陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

『悼 — 叔母(渡辺静子)の歌より』横山 仁 編

2022-11-24 | 詩関係・その他

      

 <書肆えん>から『悼 — 叔母(渡辺静子)の歌より』が届いた。
 
 「叔母(渡辺静子)の詠んだ歌から、両親に関係したものをおさめた。父は昭和五十四年(一九七九)
七月十七日(法名記載されているが省略)、
母は、ことし、令和四年(二〇二二)二月二日(同 省略)
になくなった。  
二〇二二年八月八日 納骨の日に    横山 仁」

 と、あとがきにある。
 生前の姉夫婦を詠んだ叔母の短歌28首と関連する画像を収め、今年他界した母と、43年前に他界した
父を悼む。

 歌を読んで感じる叔母の心情や、出版した横山さんの気持がよく伝わってくる。
 横山さんとは、お互いに20代前半のころ詩誌「匪」で出会って以来、何度かおじゃましたりしていたことも
あり、詠まれているご両親や横山さんのことも”当時”の姿として思い巡らすことが出来、なおさら・・・。
 同人誌『海市』へ晩年の母を詩で書き続けている。今度は自分の詩で編まれたものが出されるのを期待したい。
(……と圧力)

  地方出版の仕事えらびし子の生をようやく義兄は肯いにけり

  老い深くきざしいるらし雑然と物にかこまるる姉をさびしむ

 

編 者  横山 仁
出 版  書肆えん
発行日  2022年9月19日(敬老の日)
頒 価  記載なし
体 裁  四六判 40頁

 

 

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立原 幹「風のように光のように」~父 立原正秋

2022-11-13 | 詩関係・その他

    

 11月も中旬になった今日、朝から冷たい雨が降り続いた。冬が近い。

 ふと、何故か「不要物整理!」との全く脈絡もないスイッチが入って、
定期購読誌や限られた蔵書の処分作業を始めていると、”積読”コーナーに目が行ってしまった。
「これはまずいパターンだな」と意識したが、そう感じてしまった以上、逃れられない・・・。
  その中に、直木賞作家である故・立原正秋の、娘が書いた「風のように光のように ~父 立原正秋」
があった。1998年に刊行された父を想うエッセイ。これは 某古書店で手にすることが出来た貴重
な本。今年6月のことであった。
ようやく見つけた一冊だが、実は、まだ目次以降は開いていない。
私の中で整理が必要だから・・
という勝手な意味付けで。だから??そう、だから・・。
    ついでに言うと、立原と同世代の芥川賞
作家の故・高井有一が立原を論じた本も未だ開いていない。

 小説家立原正秋には表現の美しさを学んできた。そして、もうひとりの私淑作家福永武彦の世界と
併せ(馬鹿みたいだが)究極の事実を知るには相当な事前準備が必要・・か?

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秋田角館 詩人「坂本梅子 展」

2022-11-11 | 詩関係・その他

 101才まで詩を書き続けた詩人、故・坂本梅子「詩の世界展」が、11月15日から秋田県仙北市角館の
「新潮社記念文学館」において始まる。
 後年、孤高とも思われながらも、実は生の本質を解きながら活き活きと詩作してきた人。地元文学館の熱意
ある企画により、これまで知ることの少なかったであろう詩人の細部に触れる事が出来る機会と
言える。
 有難いことだ。

仙北市のHP⇒ 企画展 観光情報 | 仙北市

   

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秋田の詩祭2022

2022-11-10 | 詩関係・その他

 「秋田の詩祭2022」が11月6日(日)午後、秋田市内で開催された。
 コロナの影響により、これまで書面による「総会」や「詩の小径」の中止、「詩祭」の会員限定開催など制限下
での開催となっていた。

 こうしたなか、先月10月には角館を会場に「詩の小径」を開催することが出来、そしてこの度「詩祭」を開催
できたことに少しばかりほっとした・・・。

 詩祭に先立ち、従来春の総会時に行っている「県現代詩人賞」の表彰式を行った。第23回目となる今回の受賞
者は次の通り。
(詩集賞は該当なし)

・作品賞 中川 香さん「出会い ー時の催いー」
・奨励賞 成田豊人さん「蜃気楼」

 会員及び「KOEの会」による詩の朗読に続き、成田豊人さんによる「私の好きな詩人 田中冬二」と題した講演
が行われた。
田中冬二の詩の特徴を、①典型的な抒情詩でほとんど難解な表現がない②郷愁を誘う語句③静寂感に
満ち
ている④旅愁⑤大きな情景と小さな情景の対比⑥西洋に憧れるハイカラ趣味~の6項目に分類しそれぞれの項
目にあった作品を紹介しながら、田中冬二の詩の世界を解説した。

 講演のおしまいに、成田さんは「冬二の抒情詩は好きだが、こういう詩を書こうとは思わない。詩の中に社会を
突くものがないといけないと思っている」と語った。成田さんの詩の在り方とか詩論といったものを
垣間見た気が
して、印象的であった。

限られた時間ではあったが、有意義なひと時であった。

  

  

 左上:会場の様子。右上:中川さんの受賞作品朗読。左下:「KOEの会」による朗読。右下:成田さんの講演。  
(画像提供:横山 仁さん)

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