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陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

秋田県現代詩人協会 2025年度総会開催

2025-04-22 | 詩関係・その他

      

4月20日、秋田県現代詩人協会の2025年度総会が秋田市内で開催された。
前年度事業、決算をはじめとする報告案件、そして新年度における予算や事業計画、
任期満了に伴う役員人事など審議事項の5議案が報告・提案され、そのすべて承認された。

引き続いて行われた「秋田県現代詩人賞」の表彰式では、
去る3月上旬に行われた「選考委員会」での3委員による講評内容について、
木村哲夫委員からその詳細の報告があった。
受賞者と対象内容は下記のとおり。

<秋田県現代詩人賞>
・詩集賞  石川悟朗4 詩集『遠望』
・作品賞  小林康子「風車」
 (奨励賞) 丘 はなみ「風を見た」

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2冊の民話と伝承 黒沢せいこ(編)

2025-03-28 | 詩関係・その他

               

 秋田県現代詩人協会会員の黒沢せいこさんから、『秀衡街道ものがたり』と『大雄の民話と伝説』を受贈した。
 『秀衡街道ものがたり』は、奥州平泉と秋田を結ぶ古道周辺に残る口伝と神社等を探りながら巡る。サブタイト
ルは
~岩手から秋田へ民話でつなぐ黄金の道~とある。『大雄の民話と伝説』は、秋田県横手市大雄地区の民話と
伝説をまとめたもので、地区に残る謂れを感じ取る
ことが出来る。どちらも地元での採話による成果だと思われ
るが、その地道な努力と熱意に敬服。両書を比較するのはおかしいが
、敢えて言えば読みごたえとロマンがある
のは『秀衡街道ものがたり』。取り上げている岩手・秋田間のマップもあり興味がわく。
 「秀衡街道という言葉は、(略)平安時代末期、東北を治めていた平泉三代(清衡、基衡)藤原秀衡と、黄金文化
にちなんでつけられた、古代の道」(秀衡街道あれこれ・講話より)。岩手平泉から秋田横手に至る間にはたくさん
の金山があったと言われ、その運搬路でもあり軍事要衝の街道でもあったという。私には、源頼朝・義家親子が、
陸奥の国の豪族安倍頼時・貞任親子を攻める前九年の役、そして後三年の役・・・くらいの知識しかない。ずいぶ
昔、若い頃に横手市の金沢柵址と「後三年合戦金沢資料館」を訪れたことがあったが、そういう歴史ある土地柄
だという程度の認識。恥ずかしいが。
 黒沢さんは、これまで古道の「東山道(とうさんどう)」を調査して歩いたことから「羽州民話街道」活動を仲
間と行ってきたという。1988年出版の『雪国の昔っこ』を機に県内に伝わる昔ばなしの採訪や収集、語り手と
して活躍されている。


『大雄の民話と伝説』・・・発行日:2024.10.03、編集・発行者:黒沢せいこ、定価:500円+税
『秀衡街道ものがたり』・・発行日:2024.11.23、編集・発行者:黒沢せいこ、
              企画製作:みちのくアート、定価:1000円+税

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詩誌『穂』(静岡)50号を迎える

2025-03-14 | 詩関係・その他

      

       

 

静岡県内在住の8人の女性による詩誌『穂』が50号を迎えた。
今号は過去と新作の詩を1編ずつと、「Essay 詩の周辺」という約520字のエッセイを
それぞれ掲載している。ほかに「三木 卓ノート」。

詩もさることながら、「Essay 詩の周辺」での同人たちのエッセイもいい。
詩への姿勢のみならず、物事の考え方見方、ちょっと身構えた内容、緊張感などが伝わってくる。
それは、物を書く人であればよくわかる心理でもあって興味深い。

井上尚美さんの詩「洗濯」。40年ほど前の作品とある。
洗濯槽の中で家族の洗濯物が絡んでいる様を描く。再び絡み合う前に夫を持ち上げると
すでに妻が絡んでいて、その先には息子も娘もしがみついている。ハッとする視点だ。
  一本の無骨な紐になって/洗濯槽の中からあらわれてくる

