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クレーターの錯視

2006-02-06 22:14:07 | 眼と脳の働き
 左の二つの円を見ると凹んでいるように見えますが、しばらくみていると膨らんでいるように見えます。
 さらも、見ているとまた凹んで見えたり、ふくらんで見えたりします。
 普通はこれは凹んで見えるものとされ、光が上から来るのが普通なので凹んで見えるという風に説明されています。
 ところが現代の日常生活では下のほうから照明が当てられる場合も多く経験するので、必ず凹んで見えるというものではありません。
 最初に見たとき凹んで見えてもしばらく見ているうちにふくらんで見え、互いに見え方は交代するのです。
 
 真ん中の二つは平面的に見えるので交代はありませんが、右側の二つはどうでしょうか。
 この場合上の円がふくらんで見え、下の円は凹んで見えます。
 上の円は光が上から当たった感じなのでふくらんで見えるのですが、この場合はしばらく見ていても、見え方の交代は起きません。
 下の円は左の二つの円と同じなので、これだけを集中して見ていれば見え方の交代が起きるのですが、上の円が目に入ると見え方の交代はおきにくく、凹んだ状態に見えたままです。
 つまりフレームによって見え方が違ってくるのです。

 心理学では、いくつかの上が明るい円と、下側が明るい円を同時に見せ上が明るい円がふくらんで見え、下が明るい円が凹んで見えるのを、クレーターの錯視と呼んでいます。
 光が上から来るという経験からそのように見えるというふうに説明されていますが、はじめに見たようにかならずしもそうとはいえません。
 二種類の円を同時に見るというフレームをいつの間にか作って、そのフレームの中での見え方を一般的な見え方であるように説明しているわけです。
 例が挙げられたときはその例が一般性を持っているかどうか検討する必要があるのです。