織作峰子さんの写真集『MY SWITZERLAND』を観ました。
写真家のことを知らない僕でも織作さんのことは名前と顔を知っていました。手に塗るクリームのコマーシャルに出ていたし、新聞などでもたまに見るからです。でも写真を見るのはこの本が初めて。この本は本屋でたまにぺらぺらめくってちょっと気になっていました。
スイスとドイツの国境付近の山や街を織作さんが捉えたもの。
織作さんの写真はとてもきれいです。何か一つ一つの輪郭がとてもくっきりしている。
色もきれいです。それはスマートな感じの色。先週紹介した藤原新也さんの写真の色がもこもこと浮き上がってくるような感じだとしたら、織作さんの色はもっとクリアで色鉛筆できれいに塗ったような色です。
そう、織作さんの写真は、鉛筆で描いた絵のように思える。細い線で緻密に被写体を描いている感じ。
プロの写真というものに私たちは普段たくさん接しています。写真家は多いのだろうし、写真が趣味という人も多い。
でも素人には、上手い写真がたくさんあることは知っていても、写真に疎いと印象に残る写真というものはあまりありません。
織作さんの写真は、技術的なことは僕には分からないけど、撮っている人の気持ちがとても伝わってくる。
彼女はきれいなもの、可愛いもの、美しいものがとても好きなんだと思う。その彼女が撮りたいものを撮ったのがこの写真集なんだと思います。
どの写真も一分のムダもなく、しかし観るものを緊張させず楽しくさせてくれます。
少し高いけど、かたちと色がきれいで、食べてみるととても甘くておいしいケーキを食べたような、そんな感じにさせてくれます。
涼風