陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

成田豊人詩集「夜明けのラビリンス」

2020-09-22 | 詩関係・その他

詩誌「komayumi」を発行している北秋田市の成田豊人さんが第8詩集「夜明けのラビリンス」を刊行した。
生まれ育った町の商店街が寂れて行く事を直視した作品や、自分と出会う白昼夢、明晰夢のような幻視世界を描きながら、自らの”生”や 社会性などを書き表している。
押し殺した感情がレトリックによって一層あざやかな表現になり、読んでいて思わず唸ってしまう。暗喩の効いた作品群にどう入り込んでいけるか、そんな読み手の技量も問われそうな一面も持っている詩集だ。収録作品数23編。


 著 者:成田豊人(なりた とよんど)秋田県北秋田市在住
 出 版:書肆えん 秋田市新屋松美町5-6

 発行日:2020年9月17日
 定 価:1,800円+税

                                

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ウォーキング

2020-09-09 | その他

 連日の酷暑。午後のウォーキングを数日前から早朝に切り替えた。朝日を浴びながらの河川敷・堤防はきもちがいい。

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高橋憲三詩集 『星に祈りを』

2020-08-30 | 詩関係・その他

 青森県黒石市在住の詩人で『詩と散文「飾画」』同人の高橋憲三さんが、第5詩集となる『星に祈りを』を刊行された。
 これまで詩集を2003年に『走り始めた空』、2011年『青くあれ』、2013年『深層風景』、2016年『地球よりも青く』と意欲的に出版されている。
 先の『地球よりも青く』に見られた硬質な言葉と組み立てが、この度の詩集でも魅力的に展開されている。読み手は心地よい緊張感を得ながら収録された20編の作品に触れていくことになる。世のこと、生(せい)のこと、政(まつりごと)のこと、戦(いくさ)のこと、自分の在り方のこと・・・。
 先の詩集のあとがきで「(略)いつも書きたくて、書きたくて鉛筆をとる。そして、書きためた作品をだれかに読んでもらえれば嬉しいと思う気持ちも強い。あとどれだけ書けるものかはわからぬが、とにかく書けるまでは書きまくりたい。(略)」と書いていた。その意欲に驚いたものだ。この度の『星に祈りを』のあとがきは、より素敵な一文になっている。「ぼくが思ったこと、これだけしかない。/思ったことを星に祈ろう。/星に祈りを…。」(全文引用)

    「星に添うとき」
   少年は/新たな野辺にさしかかる/そして/青いときめきを/少しずつ/ひとつずつ/ポケットに押し込んでいく//
   哀しみに過不足なくひたる幸い/想いが生まれ/体中の巡りを使い切って/夢の質量を アインシュタインに尋ね、/
   楽曲の 音のない部分に意味をさがす//
   夏は暑かった/夏は短かった/ジリジリと//
   季節が/傾く//
   豪雨と強風が幾度も通り抜け 変形した地勢/偏在する絶対者 信じ仰ぐ群 傾斜する排斥/暴徒化した力学電子化学反
   応式 夷狄の叛乱/マイクロプラスチック 命の腸(はら)に見えぬ充満//
   終わりまで生き通す少年は/落ち着けぬ気持ちを整理しようと/ひたすらうたい続けるだろう/同じ血の流れがひび割
   れぬよう/まるで/神のような心細さで

 

 高橋憲三(たかはし・けんぞう)1949年 青森県黒石市生まれ。同市在住。
 発行日:2020年8月15日
 発行所:土曜美術社出版販売(☎03-5229-0730)

