名前だけは知っていたものの、その著書を読んだことはありませんでした。
綾辻氏と同じ、京都大学のサークルから輩出された作家ですね。
今回、とりあえず一読と思い、例によってデビュー作から取り掛かってみました。
ある朝、中から密閉された教室で、カッターで喉をかき切った男子高校生の死体が発見されます。
遺書は発見されたものの、教室から何故か机と椅子がことごとく無くなっていていた!
果たしてこれは自殺なのか、他殺なのか!?
推理小説マニアの同級生・工藤、警察の森、担任の大神の虚々実々の駆け引きが、
様々な事情を抱えたクラスメート達とも複雑に絡み合って、事件は思わぬ方向へ・・・
タイトルどおり「密室」が作品の中で大きな位置を占めているかといえば・・・そうではないのです。
登場人物たちは一部の大人を除いては、クラスメートである高校生達。
彼らにとっては「密室」も「机と椅子の消失」も「コピーの遺書」も、現実とはさほど関係ない。
彼らの関心は専ら「なぜ級友は死んだのか」なのですから。
当然ですよね。友達が死んだとして、「なぜ」より「どうやって」を重要視する人はいないでしょう。
その意味で、これは謎解き小説というより、友人の死に心乱れる高校生達を描いた青春小説なのです。
ではこの作品は、爽やかで、まっすぐなミステリなのでしょうか? とんでもない!
1プラス1の答えは2ではなく、3にも0.9にもなるのが本当の人間の世界ですよね。
だからこそ人の心を読みきることはできないのですが、この登場人物たちもしかり。
主人公の工藤を筆頭に、一筋縄ではいかないまさにポーカーゲームが始まるのです。
ばら撒かれ過ぎた伏線。読み進め、拾い集めるうちに両手一杯になって、こぼれ落ちて・・・
いったいどれが勝負を決めるカードなのか分からなくなってました。
(最初は、伏線の無防備さに辟易してたのですが、これも作者の罠だったのか^^;)
伏線に溺れる・・・何だか不思議な体験だったです。
クライマックスを読んでいるときの高揚感は、「わくわく」を通り越して「ばくばく」でした。
最後のカードが開かれたとき。
やっぱりこれは初めて幻想の喪失を味わう青春の物語なんだ、と思いました。
面白かった♪
綾辻氏と同じ、京都大学のサークルから輩出された作家ですね。
今回、とりあえず一読と思い、例によってデビュー作から取り掛かってみました。
ある朝、中から密閉された教室で、カッターで喉をかき切った男子高校生の死体が発見されます。
遺書は発見されたものの、教室から何故か机と椅子がことごとく無くなっていていた!
果たしてこれは自殺なのか、他殺なのか!?
推理小説マニアの同級生・工藤、警察の森、担任の大神の虚々実々の駆け引きが、
様々な事情を抱えたクラスメート達とも複雑に絡み合って、事件は思わぬ方向へ・・・
タイトルどおり「密室」が作品の中で大きな位置を占めているかといえば・・・そうではないのです。
登場人物たちは一部の大人を除いては、クラスメートである高校生達。
彼らにとっては「密室」も「机と椅子の消失」も「コピーの遺書」も、現実とはさほど関係ない。
彼らの関心は専ら「なぜ級友は死んだのか」なのですから。
当然ですよね。友達が死んだとして、「なぜ」より「どうやって」を重要視する人はいないでしょう。
その意味で、これは謎解き小説というより、友人の死に心乱れる高校生達を描いた青春小説なのです。
ではこの作品は、爽やかで、まっすぐなミステリなのでしょうか? とんでもない!
1プラス1の答えは2ではなく、3にも0.9にもなるのが本当の人間の世界ですよね。
だからこそ人の心を読みきることはできないのですが、この登場人物たちもしかり。
主人公の工藤を筆頭に、一筋縄ではいかないまさにポーカーゲームが始まるのです。
ばら撒かれ過ぎた伏線。読み進め、拾い集めるうちに両手一杯になって、こぼれ落ちて・・・
いったいどれが勝負を決めるカードなのか分からなくなってました。
(最初は、伏線の無防備さに辟易してたのですが、これも作者の罠だったのか^^;)
伏線に溺れる・・・何だか不思議な体験だったです。
クライマックスを読んでいるときの高揚感は、「わくわく」を通り越して「ばくばく」でした。
最後のカードが開かれたとき。
やっぱりこれは初めて幻想の喪失を味わう青春の物語なんだ、と思いました。
面白かった♪