伊集院静という作家が好きだった。小説自体それほど読んではいない。彼のエッセイ「大人の流儀」シリーズのファンだったのだ。それから「週刊文春」に連載していた人生相談も好きだった。
「あの子のカーネーション」を読んだときは不覚にも泣いてしまったし、どこか無頼派っぽいところがあって人生の荒波を漕いで人間なんだということが読む側にもしっかりと伝わって来た。
昔、なんかの週刊誌に漫画家の黒鉄ヒロシ氏のインタビュー記事が載っていて、その中で、「友人の伊集院静って奴は、俺が何処で飲んでいようと、それが真夜中過ぎだったとしても、『今から来いよ!』と誘うと必ず駆け付けて来る」と言っていたのを思い出した。
なんか粋な人だ。
もう彼の人生相談を読めなくなるのは本当に寂しい。
そんな今日は11月25日の土曜日だ。
朝起きて、カーテンを開いて窓の外を見てみたら、一面銀世界が広がっていた。真っ白な雪が車道も歩道も屋根の上にも積もっている。
遂に来たんだ、長い長い冬がこの街にも。
暖房を点けて蒲団から飛び出し、朝刊を取りに一階に降りて玄関ドアを開けたら、ツーンという独特の冬の匂いが屋内に飛び込んできた。
吐く息が白い。
でも雪掻きするほどの積雪でもなく、そのまま階段を上って部屋に入って、朝食を摂った。
午後は吹雪の中、車を飛ばす。ギリギリ、一昨日タイヤ交換をしたので何とか冬道も堂々と走ることが出来る。
夕方になっても吹雪は止まず、明日もまた雪だという。
この街の冬が大嫌いだけど、色んな理由でこの街に留まるしかなく、ここで厳寒の冬を乗り切るしかほかに術がない。
仕方がない。
頑張ろう・・・。