岡村直子さんの詩「をんな」は、第一詩集『をんな』から。
  
をんなは/みたび/をんなする
という強烈なフレーズで始まるこの詩は、男の私にも何となくわかるような気がする。
少女期を経て子を宿し更年期になり性の閉塞と色香が消えてゆくのを恐れる・・・。
  あの時が/そうだったように/愛欲の海原に/櫓をこぎ出せ//
  をんなは/自身のために/をんなする//みたび/をんなする/

菅沼美代子さんの詩「鰯のお店」は、時間構成とタイトルの付し方に注目した。
物忘れがひどくなって来たらしい「あなた」と3ヶ月に1回逢うことにしている「私」。
「この前」「あなた」はすっかり忘れていて、電話すると慌ててタクシーでやって来た。
  そのうちに 私の顔 私の聲 私の名前さえ/忘れてしまうだろうか/
  (略)錦鯉は口を大きく開けて のどかな春の空気を吸った/山茶花の白い花が
  ポトリと池に落ちて小さな波を立てた/
小骨を上手に外して美味しいと満足気な「あなた」を見て「なんだか急に哀しくなる」「私」は、
「あなたの安らぎに満足すればよいのだと言い」聞かせる。
  移り行く季節を愉しみ 私だけはあなたを/忘れないように 次の季節の予約を入れた
「この前」(過去)~逢っている今(現在)~次の季節の予約(未来)。それらを平易な自然体の
詩の中で、さらりと表出している。実に巧くしっくりとした構成だ。また、タイトルについても、
心情や情景に沿ったものにしがちだが、今いる(現在)を強調するように「鰯のお店」としている。
ここでは動かない(現在)なのだ。

 

発行人:井上尚美 / 発行:穂の会 静岡県島田市 / 同人:井上尚美、岡村直子、菅沼美代子、
酔 芙蓉、田村全子、ほさかゆかる、松本真理子、室井かずみ

 

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畠山義郎 生誕100年展開催中

2024-10-22 | 詩関係・その他

        

故畠山義郎さんの生誕100年展が、あきた文学資料館で開催されている。
開催期間は12月26日(木)まで。入場無料。10時~16時まで。

また、「畠山義郎の詩的生涯」と題し、佐々木久春氏の講演が11月10日(日)同館で13時30から行われる。無料。
但し、電話か窓口で事前予約が必要。定員30名と少ないのでお早めに。☎018-884-7760

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「秋田の詩祭2024」10月27日に開催します

2024-10-15 | 詩関係・その他

       

秋田県現代詩人協会主催による「秋田の詩祭2024」が
今月27日(日)13時から、秋田市内の協働大町ビルで開催されます。
今年は佐々木久春氏による「現代詩への旅 ー秋田の場合ー」と題する講演のほか、
参加者による
詩の朗読を予定しております。
入場無料、申込不要。どうぞお気軽にご参加ください。

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石川悟朗詩集『遠望』

2024-09-18 | 詩関係・その他

      

元秋田県現代詩人協会会長の石川悟朗さんが第4詩集『遠望』を刊行された。
所属詩誌「密造者」に発表した27編を収めている。
どれも「密造者」で目にした作品なのだが、時間を超えて一つになって溢れ出て来た、
そんな気がする作品群だ。
それは懐かしいような、読み手もどこかで
一緒に体験したような詩世界で、そこに立ち合っている感覚さえする。

石川さんの詩世界は、個人誌「のんびりや」を発行するようになってから
ますますその世界観が顕在化したようにも思えてくる。
言葉の持つ優しさがあって、だからこそ作品の中に出て来る人物も動物も自然も妖精も
夢も現実も、みんな和みのある”存在”となっている。石川さんの中に生息している分身たち。

何個かのキーワードを勝手にあてはめるとすれば、大きな存在は”生まれ故郷”、ふるさとだろうか。
多感で夢見る少年の世界の、絡まってしまったかもしれない糸玉を大切に大切に、
根気よくほぐしているようにも思える。

 
 「ふるさとくん」

どういうわけかぼくのうしろを
あるいてくる
ふるさとくんというひと
あなたはなにものですか
ふりむくとすっといなくなるのです

ふるさとくんはにおいます
おともします
おじいさんやおばあさんのごほんごほんというせき
うしやうまのにおい
こわいせんせいがムチでこくばんをたたくおと
おいかけます
するりとにげてしまいます

