60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

絵文字は写生ではない

2006-02-07 22:53:01 | 言葉とイメージ
 文字はどの文明の場合も絵文字が起源になっているといわれています。
 示そうとするものを写生しようとしたので、見れば何をを表わしているかがわかるという風に思われています。
 ムーアハウス「文字の起源」には魚を意味する文字の例が示され、どの文明でも同じようなあらわし方をしている、つまり人間共通の表現法だとしています。
 つまり、人間の感覚は似たようなもので、似た表現をするというのです。

 このような例を示されて説明されると、象形文字の元になっている絵文字というのは人類共通なのだと思わされそうになります。
 しかし、これは都合のよい例を示したもので、動物でも植物でも何でも似たような表現をしているわけではありません。
 また、図に示されている例では、魚を表していると言われるからそう見えるので、いわれなければ分からないものもあります。
 読者は「これは魚をあらわしている」というフレームの中で考えさせられるので、人間は同じような表現をするものだと思い、また見れば意味が分かると思ってしまうのです。
 
 実際に絵文字が写実的で、見ればわかるようにできているかどうかは疑問です。
 絵というものは同じものを描いたつもりでも、描き手によってイメージが違ったり、表現になるので、誰が見ても分かるとは限りません。
 絵の上手下手という問題もありますし、形を決めておかないと前に描いた形と違った形のものを描いてしまうことすらあります。
 図の例だけで見ても、学者でもなければ、あらかじめ魚だといわれなければなんだか分からないというというのが正直なところではないでしょうか。
 魚かもしれないと思うものがあっても、「そうではない」といわれたりすれば引き下がってしまうのではないでしょうか。