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『日本の詩人432人の詩姿の原点』

2020-08-27 | 詩関係・その他

 日本現代詩人会元理事、山本十四尾氏が茨城、栃木両県で開催している詩の勉強会「花話会」の資料冊子「詩姿の原点」(<詩姿>は山本氏の造語)全7集分をまとめた最終版が、このほど刊行された。
 詩に対する考え方や姿勢をそれぞれ一定字数の散文で示したもので、第1集1章の53名以降は山本氏が全国の詩人へ執筆依頼をしてきたという。第1集2004年、第2集2005年、第3集2006年、第4集2014年、第5集2016年、第6集2018年、第7集及び統合版2020年。あとがきの中で山本氏は「ボランティアの小さな詩の勉強会「花話会」からの発信にすぎないのに、四三二人の詩人による『詩姿の原点』を刊行出来ることを喜び、この冊子が全国の詩誌同人会、詩の教室、詩のサークル活動、文学館などでぜひ活用していただき、詩層のひろがりの一助になればと願う次第である。」と述べている。著名な詩人から「北海道から九州までの地域で、かたくなに自分の詩を書き続けている」(第2集あとがき)詩人まで、詩論を凝縮したような<詩姿>が詰まっている1冊。
 因みに秋田県関係では第2集に工藤優子さんと山形一至さん、第4集に前田、第7集に船木俱子さんと成田豊人さんが執筆している。

 
発 行 2020年9月4日
発行者 花話会
発行所 山本十四尾(茨城県古河市)
体 裁 A4版104頁並製本
定 価 3,000円

※付されたメモには予約販売につき完売、とありました。

 

 

 

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黒沢せいこ 『絵はがき詩集「北国の原風景」』

2020-08-04 | 詩関係・その他

 横手市の黒沢せいこさんから『絵はがき詩集「北国の原風景」』を頂いた。
 新潟県弥彦村の人形作家杉本ともえ氏と同県新発田市の写真家阿部政康氏、そして、その情景に添った詩を黒沢さんが紡いでいる。絵はがき7枚組。

 ホッコリとするこの世界はなんだろうか。基本的な心情の在り方をくすぐっているからなのか?もしれない。昭和生まれの私には言葉ともども甦る大切な一つの”刻み”だと感じられた。無意識のうちに失ってしまっているかも知れないもの・・・そう、気付くことの重さ。
 黒沢さんは秋田県現代詩人協会会員。詩集に『矢絣幻想』「花かげの鬼たち』など。『花かげの鬼たち』で第一回秋田県現代詩人賞詩集賞受賞(受賞時は筆名:長井 陽)。横手地区を中心に昔話の語り部活動を展開されており、2018年8月には6話を収録したCDを発表している。(下図参照)

2018年8月制作のCD「横手盆地の昔っこ」

 

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佐藤ただし詩集 『柵を超える牡牛のように』

2020-07-10 | 詩関係・その他

 秋田市の「海市」同人、佐藤ただしさんの過去の詩作品が詩集『柵を超える牡牛のように』として、約40年の時間を経て出版社<書肆えん>から小冊子で発行された。
 実は、彼も<書肆えん>社主の横山氏もかつては詩誌『匪』(ひ)の同人。そういう当方もその同人であった。なぜ今なのか?。彼はあとがきの中で「今から40年以上も前に書いたものを、今回まとめることにどのような意味があるのか」と迷ったと書く。だが「こうしたものを意味あるものにするかしないかは、これからの自分次第だ」と自らへ言い聞かせている。収録作品は同誌第12号(1975年3月30日発行)から第26号(1979年5月25日発行)までに発表された彼の詩活動全19編。以降、彼はを書いていない。
 詩とは全く別世界に生きてきた当時の”佐藤青年”が、詩誌「匪」の同人と時間をともにすることによって描かれた詩世界は、実は今のこの時代でも通じるアイデンティティ(あぁ懐かしい言葉だ)そのものの姿ではないだろうか・・・。農家の長男でサラリーマンである彼は、「農」に対してひと時距離を持っていた時期があったように記憶するが、書き始めた詩にはそのことが良く表れているようにも感じられる。40年も前のこと故、当時の状況も感慨もすぐさま湧き出てこないが、一人の青年が活きて(生きて)いたということははっきりと証明できている。20歳前後でのこの世界観、凄いではないか。気付かなかった、と今頃言っては失礼になってしまう。な。