ぼくのまえをあるいていることもあります
ふるさとくん
あなたがかついでいるおおきなふくろから
ぴゅうとでてくるフィルム
むらのおとなたちがあせをながして
きをきりたおしすみやきをしている
ふんどしいっかんであかあかともえている
ぼくはいたずらがすきだったから
みずてっぽうでうってやった
こっぴどくしかられている

ふるさとくん
あなたはおどっているのですか
チラチラあなたのまわりからこぼれおちてくる
きぼうというあさひのようなかがやき
きらきらまう
ちぎれぐもはむらさき
あたまのうえにおちてくる

ふるさとくん
にがいあじもにじんでみえます
みんな
ポケットにいれてゆくのです
せつなくおもくおしよせてくるのです

ふるさとくん きえないでいてください
したしみがわいてくるのです

著 者  石川悟朗(いしかわ・ごろう)
発行日  2024年9月9日
出 版  書肆えん(秋田市新屋松美町5-6)

詩誌「密造者」同人、日本現代詩人会会員、秋田県現代詩人協会会員(名誉会員)

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「詩と音楽を楽しむ ~夏~」 開催のお知らせ

2024-08-01 | 詩関係・その他

     

朗読グループ「KOEの会」による「詩と音楽を楽しむ ~夏~」
8月18日(日)1
3:30から秋田駅前のフォンテAKITA6階「ふれあーるAKITA」で開催されます。
特別出演にオカリナ奏者の「オカリナ魔女ichiko」さん。
入場無料。お問い合わせは「あきた文化交流発信センター」018-884-7341まで。
なお、同センターでは、下記事項に協力と理解を呼び掛けています。
①感染拡大を防ぐため、検温・手の消毒・マスクの着用
②席数に限りがあること
③許可なく写真撮影・録画・録音することは禁止

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「矢代レイ詩展 -しなやかな言葉-」開催中

2024-07-04 | 詩関係・その他

  

  

 秋田県現代詩人協会会員、矢代レイさんの詩展が、7月1日から秋田市山王の「秋田銀行本店」ロビーで開催されている。
 『ピッタインダウン』(起き上りこぼしの意)という個人誌の発行人でもある矢代さんは、この詩展や勉強会開催など精力的な活動
をしている。かつて、ある事故に遭いながらも、その理不尽さや精神的な苦悶を乗り越えることが出来たのは「詩」であり、詩を書く
ことで「生かされた」、と熱っぽく語っていたことがある。
それらが第4詩集『濁黒(KURO)』(2019年書肆えん)に表出されたの
は象徴的でもある。

 詩展は前回の展示会以降の作品を展示している。副題は「しなやかな言葉」(上掲の画像、参照)。『ピッタインダウン』の既刊号
を遡って見てみると、第2回目から副題がつけれるようになり、「詩とわたし」「詩を楽しむ」「詩と生きる」「詩に導かれて」
とあっ
た。それぞれその回の
詩に対する思いを表わしていると思われる。
 詩作品や、画像と詩を組み合わせたパネルの展示は、詩とは縁遠い?と思っている人でも接しやすいのではないかと感じた。また、
不特定多数の人が出入りする銀行が会場というのは大きなメリット。
 会場を訪れた時は、市民の方が作品を読んだり詩集を手に取ったりしていた。

 会期は7月31日(水)まで。時間は9時から15時。なお、土日祭日は休み。無料。

 

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依田義丸詩集『連禱』(れんとう)

2024-06-04 | 詩関係・その他

        

「針と船」

 ぼくの目の前を、一本の針が布を縫い進んでいく。真っ
赤な布は大きく広がり、ひと針ひと針、赤い縫い目がどこ
までも伸びていく。ぼくは自分の見た奇跡を書き残したい
衝動に駆られる。
 一隻の船が海を航行しはじめる。海は残照に真っ赤に染
められ、船の後には赤い航跡が残されて行く。ぼくが安堵
していると、一本の針が真っ赤な海を進んで、赤い航跡が
縫い込まれていく。
 ぼくは不安に襲われる。そして、さっきまで見ていたも
のが、針だったのか船だったのか、わからなくなってしま
う。

 上記は、去る5月25日に刊行された依田義丸さんの第二詩集『連禱』(れんとう)
に収録されている作品。なんと繊細な世界だろうか。美しい。「真っ赤」「赤い」と
いう語彙の”連打”。これほどまでに重ねて使っていることの意味合いは相当深いに違
いない。


