60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

注視範囲を広げる

2006-02-24 22:55:11 | 視野とフレーム
 小さな正方形にはさまれた線と大きな正方形にはさまれた線は同じ長さなのですが、小さな線にはさまれたほうが長く見えます。
 二つの線を比べようとするとき、片方を見てから視線を移してもう片方を見ます。
 同時に両方を見るというのでなく、かわるがわる片方づつ見るのが普通でしょう。
 そうすると、線をはさんでいる正方形の大きさとの比較で、大きな正方形に囲まれているほうが狭く感じるので、線は短く感じてしまいます。
 二つの線を比べるのですから同じ条件で見るようにしなければならないはずなのですが、かわるがわる見るという習慣にとらわれて見るために同じ長さに見えないのです。

 両方の線を同じ条件で見るには、同時に見るのが一つの方法です。
 図のx1、x2、x3、x4の4点に同時に注意を向けて見ると、二つの線は内側にあるので同時に見えるようになります。
 一度に4箇所を同時に注視することが難しければ、まずx1とx2を同時に見ます。
 そうすると、左側の二つの正方形の右辺がそろって見えるようになりますから、二本の線の左端がそろって見えます。
 つぎに、x3とx4を同時に見ると、右側の二つの正方形の左辺がそろって見えますから、二本の線の右端がそろって見えます。
 左端と右端がそろって見えるのですから、二つの線は同じ長さであることが分かります。
 右側の図は左側の図を90度回転させたものですが、同じように見方を変えることによって、二本の線が同じ長さに見えるようになります。

 二つの同じ大きさの図形が違う大きさに見える場合、二つの図形が同時に見えるように注視範囲を広げるとたいてい同じ大きさに見えます。
 逆に言えば、注視範囲を広げられたかどうかは、二つの図形が同じ大きさに見えたかどうかで確かめることができるわけです。
 文字を読んだりするときも、普通はどうしても狭い範囲の文字列を注視してしまいがちで、そのため目が疲れ、理解力も落ちます。
 一度に見ることのできる文字数を多くすれば目が疲れにくい上に、理解力も向上するのですが、習慣でつい狭い範囲を注視してしまうのです。
 したがってまずは注視範囲を広げる練習をして目の使い方のくせをかえるのがよいと思います。