淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「アメノナカノ青空」

2006年02月25日 | Weblog
 金曜日が一番いい。
 どんなに疲れていても、週末を待つ楽しさがある。勿論これには前提があって、土日が必ず休みであるということ。これがないと、その楽しさは激減してしまう。

 残業を終え、外に出るとぐったりと疲れが湧き上がってきた。
 このまま帰ろうか。それとも寄り道しようか。
 韓国映画「アメノナカノ青空」をまだ観てない。
 最終上映時間が9時10分。急げばまだ間に合う時間だ。疲れた体に鞭打って、映画館までの道を急ぐ。

 首都圏では、もうとっくに「アメノナカノ青空」は上映を終了している。
 ところが地方では、この手の大ヒットを狙えそうも無い映画については、映画館の数も関係してか、少し遅れて上映されるのだ。
 悲しいことだけど、仕方がない。

 館内は、ほとんどがカップル。
 こういう人間ウォッチングも中々楽しい。
 でもネクタイにスーツ姿の男性は、僕を除いて一人もいない。カップルか、もしくは女性独りか、あるいは女の子同士か。

 韓国映画も、ある意味、あの訳の解らない怒涛のブームは去ったようだ。
 チェ・ジウと竹之内豊のTVドラマ「輪舞曲~ロンド~」も、期待したほどの凄い視聴率には到っていないようだし。
 これからの期待作としては、チャン・ドンゴン主演の「タイフーン」ぐらいか。監督も「友へ チング」のクァク・キョンテクだしね。

 で。「アメノナカノ青空」である。
 よくある恋愛映画の、それも難病もの。一歩間違うと、物凄いベタなラブ・ストーリーになってしまう危険性がある。
 
 母親と二人暮しの、高校生の女の子が主人公。
 難病を抱え、入退院を繰り返していて、母親は普通の生活をさせたいと、安定期に入ったことを確認し、娘を普通の高校に通わせる。
 ある日、ふとしたことで知り合う下の階の住人と、その女の子は仲良くなり、次第に孤独だった心を開いてゆく。マンションの階下の住人は、少し年上のカメラマンをしている男性だった。
 二人はやがて恋に落ちる。でも彼女は難病を抱えていて、二人に残された時間はもう少ない・・・。

 監督は女性で、イ・オニという人らしい。初めての監督作品だそうだ。
 そして主演の高校生を演じているのが、イム・スジョン。清潔感があって、ショート・カットが愛くるしい。それに、とてもいい演技をする。
 難病ものにありがちなワンパターンを救っているのが、監督の立ち位置であり、その眼差しである。
 なるべく感情移入をせず、二人の関係を優しく見守るというスタンスを取る。しかしそれは、クールとか冷徹とかとは違ったものだ。
 そこが、この映画を救っている。

 前のシートのカップルが泣いている。それから同じシートの女性も。

 僕は、エンド・ロールで立ち上がり、ひっそりとした金曜日の11時過ぎの街に出る。
 うーっ。寒い。
  

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