「平面の記憶」

 あのときのことをよく思い出すんだ。唐突に君が、あな
たって、紙のような人だわって言ったんだ。不意を突かれ
て、ぼくはぞくっとして、背中にくちゃくちゃの皺が寄る
気配がして、頭の上では刃物が鋭く裂くように走って、つ
づいて遠くから高い悲鳴が聞こえてきた。ぼくは急に、極
悪の罪を犯して自分をめちゃくちゃに汚したくなったんだ。
すると、君は笑いながら、いいえ、やっぱりあなたは紙の
ような人なんかじゃないわ、そう言い直した。その声を、
平面になっていく耳にかすかに聞きながら、ぼくはぼくに
書き込まれていたものがひとつ残らず消えていくのを感じ
ていた。そうしてついに、ぼくは真っ白な一枚の紙になっ
てしまって、そこからすべてが始まったんだ。


 当詩集を読みながら思ったのは、依田さんの詩世界は、後述するあとがきにもあるが、
現実と非現実を表出する姿勢なのか。あとがきから読みはじめることが多い私だが、こ
のたびは無意識に目次から読み始めた。途中あたりから<現実と非現実が混ざり合って、
最後は少々奇抜な展開で終わる作品が多いな>と感じていた。
実に興味深い詩人だ。


 届いた詩集に、贈呈票と発行元からの付票が挟めれていた。贈呈票は奥様・依田真奈
美氏の名が。そして発行元「思潮社」名の付票には次が記されていた。
 「(略)依田義丸氏は先年来の闘病中に本書を纏め、校正刷の確認を終えてご献本の
指示までも済ませながら、出来上がりをみることなく、三月十四日に逝去されました。
ご遺志にそってご献本をお送りいたします次第です」

 あとがき より抜粋 
「詩という形式はそれ自体の内に一つの表現上の矛盾を元来孕んでいます。それは共通
の表現性をもつ言語を用いながらも、他方ではそれから逸脱する独創的な表現を目指し
ているというものです。そしてこの逸脱性を支えているのは、詩人自身のもつオリジナ
ルな感性や視点であることは言うまでもありません。(略)現実の否応なしの拘束のも
とで非現実と言う表現を創り出すことに魅了されながら、それを可能にする言葉表現を
紡ぎ出そうとして祈るように辿った遍歴の道のりが自分自身の詩作だったと今感じてい
ます。第二詩集『連禱』を妻真奈美に捧げます。」

 ご冥福をお祈りいたします。

 

著 者  依田義丸(よだ・よしまる)
発行所  思潮社
発行日  2024年5月25日 
定 価  2,200円(本体2,200円+税)
略 歴  1948年京都生まれ
     1991年第一詩集『けいおす』(思潮社)刊行
     日本現代詩人会会員
     2024年3月14日逝去

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市野みち詩集『風は笑って』

2024-06-02 | 詩関係・その他

    

 

   「一生」

  ラストシーンのないお芝居は
  いつまでも続くのでしょうか
  無意味に叫んだり 喚(わめ)きちらしたり
  なにしろ幕が下りないのですから
  それはそれはつらいことだと思います

  いつかは消えていく
  いつかは忘れ去られる
  ほんの一欠片(ひとかけら)の思い出が
  誰かの心に残れば
  それはそれで満足です

  近頃 こんな事を考えるのも
  それなりに充分生きて来たからかも
  知れません
  感謝の気持ちだけが丸い渦になって
  心の中程で回っています


 
 東京都小平市住の詩人、市野みちさんから第6詩集となる『風は笑って』をご恵投いただいた。
紹介した「一生」は当詩集の帯文にも使われている作品。
 自身の生き方を振り返りながら、誰かに語りかけるように、そして自身に語り聞かせるように、
平易な言葉で奥の深さを表現している。

 <それなりに充分生きて来たからかも/知れません>と表出しつつ、収録作品「教えて」では、
<どうにもしっくりしない人生です(以下略)/人はこの世に生まれ落ちた時から/心の片すみ
に/違和感を覚えつつ/年齢を重ねているのかも知れません>と吐露する揺れに共感した。