    「柵を超える牡牛のように」

  柵を超える牡牛のように
  家畜が獣と化してゆく時
  風は奪われていたものをたっぷり含んで
  もとの場所へ吹き付けてゆく
  おれには
  ことばと素手の感触
  喉のつっかえ棒は取りさって
  この部屋へ呼ぼう
  本当は農民でありたい人達を

  隣の男よ
  舐めてみたことがあるかい
  田畑の土を
  苦いようでじつは甘いんだ
  (近ごろの土は薬品の味がする)
  それじゃおれ達の仕事は
  土の甘さをとり戻すことにある 


    「父」

  父の仮面を剥ぐ風
  農良で
  家庭で
  父の仮面を剥ぐ風

  風は仮面をつくり
  仮面を剥がずにはおかない
  父は仮面を取り外すわけにはゆかない

 

著 者  佐藤ただし
出 版  書肆えん(秋田市新屋松美町5-6)
発行日  2020年5月5日
体 裁  A5版中綴じ18頁
頒 価  記載なし。

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鈴木修一詩集『緑の帆船』

2020-07-09 | 詩関係・その他

 鈴木修一氏の第一詩集『緑の帆船』が出版された。
 新旧90編の詩を6つのテーマに分けて配列し、各章の扉には著者の俳句を並べている。更に特徴的なのは、各章の終わりに掲載作品の初出を掲示し作品を振り返る、背景に触れる著者の言葉を付していること。ある意味作者と読者とを結びつける、作品へより近づけるヒントにもなっている。
 心象や事象を豊かな言葉で纏っている作品群は、俳人として活躍されてきた著者の詩情がなせる世界とも言えそうだ。

   
    「緑の帆船」 ー教室の窓にそよぐ樹々に寄せてー

    風をはらんでゆさゆさと
    大樹の緑が揺れている

    春の日
    わずかに萌え出した枝々から
    空の青さを仰いだ時
    太い幹が帆柱となって
    ぐらりと揺らぐ目まいを覚えた

    夏を迎えようとする今
    木々は緑の帆を張って
    春の予感を鼓吹している
    われらこそ
    大空をわたりゆく帆船の群であると……

    そしてそのことを
    私もまた諾うほかはない
    送り返す光のシグナルは
    地球をひと巡りしてきたものの喜び
    巡る度に繁りゆくものの誇りの証しであるから

    帆をふくらませている風と
    同じ風に吹かれて
    私の内部に満ちてくる思いがある
    おまえもまた大空をめぐる旅人
    繁りゆくこの帆船の水夫であったのだと……

 

著 者  鈴木修一(秋田県現代詩人協会会員、現代俳句協会会員、俳誌「海原」同人)
出 版  書肆えん(秋田市新屋松美町5-6)
発行日  2020年7月7日
定 価  2,000円+税

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紫陽花

2020-06-28 | 季節

 昔から紫陽花のこの色が好きで、いろいろな思い出と重なる。紫陽花は色の変化がいいという人もいるが、私の中ではこの色が一番。この色だけでいい。若い頃、鎌倉の紫陽花寺で有名な明月院を訪れたことがあった。雨の降る日で一層この色が映えて感動したことを覚えている。人だらけであったが・・・。
 上の画像は隣家からの”借景”。窓から毎日拝借している。
 下の2枚は、ここ数年前から有名になった男鹿市北浦の雲昌寺の見事な紫陽花。今年はコロナウイルスを考慮し、県内者に限り公開としているようだ。(2017年に訪れた時の画像)
 一番下の画像は北秋田市合川の翠雲公園。ここは公園自体が紫陽花のみ。多品種の紫陽花を見ることが出来る。(2012年7月に訪れた時の古い画像)
 まだ行ったことはないが、身近なところでは秋田市添川の乗福寺も有名だ。

    

