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表意文字の造字法

2006-02-12 21:33:12 | 言葉と文字
 シュメール語の表意文字は形は漢字とは全くことなるのですが、造字法には共通性が見られるとのことです。
 図は小林登志子「シュメール 人類最古の文明」で紹介されているもので、京大教授であった中原与茂九郎氏が、中国の「説文解字」による漢字の分析法を応用してシュメール文字を解析した例です。
 象形だけでなく会意、指事、形声,仮借、転注などの漢字の分類法がシュメール文字にあてはめられています。
 「説文解字」は字形の成り立ちを説明することで、意味を明らかにしようとするものですが、漢字ができ始めてから2000年以上もあとになって作られたものです。
 したがって、後から分析したものなので、当てはまらない例があるとはいえ、大体当てはまるとして説得力を持ち続けてきたものです。
 
 シュメール文字は表意文字だけでなく表音文字も併用していたので、漢字のように膨大な文字を作ることはなかったのですが、表意文字の造字法が似ているというのは面白いものです。
 表意文字というと象形文字しか考えられない欧米人には考えにくい造字法を、漢字をよく知っている日本人学者だからこそ考え付いたのでしょう。
 
 造字法という点では漢字とにているシュメール文字ですが、表意文字の部分は漢字のように増殖発展することはなかったようです。
 表音文字のほうは周囲の言語に借用され長い寿命を保ったということですが、表意文字は消えてしまっています。
 表意文字として周辺の言語に影響を与えながら存続したというのは漢字だけのようです。