太郎が初登場する作品です。
とは言うものの、この話の中心は彼の父親・法月警視で、警視を助ける形で綸太郎が呼ばれます。
そういう事情があるので、法月警視のキャラクターは結構つかめた感じがありますが、
綸太郎については、この作品では非常に有能な探偵であるという設定しか分からないですね。

法月警視がペンションへの招待を受けるところから物語は始まります。
1週間の休暇を取り、そのペンションを訪れた翌朝、離れで招待主の首吊り死体が発見されます。
夜中から降り出した雪の上には出入りした足跡が無く、建物にも鍵がかけられています。
状況から自殺だと考えられましたが、警視だけは他殺だと断言。
しかし、警視を取り巻く状況はその見解を許さず・・・綸太郎の登場です。

タイトルそのままですが、「密室」が中心となる物語です。
やっぱり作家にとって「密室」は作ってみたいトリックの一番手なのでしょうか。
法月氏のデビュー作『密閉教室』も密室関係でしたし。
このトリックは、元ネタが『白い僧院の殺人』の雪の足跡だということですが、
そう言えば、有栖川氏も『スウェーデン館の謎』で雪の足跡を出していましたね。
同じようなモチーフを使っても、幾通りにもアレンジできるぞ!という、
本格マニア作家たちの料理の腕の見せどころです。
例えば古典と呼ばれる作品群のトリックを前に「自分ならこう作るな~」というのは、
創作意欲を沸き立たせるアイディアの1つなのかもしれませんね。

そして「読者への挑戦」があったのですよ。
まあ、エピローグは鵜呑みにはしてなかったけど、まさかそういう事件だったとは!
すっかり思い込んでいたことがあって、犯人は当てられなかったです(^^;
意外という感じでもなかったのですが・・・
最近、当てられないな~。

物語としては幸せになる人がいない閉塞した結末だから、
ちょっと気分的に暗くなるエンディングなんですけど、
ある意味、非常にオーソドックスなミステリが読めたって感じですね♪