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福司満全詩集刊行される

2020-06-05 | 詩関係・その他

 2018年12月、83歳で他界された福司満さんの全詩集が発行日(6月27日)を前に届いた。
 福司さんは秋田県藤里町生まれの詩人、郷土史家。生前の著書に詩集『流れの中で』『道こ』『泣ぐなぁ夕陽コぁ』『友ぁ何処サ行った』、郷土史書『藤里の歴史散歩』。この全詩集に収められたのは各詩集、郷土史書、単行本未収録の詩、エッセイ・評論、俳句、川柳のほか病床ノート。本人朗読のCDが付属されている。
 詩行に方言をルビで付す形で書かれる作品は、絶妙なニュアンスで文字と方言とを結びつけている。朗読を聞くとそれにイントネーションが加わり、より”生”(せい)が伝わってくる。
 全詩集は刊行記念特価で販売される。

 
・発行日:2020年6月27日 
・編 者:亀谷健樹、寺田和子、佐々木比佐雄 
・発行所:株式会社 コールサック社  
・体 裁:A5版350頁 ・定価:3,000円+税


                                                                                                                               

 

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鈴木いく子詩集「朝の自転車」

2020-06-04 | 詩関係・その他

 秋田市の鈴木いく子さんの詩集「朝の自転車」が刊行された。
 鈴木さんは製本作家でもあり、自ら製本したり外注したりしながら複数刊行されてきた。
 今回の詩集は、昨年末に同様刊行した「バイパスのない一本道」に続くもので、これまで書いたり先に詩集に組み入れた作品を<夕暮れ><静かな夜に><朝の時間><新しい年に>の4つにテーマ化し、18篇を収めている。そこにはテーマごとに感じた素直な世界がみてとれる。情景や出来事から感受し言葉に表した作者の姿は、前向きでありながらどこか寂しさも感じられる一面がある。また、タイトルとなった「朝の自転車」は作者の心の姿でもあり、よく伝わってくる。私事だが、かつて”会社人”であった頃の、出社前に感じていた”私”や私のくぐもった”心”の声のようなものがふと思い出された。
 この詩集を手に取って読んだ人は、自身と共感できる詩がこの中にあると気付くことが出来るかも知れない。

   「夕暮れ」  
暮れ始めると/早いから/まばたきの間に/落としていくから/しっかりつかまっていこう/お母さんのエプロンを//街路樹の繁った葉のすき間を/鳥たちが帰っていくから/おうちにいくんだろうね//今日の日も泣いて笑って/心のひだを揺さぶっておさまって/あたりは茜色から夕闇に変わろうとしているから/今日の最後の色をしっかりと目に入れておこう//もうすぐ/お味噌汁の匂いだよ/カレーの匂いがしてくるよ/何もなかったように/日が暮れるよ/今日も終わるよ/明日がくるよ//

   「静かな曲」
夜に聴く/静かな曲は/気持ちを落ち着かせる/体の中心の重心が/だんだん下に降りてくる/下がって下がって/下に辿り着いたら/横になって眠りにつく/静かな曲のように/水が流れる//

   「朝の自転車」
朝の自転車はペダルが重い/前日までの快適な軽さは/すっかり忘れてしまう/今日も一からやり直し//長年使って錆びた車体は/見た目も年季が入っている/時々悲鳴をあげる部品の/今にも倒れそうな自転車//一日の始まりはハンドルに/手をかけるまでが第一歩/気が重い時は/辿り着くまで時間がかかる//エンジンはついていない/自力で動かさなければ/一ミリも動かない/体力に加え/気力も大いに必要だ/特に坂道のぼり坂は//うんとこしょ/どっこいしょ//あちこちギシギシ/痛みも響くが/少しずつ動きだす/少しずつ回転も上がっていく/次第にペダルも軽くなって/今日がリズムに乗っていく//


 著 者  鈴木いく子
 発行日  2020年5月20日
 発 行  アトリエほっとはあと  https://www.hotheart2004.com/
 体 裁  B6判
 頒 価  500円

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