そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

8月11日(土)爪哇更紗の襯衣

2018年08月11日 | 公開

  あしひきの山の日である。実感は無い。実家の衣装箪笥に残っている亡父の古着は、あらかた処分したが、四半世紀前、爪哇島へ行った折の土産として父に贈った更紗の襯衣が、袖も通さずに仕舞ってあった。捨て難くして、拙宅へ持ち帰る。

    今を去る 四半世紀の そのむかし 父にもとめし バティックのシャツ
           爪哇島の 染め工房を おとづれて もとめたりける 更紗の襯衣
    父逝きて とをとて六とせ たちにけり 袖も通さず さながらにあり
    松江なる 衣装箪笥に 畳まれて 仕舞はれたれば 折り目正しく
    断捨離と 思ひ切られず 持ち帰る X-largeは 着る得べければ 
    ふるさとの 生ひ育ちたる 家なれば 何を捨つるも 心いたしも
    やつめさす いつも思へり 故郷は 水のほとりの 雲わくところ

(長歌に仕立て直してみた)

今を去る 四半世紀の そのむかし 父にもとめし バティックの シャツ見出でたり 爪哇島の 染め工房を おとづれて もとめし襯衣 父逝きて 永く経てども 袖だにも 通すことなく 松江なる 衣装箪笥に 仕舞はれて 折り目も正し 断捨離と 思ひ切られず X-large 着る得べければ とりがなく あづまの空へ 持ち帰りたり  

ふるさとの 生ひ育ちたる 家なれば 何を捨つるも 心いたしも


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