そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

5月18日(土)家集断片

2019年05月18日 | 公開
  平成三十一年四月六日、初孫誕生す
あこのはらを うちよりけりし みどりごは むまれいでたり いよすこやかに
いたきまで しろくれなゐに さくはなは はつまごえたる いはへるがごと
  十日退院、母子実家へと来たれり
おほいなる 類型にこそ われが血の うけつがれつと おもふくすしさ
  十一日
みそあまり ひとつにちなむ みどりごに やがてなづけて やりたかりしが
ちもたりて まづつつがなく おひそだつ みどりごみれば うちゑまれつつ
  十二日、お七夜、名は珠樹となりぬ
ちちのみの ちちのなのりは 太樹なり されば樹ときて きをつかひたり
  十九日
ちちをすひ ゆばりをいだし ばばたれて いよよおほきに おほしたてなむ
  二十二日
すねながき あがはつまごは まつろはぬ ものとしてよに うまれきたるか
  三十日、娘の、子に乳を与ふるを見て
このこいかに おほしたてむと あれやこれ なやみなやみし ことおもひいづ
このために こころくだくは ひとのおやの なべてのことと おもふものから
  令和元年五月四日、娘と孫、実家に宿りをれば
いへぬちに うばとおほぢは ことまごと それぞれははも ゐるぞうれしき
たのしみは ゆぶねにまごを つけささへ むすめとふたり みをあらふとき
  十一日
四世代 ひとつやにゐて すぐすひは しあはせたりと ひとにいはれつ
  十二日、お宮参り
いにしへのイニシエーション はつまごのはつみやまゐり けふしをへたり
ひとつきに 900グラム 身長は 90ミリも ふゆとわがまご
つぎなるは ももかのいはひ おくひぞめ パリ祭のひに あたるといへり
すねながく むまれいでたり Quatorze Juilletにいはふ あなつきづきし
あがまごは ながすねひこか まつろはぬ ものとしてよに むまれいでけむ
  十三日昼、汐見のカウンターにて
冬瓜の はつものといふ われまごを いだくがごとく もちいだしたり
  五月十六日、娘、婿、新生児は新居へと移りぬ
むまれいでて ひとつきともに くらしたる まごやどをさる そのひきたれり
をさなきひ きのつらゆきは あこくそと よばれけりてふ むべしとおもほゆ
ちちをすひ いばりをいだし ばばたれて いよよおほきく そだてあがまご
  次の朝
みどりごの なくこゑたえし わがやどは あはれさびしと いふもさらなり