 市野さんの生き方がみえてくる詩句を、一部拾ってみた。
・<感謝の気持ちだけが丸い渦になって/心の中程で回っています>(「一生」)
・<春に椿の花が咲く/あたり前が嬉しい/いつも通りがいとおしい>(「椿」)
・<太陽は/沈む寸前でも/こんなにまぶしく輝いている>(「夕日」)
・<横切る風の/さわやかな笑い声が聞こえた/ほらね!>(「風」)
・<何のために/今まで汲汲と生きてきたのだろう/周りの人達に合わせて/
  ただ回っていただけ>(「春の日に」)
・<私は/これからも地べたを這いつくばって/生きて行くよ/
  探し物をしながら>(「これからも」)

 

著 者  市野みち(いちの みち)
発行日  2024年5月5日
発行所  土曜美術社出版販売
定 価  2,200円(本体2,000円+税)

著者略歴 1944年1月生まれ
     「マロニエ」同人
     日本現代詩人会、日本詩人クラブ 各会員

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見上 司さん惜しかった! 

2024-05-23 | 詩関係・その他

 一般社団法人『日本詩人クラブ』の第34回新人賞が去る2月25日に決定した。(同会会報掲載3月31日発行第106号)
今回の新人賞は、井嶋りゅうさん。(詩集『影』。同詩集は『日本現代詩人会』第74回H 氏賞の最終候補にも選考された)。

 秋田県現代詩人協会会員でもある見上 司(みかみ・つかさ)さんの詩集『虹のような日』は、最終候補詩集10作に
選考され、
更に最後の2作までに残ったが、惜しくも次点となった。
 とはいえ、見上さんの詩の世界観が読者や選考委員の感性に
鋭く入り込んだということが証明されたわけでもあり、残念
でありながらも・・・最後の2冊に残ったことが嬉しい。うれしい。ウレシイ。
 惜しかった!!
 

 当ブログで先に紹介しているが、あらためて表紙画像を再掲。

                   

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秋田県現代詩人協会2024年度総会・詩人賞表彰式

2024-04-25 | 詩関係・その他

                

 

詩集賞・駒木田鶴子、作品賞・木村哲夫、奨励賞・小松春美の各氏          講評を行う嶋﨑治子選考委員

 

4月21日、秋田県現代詩人協会の2024年度総会と詩人賞表彰式が秋田市内で行われた。
総会では全審議事項が承認され、新年度活動へ向けてスタートした。 

続いて行われた第25回秋田県現代詩人賞の表彰式では、受賞者のスピーチと受賞作の朗読が行われたほか、
選考委員を代表して嶋﨑治子さんが講評を行った。

コロナ対応が緩和されたこともあり、懇親会は話が弾む参加者の笑顔が”満開”であった。

 

(画像提供 横山 仁 氏)

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第25回秋田県現代詩人賞 

2024-03-15 | 詩関係・その他

        

 第25回「秋田県現代詩人賞」(主催:秋田県現代詩人協会)が決定しました。
 (選考委員会:3月1日 秋田市内の会場で開催)

 ◆詩集賞  駒木田鶴子詩集『雪の吐息』(書肆えん)
 ◆作品賞  木村哲夫「休止符」
 ◆奨励賞  小松春美「さくらの下で」

 (以下、プレスリリースの一部を紹介します)
1、受賞作品
 ①秋田県現代詩人賞・詩集賞  駒木田鶴子(こまき たづこ) 『雪の吐息』
 ②秋田県現代詩人賞・作品賞  木村哲夫 (きむら てつお) 「休止符」
 ③奨励賞           小松春美 (こまつ はるみ) 「さくらの下で」
2、受賞者略歴 
 ①駒木田鶴子 1935年生まれ横手市住。「舟」同人。日本詩人クラブ会員。
 ②木村哲夫  1972年まれ秋田市住。 「北の詩手紙」同人。
 ③小松春美  1940年生まれ男鹿市住。「密造者」同人。 
3、表彰式   4月21日(日) 午後開催の総会終了後(秋田市内)  

 <ご参考>
 ◆秋田県現代詩人賞
 ①詩集賞・・・前年中に刊行された会員の詩集が対象。
 ②作品賞・・・前年の「秋田県現代詩年鑑」所収及び前年中に詩誌等へ発表された
        作品が対象。
 ③奨励賞・・・秋田県現代詩人賞に準ずると評価された作品。
 ④会員による投票と推薦委員3名の意見を参考に、県外の詩人を加えた選考委員計
  3名により選考。なお、「秋田県現代詩年鑑」には会員以外の人も参加可能で、
  詩集賞を除き当詩人賞の選考対象となる。

 ◆秋田県現代詩人協会概要  設立:1991年

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見上 司 詩集『虹のような日』

2023-12-30 | 詩関係・その他

      

 見上 司さんの新詩集『虹のような日』が土曜美術社出版販売から刊行された。
 見上さんは秋田の三種町在住の詩人。抒情的詩風の作品が魅力的だ。

 読み手の内奥へどこかしっくりと纏わりついてくるような、そんな詩を書く人・・・
と書いてしまえば固定観念で作者へ迷惑をかけるかも知れない。
 だが、詩を読むという能動的な立場にいる人にとっては、作者が身近な存在となって
ビンビンと心に響いてくる作用があるかも知れない。

 作品集の前にある散文「自序」と最終にある「あとがき」は、一般的な詩集には珍し
く作者の本音が表出されていて、苦悩、詩に対する真摯な取り組み方、詩論、持論、人
生観などが読み取れてくる。詩作品以前にこの詩人の在り方が視えて、とてもとても他
人ごとではない情感が湧き出てしまう。
 「こんどこそこれが最後になるのではないか。もう一行も書けなくなる。書かなくな
 てってしまう。その恐れのなかで書き継いできた」


「虹のような日」

ひょっとして ぼくが手にした一篇の
名もない詩が だれかの人生の
そらに すっと一条(ひとすじ) にじをかける
まかふしぎなちからをもって
いるかもしれない
そんなたわいないざれごとに
ひとり 胸をあたためる日が
あってよいのだ

なにもかもが 徒労であったと
うらぶれて とぼとぼかえる
ゆうまぐれ

都会のこんなビルのはざまに
こぢんまり おきわすれられたような
神社のまえのベンチにすわり
ふるい 小さな
かみさまと はなしてみる

ああ 
ちいさな神さま
ちいさな神さまよ

 

発 行  2023年12月10日
著 者  見上 司(みかみ・つかさ)
発行所  土曜美術社出版販売
頒 価  2,000円+税

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佐峰 存 詩集『雲の名前』

2023-12-27 | 詩関係・その他

      

 コトバの持つ拡がり、思惟の展開といったものの表現形態、その可能性を感じた作品集・・・
と言えば大げさだろうか。

  11月下旬、著者の佐峰 存(さみね・ぞん)さんからご恵投いただいた詩集『雲の名前』を
一言でと問われれば、乱暴だが、
そうこたえたい。

 繊細な内奥の吐露は時に傷みを伴いながら綿々と表現されている。感受性とか表現力という
ことにまとめてはいけないよう
な、一つの感覚・感性の世界観を表した詩集ではなかろうか。
この、インパクトある表現力の作品集に
出会ったことに刺激されている。
(下記引用作品は、先述とは関連なし。あくまでも作品紹介の一部)

 

「夜の鼓動」(の内の「Ⅱ 鏡像」を引用)

 深夜の湖底に軋み
 傾く満員電車の吊り革の森
 年季を重ねる群生に迷い込んだ
 毛深い蛾が 束の間の心を運んでいる

 一対の翅がなす 羽ばたきの綿は
 ふくよかな腹を風船のよう
 蛍光の波打つ宙にのせ
 読まれることのない軌道に
 
呼吸を紡いでいく 
 
速度の中を飛ぶ速度

 鋼橋を潜り抜けてきた関節に
 
染みわたる音程 傍らで
 人々の眼鼻も樹立する
 
水を通わせ
 時間の苔を育みつつ
 
疾走する生態の園
 蛾の鏡像は火花をひらき
 脱皮の果ての柔らかさにそよぎ
 やがては昏々と
 眠り込むのだろう

 今はまだ 遠くまで美しい
 窓ガラスの硬さにしだかれて
 こぼれながら 太く滑る脚の爪
 
居住区が液状に
 幾重にも加速している

 

著 者  佐峰 存(さみね ぞん)
     詩集『対岸へと』(2015思潮社)
     第一回西順三郎賞新人賞奨励賞
発行所  思潮社
発行日  2223年10月15日
定 価  2,500円+税

 

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